精神遅滞を生じる疾患のうち、先天性代謝異常が原因であるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
フェニルケトン尿症は、フェニルアラニン水酸化酵素の欠損によりフェニルアラニンの代謝が滞り、その結果、神経毒性物質が脳に蓄積して精神遅滞を引き起こす先天性代謝異常症です。早期診断・早期治療(食事療法)により精神遅滞の発症を予防できます。新生児マススクリーニングの対象疾患の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. ダウン症候群は染色体異常(21番染色体のトリソミー)が原因であり、先天性代謝異常ではありません。正しくは:染色体異常選びやすい理由:精神遅滞を伴う代表的な疾患であり、先天性であるため混同しやすいかもしれません。混同注意:先天性代謝異常と染色体異常や他の先天性疾患の原因を混同する可能性があります。
- 2. 結節性硬化症は遺伝子変異(TSC1またはTSC2遺伝子)による常染色体優性遺伝疾患であり、多臓器にわたる良性腫瘍(過誤腫)の形成が特徴です。先天性代謝異常とは異なります。正しくは:遺伝子変異による多臓器良性腫瘍形成疾患選びやすい理由:精神遅滞を伴うことが多く、先天性疾患であるため選択肢として魅力的に見えるかもしれません。混同注意:先天性代謝異常と単一遺伝子疾患や遺伝性の神経皮膚症候群を混同する可能性があります。
- 3. 神経線維腫症(特にタイプ1)は、NF1遺伝子の異常による常染色体優性遺伝疾患であり、神経、皮膚、骨などに病変が生じます。先天性代謝異常には分類されません。正しくは:遺伝子変異による神経皮膚症候群選びやすい理由:精神遅滞を伴うことがあり、先天性疾患であるため誤って選ぶ可能性があります。混同注意:先天性代謝異常と遺伝性疾患一般、特に神経皮膚症候群を混同する可能性があります。
- 4. ターナー症候群は、性染色体(X染色体)のモノソミーや部分欠損が原因で起こる染色体異常症であり、先天性代謝異常ではありません。通常、精神遅滞は伴いませんが、学習障害が見られることがあります。正しくは:性染色体異常選びやすい理由:染色体異常症であり、先天性であるため、代謝異常との区別がつきにくいかもしれません。混同注意:先天性代謝異常と他の種類の先天性疾患、特に染色体異常を混同する可能性があります。
- 5. 正解。フェニルケトン尿症は、アミノ酸の一種であるフェニルアラニンをチロシンに変換する酵素(フェニルアラニン水酸化酵素)の欠損により、体内にフェニルアラニンが蓄積する先天性代謝異常症です。治療せずに放置すると重度の精神遅滞を引き起こします。
国試ポイント
精神遅滞の原因となる様々な疾患について、その根本的な病態生理(染色体異常、単一遺伝子異常、先天性代謝異常など)を正確に理解しているかを問う問題です。代表的な疾患と、それがどのカテゴリーの異常に分類されるかを覚えていることが重要です。
混同注意
精神遅滞を引き起こす先天性疾患は多岐にわたるため、染色体異常症、遺伝子疾患(単一遺伝子疾患、神経皮膚症候群など)、先天性代謝異常症の区別が曖昧になりやすいです。特に、これらがすべて「先天性」という点で共通しているため、原因の具体的な違いを把握しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず疾患名を見て「遺伝性か否か」「先天性か後天性か」を判断し、次に「染色体異常」「単一遺伝子異常」「先天性代謝異常」「奇形症候群」など、より具体的な病因分類に当てはめていく訓練が必要です。特に主要な疾患については、その原因を即座に答えられるようにしておくことが求められます。
関連知識
ダウン症候群(染色体異常)、脆弱X症候群(遺伝子異常)、先天性甲状腺機能低下症(内分泌代謝異常)、結節性硬化症(遺伝子異常)、神経線維腫症(遺伝子異常)、ガラクトース血症(先天性代謝異常)、メープルシロップ尿症(先天性代謝異常)、ライソゾーム病(先天性代謝異常)。新生児マススクリーニングの対象疾患についても関連知識として押さえておくべきです。