安静呼吸における吸気時で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
安静吸気時には、横隔膜の下降と外肋間筋の収縮により胸郭が拡大します。特に上位肋骨は「ポンプハンドル運動」によって前方かつ上方へ動き、胸腔の前後径を広げます。下位肋骨は「バケツハンドル運動」によって外側へ動き、胸腔の左右径を広げます。これらの運動により胸腔容積が増大し、陰圧が生じて空気が肺へと流れ込みます。したがって、選択肢5が正しい記述です。
選択肢ごとの解説
- 1. 安静吸気時には、横隔膜は収縮して平坦になり、下方へ移動することで胸腔の上下径を広げます。正しくは:横隔膜は下へ動く。選びやすい理由:呼気時や横隔膜が弛緩した状態と混同しやすい。混同注意:呼気時の動きや、横隔膜が弛緩して元の位置に戻る様子と混同することがあります。
- 2. 安静吸気時には、外肋間筋は収縮し、肋骨を上および前方へ引き上げることで胸郭を広げます。正しくは:外肋間筋は収縮する。選びやすい理由:内肋間筋や呼気時の筋肉の動きと混同しやすい。混同注意:内肋間筋の作用や、呼気時に外肋間筋が弛緩する現象と混同しやすいです。
- 3. 吸気時には、胸腔が広がることで容積が増大し、ボイルの法則により胸腔内の圧力は外気圧よりも低く(陰圧に)なります。この陰圧差によって空気が肺へと流れ込みます。正しくは:胸腔内の圧力が陰圧になる。選びやすい理由:呼気時の圧力変化や、肺胞内圧と胸腔内圧の概念を混同しやすい。混同注意:呼気時の胸腔内圧の変化や、肺胞内圧と胸腔内圧の違い、さらには「陽圧呼吸」のような治療概念と混同する可能性があります。
- 4. 腹横筋は、主に強制呼気時に腹腔内圧を高め、横隔膜を押し上げることで呼気を促進する筋肉です。安静吸気時には、特段活動しません。正しくは:腹横筋は収縮しない、または弛緩する。選びやすい理由:強制呼吸時と安静呼吸時の筋活動の違いを理解していないと選びやすい。混同注意:強制呼気時の腹筋群の働きと、安静呼吸時の筋活動を混同しやすいです。
- 5. 正解。安静吸気時には、上位の肋骨は胸骨とともに「ポンプハンドル運動」と呼ばれる動きをし、前方かつ上方へ引き上げられることで胸腔の前後径が拡大します。これは胸腔容積を増やす重要なメカニズムの一つです。
国試ポイント
呼吸生理学の基本、特に安静呼吸時の吸気・呼気メカニズム(関与する筋肉、胸腔内圧の変化、胸郭の動き)は国家試験で頻繁に出題されます。主要な吸気筋(横隔膜、外肋間筋)とその作用、および胸郭の拡大方向(ポンプハンドル運動、バケツハンドル運動)を正確に理解しているかが問われます。
混同注意
吸気と呼気の筋活動、安静呼吸と努力呼吸(強制呼吸)の筋活動の違い、胸腔内圧と肺胞内圧、胸郭の前後径と左右径の拡大メカニズム(ポンプハンドルとバケツハンドル)が混同されやすい点です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、関与する主要な呼吸筋が吸気・呼気・安静・努力呼吸のどのフェーズで活動するか、またその筋活動が胸郭のどの方向への動き(前後径、左右径、上下径の拡大・縮小)に寄与するか、さらにそれによる胸腔内圧の変化を正確に判断できるかが重要となります。
関連知識
安静吸気筋: 横隔膜、外肋間筋。努力吸気筋: 胸鎖乳突筋、斜角筋、僧帽筋、脊柱起立筋など。安静呼気: 主に吸気筋の弛緩による受動的な運動。努力呼気筋: 内肋間筋、腹筋群(腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋)。ボイルの法則: 容積と圧力の逆相関。