成人の熱傷で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
成人でⅡ度熱傷が体表面積の15%以上の場合、熱傷ショック予防のための初期輸液(輸液蘇生)が必要です。全身の20%の熱傷は、この基準を満たします。
選択肢ごとの解説
- 1. 化学熱傷では、原因物質の除去が最優先されるため、大量の流水で十分に洗浄することが重要です。洗浄により化学物質を希釈・除去し、組織へのさらなる損傷を防ぎます。正しくは:化学熱傷の場合、患部を大量の流水で十分に洗浄すべきである。選びやすい理由:水と化学物質の反応を恐れて洗浄をためらうかもしれないが、実際には稀釈・除去が最も重要。混同注意:広範囲の熱傷患者の体温低下や、一部の特定化学物質(例: 生石灰)で濡れた手での洗浄方法と混同する可能性。
- 2. 重症熱傷は、極めて強いストレス反応を引き起こし、全身性の炎症反応(SIRS)やハイパーメタボリズム状態となります。この状態では、蛋白質の分解(異化)が著しく亢進し、エネルギー源として消費されるため、筋肉量減少や免疫機能低下につながります。正しくは:重度の熱傷を負うと、体内の蛋白質の分解(異化)は亢進する。選びやすい理由:体の回復には蛋白質が必要というイメージから、温存されると誤解する可能性がある。混同注意:慢性疾患での異化抑制や、回復期の同化作用と混同する可能性。
- 3. 受傷後早期から創傷被覆材を使用することで、感染防御、痛みの軽減、創部乾燥防止、治癒促進などの効果が期待できます。特に清潔な環境が確保されている場合は積極的に使用されます。ただし、被覆材の種類や熱傷の深さ、汚染状況によって選択は異なります。正しくは:受傷直後の早期段階でも、適切な創傷被覆材は使用される。選びやすい理由:熱傷の種類や治療プロトコルによっては被覆材を使用しないケースもあるという情報から、一般論として誤りやすい。混同注意:広範囲熱傷における初期治療の優先順位(輸液、気道管理など)と、創部管理のタイミングや方法を混同する可能性。
- 4. 正解。Ⅱ度熱傷の熱傷面積が成人で15%以上、小児で10%以上の場合、熱傷ショックを予防するために初期輸液(輸液蘇生)が行われます。これは熱傷による血管透過性亢進で血管内から間質への体液漏出が起こり、循環血液量が減少するためです。全身の20%という条件は、この基準に該当します。
- 5. 広範囲熱傷では、感染源となり得る壊死組織を早期に除去(早期切除術)し、植皮を行うことが近年推奨されています。これにより感染リスクの低減、全身状態の安定、機能的予後の改善が期待されます。以前は待機的な手術が多かったですが、現在は早期手術が一般的です。正しくは:広範囲熱傷による壊死組織に対して、早期に切除手術が検討される。選びやすい理由:患者の全身状態が不安定なために、手術が延期されるケースもあることから、一概に早期手術ではないと誤解しやすい。しかし、原則としては早期手術が推奨されている。混同注意:全身状態が不安定な場合の緊急手術の適応判断と、壊死組織除去の原則的なタイミングを混同する可能性。
国試ポイント
熱傷の重症度分類、初期治療(特に輸液管理)、全身管理に関する基本的な知識が問われています。各選択肢は熱傷治療の重要な側面を網羅しており、特に初期対応の原則を理解しているかが鍵となります。
混同注意
熱傷の深さ(Ⅰ度、Ⅱ度、Ⅲ度)と面積による重症度判定、小児と成人の輸液基準の違い、化学熱傷と熱傷の初期対応の違い、感染予防と創傷治癒の各段階における治療法の選択。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、熱傷の深さと面積による重症度判定基準、小児の熱傷における初期対応の違い、特定の熱傷(電撃傷、化学熱傷など)の特性と初期治療、各病期の治療戦略(急性期、回復期)に注目して問題文を読み解く必要があります。
関連知識
熱傷のParklandの公式(輸液量計算)、熱傷ショックの病態生理、ハイパーメタボリズム、壊死組織のデブリードマンと植皮、創傷被覆材の種類と用途、熱傷の合併症(感染、瘢痕拘縮など)。