発症後2時間の脳梗塞において典型的な画像所見はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
脳梗塞の超急性期(発症数分〜数時間以内)において、虚血による細胞毒性浮腫のため水の拡散が制限され、MRIの拡散強調画像(DWI)で高信号域が最も早期に検出されます。これは、他の画像モダリティ(単純CT、T1強調像、T2強調像)ではまだ明らかな変化が見られない段階でも捉えることができる、脳梗塞の早期診断における非常に重要な所見です。
選択肢ごとの解説
- 1. 脳梗塞の急性期(発症直後から数時間以内)では、単純CTで高吸収域が見られることは稀です。出血性梗塞の場合や、血栓が直接見える『dense MCA sign』のような特殊な状況を除き、虚血性脳梗塞で早期に高吸収域を呈することはありません。正しくは:単純CTで低吸収域として認識できるようになるのは、発症後数時間から24時間以降です。選びやすい理由:脳出血や石灰化などで高吸収域が見られるため、脳の異常所見として誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:脳出血の画像所見と混同しやすいです。
- 2. 脳梗塞における低吸収域は、脳組織の浮腫や壊死が進行した後に見られる所見であり、発症後2時間という超急性期にはまだ確認できないことが多いです。一般的に低吸収域がはっきりするのは、発症から6時間以上、多くは24時間以降と言われています。正しくは:単純CTで低吸収域として認識できるようになるのは、発症後数時間から24時間以降です。選びやすい理由:脳梗塞=低吸収域という一般的な認識があるため、早期から見られると誤解しやすいです。混同注意:発症から時間が経過した脳梗塞の所見と混同しやすいです。
- 3. 脳梗塞の超急性期から急性期において、T1強調画像で高信号域が認められることは一般的ではありません。T1強調画像では、水分の増加した病変は通常低信号となります。高信号となるのは、出血の亜急性期(メトヘモグロビン)や脂肪組織など、特定の条件下です。正しくは:急性期脳梗塞では、T1強調画像ではむしろ低信号を示すことが多いです。選びやすい理由:MRI=詳細な画像というイメージから、何らかの異常が高信号で写ると考えてしまうかもしれません。混同注意:出血の亜急性期のT1強調画像所見や、Gd造影後の所見と混同しやすいです。
- 4. T2強調画像での高信号域は、梗塞巣の浮腫や壊死によって水分量が増加したことを示しますが、発症後2時間という超急性期にはまだ明確に検出されないことが多いです。T2強調画像で明らかな高信号が確認できるようになるのは、発症後6時間以降が一般的です。正しくは:T2強調画像で高信号がはっきり確認できるのは、発症後6時間以降、多くは12時間から24時間以降です。選びやすい理由:MRIのT2強調画像が高信号を示す病変は多いため、脳梗塞も早期から高信号を呈すると誤解しやすいです。混同注意:発症から時間が経過した脳梗塞や、炎症性疾患などのT2強調画像所見と混同しやすいです。
- 5. 正解。発症後2時間という脳梗塞の超急性期において、最も早期かつ敏感に虚血性変化を検出できるのはMRIの拡散強調画像(DWI)です。虚血により細胞内浮腫が起こり、細胞外の水の自由な拡散が制限されるため、DWIで高信号域として描出されます。これは発症後数分から数時間以内にはすでに確認可能です。正しくは:DWIは脳梗塞の診断に非常に有用な検査法です。選びやすい理由:特になし。この知識は脳梗塞の画像診断における基本中の基本です。
国試ポイント
脳梗塞の急性期診断における各画像検査の所見の出現時期と特徴について理解しているかどうかが問われる問題です。特にMRIの拡散強調画像(DWI)が超急性期診断に最も優れている点は頻出知識です。
混同注意
各モダリティ(単純CT、MRIのT1、T2、DWI)の脳梗塞における時間経過ごとの所見を混同しないように注意が必要です。特に、単純CTでの低吸収域やT2強調像での高信号域は、DWIよりも遅れて出現することを理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
この論点が出た場合、次に問われる可能性が高いのは、「発症後24時間の脳梗塞における最も典型的な画像所見は何か?」「単純CTで脳梗塞が検出可能になるのは発症後どのくらいか?」といった、他の時間経過における画像所見や、異なる画像モダリティの役割です。また、出血性梗塞と虚血性梗塞の鑑別、あるいは鑑別診断のための追加検査なども問われる可能性があります。
関連知識
脳梗塞の診断フロー、虚血性脳血管障害の病態生理(細胞毒性浮腫)、MRIの各シーケンス(T1、T2、DWI、FLAIR、MRAなど)の原理と役割。