加齢によっても保たれる精神機能はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
加齢に伴う精神機能の変化では、流動性知能(新しい情報の処理、問題解決、情報処理速度など)は低下しやすい一方、結晶性知能(これまでの知識や経験に基づいた能力、語彙力、言語理解力など)は比較的維持されるか、高齢期になっても向上する場合があります。言語理解力は結晶性知能に分類されるため、加齢によっても保たれやすい精神機能です。
選択肢ごとの解説
- 1. 加齢とともに、新しい情報を記憶する記銘力は低下しやすいことが知られています。正しくは:記銘力は加齢に伴い低下しやすい。選びやすい理由:日常生活で記憶を使う機会が多いため、維持されていると誤解されやすいかもしれません。混同注意:長期記憶(特に手続き記憶や意味記憶の一部)が比較的保たれることと混同しやすい。
- 2. 複雑な計算や新しい計算方法への適応力は、加齢により低下する傾向があります。正しくは:計算力は加齢に伴い低下する傾向がある。選びやすい理由:慣れた簡単な計算は維持されるため、全体的な計算力も維持されると誤解されやすい。混同注意:日常生活で慣れている簡単な四則演算と、複雑な計算能力や新しい問題解決能力とを混同しやすい。
- 3. 注意を維持する能力や、複数の刺激から必要なものを選ぶ選択的注意、注意を切り替える転換性注意などは、加齢に伴い低下しやすいとされています。正しくは:注意力は加齢に伴い低下しやすい。選びやすい理由:意識的に注意を払えば対応できる場面が多いため、全体的に維持されていると誤認されやすい。混同注意:単一の単純な注意維持と、複雑な注意機能(選択的注意、分配性注意、転換性注意など)とを混同しやすい。
- 4. 正解。言語理解力は、結晶性知能の一部であり、これまでの知識や経験に基づいて形成されるため、加齢による影響を受けにくく、比較的保たれやすい精神機能とされています。選びやすい理由:特になし。正解であるため、迷う要素は少ない。混同注意:特になし。他の選択肢との対比で明確に区別できる。
- 5. 加齢に伴い、脳の情報処理速度は一般的に低下することが多くの研究で示されています。反応時間や判断の速度が遅くなる傾向があります。正しくは:情報処理速度は加齢に伴い低下する。選びやすい理由:日常生活で慣れている作業では速度低下を感じにくい場合があるため、全体的な情報処理速度も維持されていると誤解されやすい。混同注意:単純な情報の理解や認識速度と、複雑な判断を伴う情報処理速度とを混同しやすい。また、経験による効率化でカバーできる部分と、純粋な処理速度の低下とを混同しやすい。
国試ポイント
加齢に伴う認知機能の変化に関する基本的な知識が問われています。特に、流動性知能と結晶性知能の概念を理解し、それぞれに属する機能が加齢によってどのように変化するかを把握しているかが重要です。
混同注意
記銘力(特にエピソード記憶)や情報処理速度といった流動性知能に属する機能が加齢で低下しやすいことと、言語理解力のような結晶性知能が維持されやすいことを混同しやすい。また、認知症による認知機能低下と、生理的な加齢による変化を混同する可能性もあります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、「加齢による精神機能の変化」を問う問題であれば、流動性知能(低下しやすい)と結晶性知能(維持されやすい)の区別が基本となります。具体的な機能名とそれがどちらに属するかを関連付けて覚えているかが鍵です。
関連知識
知能の二因子説(流動性知能と結晶性知能)、加齢に伴う記憶の分類別変化(短期記憶、長期記憶、エピソード記憶、意味記憶、手続き記憶など)、各認知機能の定義と評価方法。