医療現場の情報管理で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
医療機関における情報管理では、個人情報保護法、医療従事者の守秘義務、および医療情報システムの安全管理に関するガイドラインに基づき、医療情報へのアクセスは業務遂行上必要最低限の範囲に限定される「need-to-know原則」が基本です。不必要なアクセスは情報漏洩やプライバシー侵害のリスクを高めるため、厳しく制限されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 患者の個人情報は、原則として本人の明確な同意なしに第三者(家族を含む)に開示することはできません。これは医療における守秘義務と個人情報保護の基本原則です。緊急時や法令に定めがある場合などを除き、患者の意思を尊重する必要があります。正しくは:患者さんの個人情報は、原則として本人の同意を得てから家族に伝えるべきです。選びやすい理由:家族は患者を支える立場であり、病状説明など情報共有が必要な場面も多いため、広範な情報開示も許されると誤解しやすいです。混同注意:患者の病状説明(治療方針や予後に関する情報)と、広範な個人情報(生活歴、既往歴の詳細など)の開示が混同されやすいです。病状説明は治療の範囲で行われますが、個人情報全般の開示には患者の同意が原則必要です。
- 2. 電子カルテのIDとパスワードは、個々の医療従事者を特定し、その活動履歴を記録するための重要な個人認証情報です。これを共有することは情報セキュリティ上の重大な違反であり、誰がいつどのような操作を行ったのかが不明確になり、責任の所在も曖昧になるため、厳禁されています。正しくは:電子カルテのIDとパスワードは、個人が厳重に管理し、他者と共有してはなりません。各自が付与されたIDとパスワードを使用すべきです。選びやすい理由:業務効率を上げるためや、緊急時に他者のアカウントが必要になる状況を想定して、部署内での共有が便利だと誤解されがちです。混同注意:チーム医療における情報共有の必要性と、個人認証情報の適切な管理が混同されています。情報共有は、各自のIDでログインし、適切なアクセス権限の下でシステムを介して行われるべきです。
- 3. 正解。医療情報は極めて機微な個人情報であり、その保護は非常に重要です。そのため、医療情報へのアクセスは、職務を遂行するために「必要最小限の範囲(need-to-know原則)」に限られなければなりません。これは、情報漏洩やプライバシー侵害を防ぐための基本的な原則です。
- 4. カルテ番号だけでも、他の情報と組み合わせることで個人が特定できる可能性があります。医療機関では、個人を特定できる可能性のある情報を含む書類は、たとえ直接的な個人名がなくても、シュレッダーにかける、溶解処理するなど、適切な方法で情報が漏洩しないように破棄する必要があります。正しくは:個人を特定できる可能性のある情報(カルテ番号など)が記載された書類は、個人情報保護の観点から機密性を保った方法(シュレッダー処理、溶解処理、専門業者による処理など)で適切に破棄すべきです。選びやすい理由:個人名が直接記載されていないため、個人情報ではないと安易に判断してしまうことがあります。直接的な識別情報がないことで、その重要性を過小評価する傾向があります。混同注意:「直接個人を特定できる情報」と「他の情報と組み合わせることで個人を特定できる可能性のある情報(間接識別情報)」の区別が曖昧になっている可能性があります。医療情報においては、間接識別情報も個人情報として厳重に扱われるべきです。
- 5. 患者には自己の診療記録について開示を求める権利があります。原則として、患者からの開示請求は、病院側が正当な理由(患者の心身に重大な悪影響を及ぼす恐れがある、第三者の利益を害する恐れがあるなど)がない限り拒否できません。単に病院側の裁量だけで拒否することは許されません。正しくは:患者からの診療記録開示の要求は、原則として応じる義務があり、正当な理由がない限り病院側の裁量で拒否することはできません。選びやすい理由:病院側の管理の都合や、情報開示によるトラブルを避けたいという思惑から、病院側にも拒否権があると誤解されることがあります。また、医療従事者が患者にとって不利益だと判断した場合などに、善意から拒否を考えることがあります。混同注意:患者の知る権利・自己決定権と、医療機関側の運営上の都合やリスク管理の視点が混同されています。患者の権利は優先されるべきであり、拒否には明確な法的根拠が必要です。
国試ポイント
医療現場における個人情報保護の重要性、守秘義務、情報セキュリティに関する基本的な知識が問われています。特に、医療従事者が「誰が、どのような目的で、どの範囲まで情報にアクセスできるか」というアクセス管理の原則と、患者の権利に関する理解が重要です。
混同注意
チーム医療における円滑な情報共有の必要性と、個々人の情報セキュリティ意識、およびアクセス権限の厳格な管理が混同されやすい点です。情報共有は必要ですが、それは適切なルールとシステムの下で、セキュリティを確保しながら行われるべきです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、電子カルテの監査ログの重要性、匿名加工情報や仮名加工情報の適切な取り扱い、研究目的での情報利用の際の同意や倫理委員会の役割、または災害時における情報共有の特例などについて問われる可能性があります。
関連知識
個人情報保護法、医療機関における安全管理ガイドライン、医療情報システムの安全管理に関するガイドライン、医療従事者の倫理綱領(守秘義務)、診療情報の提供等に関する指針。