シナプス前膜の脱分極に続いて軸索終末に流入するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
シナプス前膜が脱分極すると、その電位変化によって電位依存性カルシウムチャネルが活性化し、細胞外から細胞内(軸索終末)へとカルシウムイオン(Ca2+)が流入します。このカルシウムイオンの流入が引き金となり、シナプス小胞が前膜に融合し、内部の神経伝達物質がシナプス間隙へ放出されます。これは神経伝達の基本的なステップであり、カルシウムイオンが神経伝達物質放出の必須のトリガーであることを理解しているかが問われています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。シナプス前膜の脱分極が起こると、電位依存性カルシウムチャネルが開き、細胞外から細胞内へカルシウムイオン(Ca2+)が流入します。このCa2+の流入が引き金となり、神経伝達物質を含んだ小胞がシナプス前膜と融合し、神経伝達物質がシナプス間隙に放出されます。これは神経伝達の基本的なメカニズムです。
- 2. ガンマアミノ酪酸(GABA)は抑制性の神経伝達物質であり、軸索終末に流入するイオンではありません。シナプス後膜に作用して、通常は塩化物イオン(Cl-)の流入を促進し、過分極を引き起こします。正しくは:ガンマアミノ酪酸は、抑制性の神経伝達物質です。選びやすい理由:神経伝達物質の一つとして有名であるため、関連があるように感じられるかもしれません。混同注意:イオンと神経伝達物質の区別、また神経伝達物質が放出されるメカニズムと、その神経伝達物質自体の性質を混同する可能性があります。
- 3. グルタミン酸は興奮性の神経伝達物質であり、軸索終末に流入するイオンではありません。シナプス後膜に作用して、ナトリウムイオン(Na+)などの流入を促進し、脱分極を引き起こします。正しくは:グルタミン酸は、興奮性の神経伝達物質です。選びやすい理由:これも主要な神経伝達物質であるため、正解のように思えるかもしれません。混同注意:GABAと同様に、イオンと神経伝達物質の区別、およびその役割を混同する可能性があります。
- 4. ナトリウムイオン(Na+)は、活動電位の立ち上がり(脱分極)において神経細胞内へ流入しますが、シナプス前膜の脱分極に続いて軸索終末に特異的に流入し、神経伝達物質の放出を直接引き起こすのはカルシウムイオンです。ナトリウムイオンの流入は活動電位の伝導に重要ですが、伝達物質放出のトリガーではありません。正しくは:ナトリウムイオンは、活動電位発生時の脱分極を引き起こす主要なイオンです。選びやすい理由:活動電位の発生に重要なイオンであるため、神経伝達全体の中で混同しやすいです。混同注意:活動電位の発生と、神経伝達物質放出の直接的なトリガーとなる現象を混同する可能性があります。
- 5. リン酸イオン(PO4^3-)は、細胞内のpH調節やエネルギー代謝(ATPの構成要素)に関わる重要な陰イオンですが、シナプス前膜の脱分極に続いて軸索終末に特異的に流入し、神経伝達物質の放出を直接引き起こすような役割は知られていません。正しくは:リン酸イオンは、細胞内のエネルギー代謝や緩衝作用に関与します。選びやすい理由:生体内に存在するイオンであるため、可能性の一つとして考えるかもしれませんが、神経伝達の特定のメカニズムとは直接関係ありません。混同注意:神経生理学における特定のイオンの役割と、一般的な生体内のイオンの役割を混同する可能性があります。
国試ポイント
神経伝達の基本メカニズム、特に神経伝達物質放出のプロセスにおけるイオンの役割(特にカルシウムイオンの重要性)を理解しているかを問う問題です。活動電位の発生に関わるイオン(Na+、K+)や、神経伝達物質そのもの(GABA、グルタミン酸)と混同させない知識が求められます。
混同注意
活動電位の発生におけるナトリウムイオンの役割、および様々な神経伝達物質そのもの(GABA、グルタミン酸)と混同しやすいです。神経伝達物質放出の直接的なトリガーがカルシウムイオンであることを明確に理解している必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後も神経伝達の基本的なプロセス(活動電位の発生、伝導、シナプス伝達、神経伝達物質の種類と作用、受容体など)は頻出テーマと考えられます。特に、各ステップで関与するイオンや分子、その役割について正確に把握しているかが問われるでしょう。
関連知識
活動電位の発生と伝導(Na+、K+)、神経伝達物質の種類と作用(興奮性/抑制性)、電位依存性チャネルの機能、シナプス小胞の形成と放出、セカンドメッセンジャー系。