PTSDで誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
心的外傷後ストレス障害(PTSD)の患者に対する急性期の対応では、まずは安全の確保と精神的な安定が最優先されます。心的外傷体験の直後に、詳細な内容を無理に語らせる「心理的デブリーフィング」は、再外傷化や症状の悪化につながる可能性があり、現在では推奨されていません。適切な介入は、個人の状態を考慮し、専門家が慎重に判断する必要があります。
選択肢ごとの解説
- 1. PTSDの症状の一つとして、以前は楽しめていた活動への興味の喪失や、快感を感じにくくなる「アンヘドニア」が認められることがあります。選びやすい理由:PTSDの主要症状の一つであるため、正しい記述として認識されやすい。
- 2. PTSDの症状による苦痛や不眠、不安などから逃れるために、アルコールや薬物に依存しやすくなる傾向があります。選びやすい理由:一般的な知識として知られているため、正しい記述として認識されやすい。
- 3. PTSDでは、危険が迫っているかのように常に警戒状態となり、些細な刺激(例えば小さな物音)に対しても過度に驚いたり反応したりする「過覚醒症状」がみられます。選びやすい理由:PTSDの代表的な症状の一つであるため、正しい記述として認識されやすい。
- 4. 正解。心的外傷体験の直後は、安全の確保と精神的な安定を図ることが最優先されます。詳細な体験をすぐに語らせることは、再外傷化や症状の悪化を招くリスクがあるため、一般的には推奨されません。正しくは:心的外傷体験の直後は、まずは安全の確保と精神的な安定を優先し、詳細な内容を語らせることは慎重に行うべきである。選びやすい理由:早期介入として、すぐに話を聞くことが良いという誤解があるかもしれない。しかし、PTSD発症予防の観点からは、むしろ有害になりうることが示されています。混同注意:精神的なサポートとして話を聞くこと自体は重要ですが、その「タイミング」と「詳細さ」が誤り。危機介入と心理的デブリーフィングの違いを混同しやすい。
- 5. PTSDの主要な症状の一つに「再体験症状」があり、その典型がフラッシュバックです。これは、突然、過去のトラウマ体験が鮮明に現在進行形で起こっているかのように感じられる現象です。選びやすい理由:PTSDの最も特徴的な症状の一つであるため、正しい記述として認識されやすい。
国試ポイント
PTSDの主要症状(再体験、回避、陰性感情・認知の変化、過覚醒)と、急性期における不適切な介入方法について問う問題です。特に、心的外傷直後のデブリーフィングが再外傷化のリスクがあることを理解しているかがポイントとなります。作業療法士は、患者の精神状態に配慮した介入のタイミングと方法を判断できる知識が求められます。
混同注意
心的外傷直後の支援は、早期介入が重要であるという認識から、すぐに体験を語らせることが良いと誤解されやすいです。しかし、「話を聞くこと」と「詳細な内容を積極的に語らせること」は異なり、特に直後のデブリーフィングは有害となる可能性があるため注意が必要です。精神的危機介入(サイコロジカル・ファーストエイドなど)は推奨されますが、これは詳細な語りを求めるものではありません。
次に同じ論点が出たら
もし次に同じ論点が出題された場合、PTSDの具体的な治療法(精神療法や薬物療法)、あるいは作業療法士が関わる急性期・慢性期の支援内容、PTSD患者とのコミュニケーションにおける注意点などが問われる可能性があります。特に、子どものPTSDや複雑性PTSDといった特殊な病態にも注意が必要です。
関連知識
PTSDの診断基準(DSM-5)、心的外傷に対する急性期の介入(サイコロジカル・ファーストエイド、心理的デブリーフィングの不適切性)、症状ごとの具体的な支援方法、薬物療法と精神療法(認知行動療法、EMDRなど)の概要、作業療法におけるアプローチ(安全な環境設定、活動を通じた情緒安定、対処スキルの獲得支援など)。