治療者が指示や助言を与え、非適応的な行動をコントロールすることを目的とした治療法はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
バイオフィードバック療法は、筋緊張や心拍、皮膚温などの生体反応を測定し、それを視覚や聴覚でフィードバックすることで、患者自身がこれらの反応を意図的にコントロールできるよう学習を促す治療法です。治療者はそのプロセスにおいて、指示や助言を与え、非適応的な反応や行動を修正・コントロールすることを目的とします。
選択肢ごとの解説
- 1. 芸術療法は、表現活動を通じて心理的な問題を探求し、自己理解を深めることを目的としており、治療者からの直接的な行動コントロールを主眼とはしません。正しくは:芸術療法は、絵画や音楽、造形などの芸術表現を通じて、内面の葛藤を解放したり、自己表現を促したりする治療法です。選びやすい理由:何らかの行動変容を促す可能性はありますが、直接的な指示やコントロールを主目的とする点とは異なります。混同注意:認知行動療法や行動療法のように、直接的に行動を変容させるアプローチと混同する可能性があります。
- 2. 森田療法は、症状をあるがままに受け入れ、囚われからの解放と「あるがまま」の自己受容を目指す治療法であり、治療者が行動を直接コントロールするアプローチではありません。正しくは:森田療法は、不安や症状を排除しようとせずに受け入れ、目的本位の行動を実践することで症状の悪循環を断ち切ることを目指します。選びやすい理由:行動を伴う側面(臥褥期、軽作業期など)がありますが、治療者が指示で行動をコントロールするというよりは、自己の体験を通じて気づきを得ることを重視します。混同注意:行動療法と混同しやすいですが、行動療法は特定の行動を強化・弱化させることを目指すのに対し、森田療法は行動の「目的」に焦点を当てます。
- 3. 精神分析療法は、無意識の葛藤を言語化し、洞察を深めることで症状の軽減を目指すものであり、治療者が行動を指示・コントロールすることは基本的に行いません。正しくは:精神分析療法は、自由連想などを通じて過去の経験や無意識の動機を探り、自己理解を深めることを目指す治療法です。選びやすい理由:心理的な問題に取り組む点では共通しますが、そのアプローチは根本的に異なります。混同注意:認知行動療法や行動療法のように、具体的な行動の変容を目指すアプローチと混同する可能性があります。
- 4. 来談者中心療法は、クライエントの自己成長力を信頼し、非指示的な態度で共感的理解と無条件の肯定的配慮を提供することで、クライエント自身が解決策を見出すことを促します。治療者が行動を指示・コントロールすることはありません。正しくは:来談者中心療法は、クライエントの主体性を尊重し、治療者が安全で受容的な環境を提供することで、クライエント自身が内面を探求し成長することを支援する非指示的な治療法です。選びやすい理由:クライエントが行動変容を望む場合もありますが、治療者からの直接的な指示によるものではありません。混同注意:認知行動療法や行動療法のような指示的なアプローチと対極に位置します。
- 5. 正解。バイオフィードバック療法は、心拍数や筋電図などの生体反応を測定し、その情報をクライエントにフィードバックすることで、意識的に不適応な生理的反応や行動をコントロールするように学習させる治療法です。治療者はこの学習プロセスを指示し、助言を与えます。正しくは:この選択肢は正しいため、修正の必要はありません。選びやすい理由:生体反応のフィードバックという技術的な側面が強調されるため、指示や助言による行動コントロールという点が想起しにくいかもしれません。混同注意:リラクゼーション法など、直接的な学習を伴わない生体調整法と混同することがあります。バイオフィードバックは具体的な「学習」と「コントロール」に焦点を当てます。
国試ポイント
この問題は、主要な心理療法や治療法の基本的な目的と治療者の役割について、正確な理解を問うものです。特に、治療者が「指示や助言を与え」「非適応的な行動をコントロールする」という明確なキーワードから、どの治療法が該当するかを識別する能力が求められます。各療法の原理とアプローチの相違点を把握しているかが鍵となります。
混同注意
行動療法とバイオフィードバック療法は、行動変容を目指す点で共通していますが、バイオフィードバックは生理的反応に焦点を当て、その意識的なコントロールを学習させる点で異なります。また、認知行動療法も行動変容を促しますが、認知の修正が主眼であり、生理的反応の直接的なコントロールとはニュアンスが異なります。
次に同じ論点が出たら
次に類似の論点が出題された場合、治療者の「指示性」「介入の方向性(行動、認知、感情、無意識、自己成長など)」「主な目的(行動変容、洞察、自己受容、生理的制御など)」の3点を中心に、各療法の特徴を比較検討すると良いでしょう。特に、特定のキーワードがどの治療法に最も合致するかを見極める練習をすることが有効です。
関連知識
行動療法(系統的脱感作法、暴露療法など)、認知行動療法(認知再構成法、問題解決技法など)、リラクゼーション技法(自律訓練法、漸進的筋弛緩法など)といった、関連する行動変容を促すアプローチについても理解しておくことが重要です。それぞれの治療法における治療者の関わり方、クライエントの主体性の度合い、介入の目的と対象が異なります。