技法としてホームワーク〈宿題〉を用いるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
認知行動療法は、治療セッションで習得した認知や行動のスキルを実生活で適用し、問題解決能力を高めるために、行動実験、思考記録、活動記録などの具体的なホームワーク(宿題)を積極的に活用します。これにより、治療効果の定着と汎化を促進します。
選択肢ごとの解説
- 1. 主に患者の適応能力の向上、自尊心の維持、症状の緩和を目指し、共感や受容を通じて支持的な関係を築くことを重視します。特定の行動変容を促すための宿題は中心的技法ではありません。正しくは:宿題を用いるというよりは、傾聴、共感、安心感の提供などが主な技法です。選びやすい理由:患者の現実的問題解決をサポートする中で、間接的に行動を促すことはあるかもしれませんが、それを「宿題」という形式で体系的に課すことは一般的ではありません。混同注意:認知行動療法のように具体的な課題を出す治療と混同しやすいですが、支持的精神療法はより広範な心理的サポートが中心です。
- 2. 無意識の葛藤や過去の体験を探求し、洞察を深めることを目的とします。自由連想、夢分析、転移の解釈などが主な技法であり、患者に自宅で特定の課題を課す「宿題」は通常用いられません。正しくは:自由連想、夢分析、転移の解釈などが主な技法です。選びやすい理由:内省を深める過程で患者自身が思考を巡らせることはありますが、それを治療者からの「宿題」として定義づけることはありません。混同注意:認知行動療法のような行動変容を目的とした療法とはアプローチが大きく異なります。
- 3. 自己を深く見つめ直し、他者から受けた恩や迷惑、かけてきた迷惑などを内省する技法です。特定のテーマに基づいて過去の人間関係を回想することが中心であり、自宅で具体的な行動を伴う「宿題」を行うことはありません。正しくは:集中内観期間中に、母親、父親など特定の対象について「してもらったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」の3つの観点から徹底的に回想するのが主な技法です。選びやすい理由:瞑想的な要素があるため、自己内省を促すという点で、認知行動療法の思考記録と混同する可能性もゼロではありませんが、目的と方法は異なります。混同注意:精神分析療法や森田療法のような自己探求型の療法と混同しやすいですが、内観療法は決まったテーマと観点での回想が特徴です。
- 4. 正解。認知行動療法では、セッションで学んだスキルや技法を日常生活で実践するために、患者に「宿題」(行動実験、思考記録、活動計画など)を積極的に課します。これにより、治療効果の般化と持続を図ります。
- 5. 神経症的な苦悩を「あるがまま」に受け入れ、現実の行動を重視する療法です。臥褥期、軽作業期、生活訓練期と段階的に活動を増やしていきますが、特定の「宿題」を課すというよりは、治療環境内での具体的な生活行動を通して回復を目指します。外来森田療法では日々の生活で「なすべきこと」を実行するよう指導されますが、認知行動療法の「宿題」とはニュアンスが異なります。正しくは:臥褥期から始まり、日記指導や作業療法を通して「あるがまま」の態度と「なすべきこと」を実行する行動を身につけることが主な技法です。選びやすい理由:「行動を重視する」という点で認知行動療法と似ていると感じるかもしれませんが、森田療法は苦悩を排除しようとせず「あるがまま」に受容することが前提であり、認知行動療法のように認知や行動の具体的な変容を目標とした「宿題」とは異なります。混同注意:認知行動療法のように行動を重視する点で混同しやすいですが、その思想的背景や具体的なアプローチは大きく異なります。
国試ポイント
精神科リハビリテーションや精神疾患患者に対する作業療法士の介入において、各精神療法の基本的な概念、目的、そして具体的な技法を理解しているかが問われます。特に、認知行動療法は近年注目度が高く、その特徴的な技法であるホームワークの有無は重要な識別点です。
混同注意
森田療法も「行動」を重視しますが、苦悩を「あるがまま」に受け入れる態度を養い、日常生活の中で「なすべきこと」を実行していくことを目指す点で、認知や行動の修正を目的とした認知行動療法の「宿題」とは異なります。内観療法も自己を内省する時間を持つ点で、広義の「課題」と捉えられるかもしれませんが、特定の行動変容を促す「宿題」ではありません。
次に同じ論点が出たら
次にこの論点が出た場合、「各精神療法の主要な技法」が問われる可能性が高いです。特に、行動療法的要素を持つ療法(例:暴露療法、行動活性化療法など)と、内省や洞察を重視する療法との違いを明確に区別できるようにしておくことが重要です。また、作業療法介入と密接に関わる療法(例:認知行動療法、SSTなど)の具体的な内容が問われることも予想されます。
関連知識
認知行動療法の基本原則(認知の歪み、行動の活性化、行動実験など)。他の主要な精神療法の基本的な目的と主要技法(支持的精神療法の傾聴と共感、精神分析療法の自由連想と夢分析、内観療法の自己回想、森田療法の臥褥・軽作業・日記指導など)。各療法の適応疾患や対象。