行動療法の技法でないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
精神分析は、無意識の葛藤や幼少期の経験、心的外傷といった深層心理に焦点を当て、洞察を深めることで症状の改善を図る心理療法であり、行動療法とは理論的基盤を異にします。行動療法は学習理論に基づき、特定の不適応行動の変容や適応行動の習得を目指す治療法であり、系統的脱感作法、曝露反応妨害法、トークンエコノミー法、バイオフィードバック法はいずれもその代表的な技法です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。精神分析は、無意識の葛藤や幼少期の経験に焦点を当てる心理療法であり、行動の具体的な変化を目的とする行動療法とは根本的に理論的枠組みが異なります。正しくは:精神分析は行動療法の一種ではありません。無意識を扱う深層心理学の領域です。選びやすい理由:心理療法全般という広い括りで考えると、どれも『心の問題を解決する』という点では共通しているため、区別がつきにくいかもしれません。混同注意:他の選択肢が具体的な行動変容を目指す技法であるため、精神分析のようなより包括的な心理療法と混同しやすいです。
- 2. 系統的脱感作法は、不安や恐怖反応を段階的に減少させるための行動療法の一つです。リラクゼーションと不安階層表を用いて、特定の刺激に対する恐怖反応を条件づけ解除することを目指します。正しくは:これは行動療法の一種です。選びやすい理由:「脱感作」という言葉から、薬物療法など別の治療法と勘違いする可能性もあります。混同注意:暴露療法と混同しやすいですが、暴露療法が直接的に不安刺激に曝露するのに対し、系統的脱感作法は段階的に行い、リラクセーションを併用するのが特徴です。
- 3. 曝露反応妨害法は、強迫性障害の治療に用いられる行動療法の一つです。不安を引き起こす状況(曝露)に身を置きながら、強迫行為(反応)を行わないよう妨害することで、強迫観念と強迫行為の悪循環を断ち切ることを目的とします。正しくは:これは行動療法の一種です。選びやすい理由:「妨害」という言葉が少し攻撃的な印象を与えるため、一般的な心理療法とは異なるように感じるかもしれません。混同注意:系統的脱感作法と類似していますが、こちらは主に強迫性障害に用いられ、反応(強迫行為)の妨害に重点を置く点が異なります。
- 4. トークンエコノミー法は、特定の望ましい行動に対してトークン(代用貨幣)を与え、それを集めることで実際の報酬と交換できる行動療法の一つです。主に、精神科病院や学校、施設などで行動変容を促すために利用されます。正しくは:これは行動療法の一種です。選びやすい理由:「トークン」という言葉から、現代のポイント制度のようなものと捉え、医療行為ではないと考える人もいるかもしれません。混同注意:オペラント条件づけの応用技法であり、単純な報酬系と混同しやすいですが、トークンを介すことで即時強化と遅延強化の両方の効果を狙います。
- 5. バイオフィードバック法は、通常意識できない生体機能(心拍数、皮膚温、筋電図など)をモニターで可視化し、それを意識的にコントロールする訓練を行う行動療法の一つです。ストレス管理や慢性疼痛の緩和などに用いられます。正しくは:これは行動療法の一種です。選びやすい理由:「バイオフィードバック」という言葉が医療機器を用いるため、行動療法とは異なる医学的治療法と誤解されることがあります。混同注意:リラクセーション法の一種と捉えられがちですが、こちらは生体反応のフィードバックによって自己制御を学習する点でより能動的な要素が強いです。
国試ポイント
行動療法の具体的な技法とその理論的背景を理解しているか、また他の主要な心理療法(精神分析など)との区別ができているかが問われています。特に、各技法がどのような原理(古典的条件づけ、オペラント条件づけなど)に基づいているかを理解することが重要です。
混同注意
行動療法と認知行動療法、精神分析、人間性心理療法など、様々な心理療法・精神療法との理論的・実践的な違い。
次に同じ論点が出たら
今後も行動療法の具体的な技法とその適用疾患、または他の心理療法との比較問題が出題される可能性が高いです。特に、行動変容ステージモデルや認知行動療法との関連性も確認しておくと良いでしょう。
関連知識
行動療法の基礎理論(古典的条件づけ、オペラント条件づけ、観察学習)、認知行動療法の技法、代表的な精神科疾患に対する各療法の適用、各種心理療法の歴史的背景と理論的変遷。