摂食嚥下障害で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
梨状窩は咽頭の解剖学的構造の一つで、食道の入り口の両脇にあるくぼみです。嚥下機能が低下している場合、この部分に食物が停滞しやすく、これが原因で誤嚥(特に嚥下後の二次的誤嚥)を引き起こすことがあります。したがって、咽頭残留の好発部位として知られています。
選択肢ごとの解説
- 1. 誤りです。特に水のようなサラサラとした低粘度の液体は、口腔内でまとまりにくく、咽頭を通過するスピードが速いため、嚥下反射が間に合わず気管へ流れ込みやすく、誤嚥のリスクが高いとされています。正しくは:液体は誤嚥しやすい。特に低粘度の液体は、嚥下反射が起こる前に気管へ流れ込みやすく、誤嚥のリスクが高い。選びやすい理由:固形物の方が詰まりやすいという直感や、とろみをつければ液体も安全になるという知識から、「液体そのものが危険」という認識が薄い場合に選びやすいかもしれません。混同注意:とろみをつけることで誤嚥を防ぐことができる、という知識があるため、とろみのない液体の危険性を見落としやすい。また、固形物による誤嚥との症状の違いを混同する場合があります。
- 2. 誤りです。摂食嚥下は、食べ物を認識し、口に運び、咀嚼し、嚥下するという一連の行動であり、注意、記憶、判断などの高次脳機能が深く関わります。認知機能が低下すると、食事の認識や摂取量の調整、嚥下指示の理解が困難になり、誤嚥のリスクが増大します。正しくは:摂食嚥下は、認知機能の低下によって大きく影響を受ける。選びやすい理由:嚥下反射自体は不随意運動であるため、認知機能とは無関係だと誤解する場合があります。しかし、食事の一連の行為は認知機能に依存します。混同注意:嚥下反射のような不随意運動と、食事全体のプロセスに含まれる随意的な行動や認知機能との関連性を混同している可能性があります。
- 3. 誤りです。誤嚥しても、必ずしも咳反射(むせ)が誘発されるとは限りません。特に高齢者や神経疾患を持つ患者では、咳反射機能が低下していることがあり、食べ物が気管に入ってもむせない「不顕性誤嚥」が起こることがあります。不顕性誤嚥は肺炎の原因となるため注意が必要です。正しくは:むせがなくても誤嚥は起こることがある(不顕性誤嚥)。選びやすい理由:誤嚥の最も分かりやすい症状が「むせ」であるため、むせがなければ安全だと考えがちです。しかし、むせない誤嚥(不顕性誤嚥)の存在を見落とす可能性があります。混同注意:「むせること」と「誤嚥すること」を同一視している場合。むせは気道に入った異物を排出する防御反応であり、この防御反応が起こらない状態があることを理解できていない可能性です。
- 4. 誤りです。頸部を屈曲する(顎を引く)姿勢は、咽頭腔を狭め、食道入口部を広げる効果があるため、食べ物が気管に入りにくくなり、嚥下反射が誘発されやすくなります。これは誤嚥予防のための基本的な姿勢の一つです。正しくは:頸部を屈曲すると嚥下は促通され、誤嚥のリスクが低減される。選びやすい理由:首を曲げることで「詰まる」という直感的なイメージから、嚥下を阻害すると誤解しやすいかもしれません。混同注意:嚥下時の適切な姿勢とその効果に関する理解が不十分な場合や、頸部伸展(上を向く)が誤嚥を誘発することと混同している可能性があります。
- 5. 正解。正しいです。梨状窩は喉頭の両側にある袋状のくぼみ(陥凹部)で、解剖学的に食物が停滞しやすい構造をしています。嚥下機能が低下している場合、ここに食物が残留しやすく、その残留物が嚥下後に気管に流れ込む二次的な誤嚥(食後誤嚥)の原因となることがあります。したがって、咽頭残留がよく見られる場所として知られています。
国試ポイント
摂食嚥下障害に関する基本的な知識、特に誤嚥のメカニズム、リスク因子、および対策としての姿勢や症状について問われています。解剖学的知識と病態生理学的知識の結びつきが重要です。
混同注意
不顕性誤嚥と顕性誤嚥。嚥下時の姿勢(頸部屈曲と伸展の効果)。液体の粘度と誤嚥のリスク。咽頭の他の解剖学的名称(谷部、喉頭蓋など)との混同。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、摂食嚥下機能の評価方法(例:反復唾液嚥下テスト、水飲みテスト)や、具体的な介入方法(例:間接訓練、直接訓練)、また嚥下調整食の選択基準などが問われる可能性があるでしょう。
関連知識
摂食嚥下5期(先行期、準備期、口腔期、咽頭期、食道期)の各段階での問題点、VF(嚥下造影検査)やVE(嚥下内視鏡検査)での評価所見、嚥下調整食の分類と目的、誤嚥性肺炎の予防策。