疾患と病変の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
アルツハイマー型認知症の主要な病理学的特徴は、アミロイドβペプチドの異常な蓄積による老人斑(アミロイドプラーク)の形成と、タウ蛋白の異常リン酸化による神経原線維変化です。選択肢2は、これらの病変のうちアミロイドの沈着を適切に指摘しています。
選択肢ごとの解説
- 1. レビー小体型認知症の主な病変は、大脳皮質や脳幹に分布する神経細胞内に蓄積するレビー小体です。大脳白質の病変は、通常レビー小体型認知症の中心的な特徴ではありません。正しくは:レビー小体型認知症:大脳皮質や脳幹におけるレビー小体の出現選びやすい理由:認知症全般で脳の構造的変化があるという漠然とした知識から、白質病変も関連するのではと考えてしまうかもしれません。混同注意:他の認知症(特に血管性認知症)で白質病変が目立つ場合があるため、混同しやすいです。
- 2. 正解。アルツハイマー型認知症の主要な病理学的特徴の一つは、脳内にアミロイドβペプチドが異常に蓄積し、老人斑(アミロイドプラーク)を形成することです。
- 3. 血管性認知症は、脳血管障害(脳梗塞や脳出血など)によって引き起こされる認知症であり、脳実質(特に大脳皮質下や白質)の病変が特徴です。黒質の神経細胞脱落はパーキンソン病の主要な病変であり、血管性認知症とは関連しません。正しくは:血管性認知症:脳血管障害による脳実質の病変(脳梗塞、脳出血など)選びやすい理由:認知症は脳の病気であり、神経細胞の脱落が伴うという一般的なイメージから、一見正しいように思えるかもしれません。混同注意:パーキンソン病やレビー小体型認知症(パーキンソン症状を伴う)と混同しやすいです。
- 4. 大脳皮質基底核変性症は、大脳皮質や基底核の神経細胞変性・脱落が特徴で、認知機能障害や運動症状(皮質性感覚障害、失行、ジストニア、パーキンソン症状など)を呈します。運動ニューロン病変は筋萎縮性側索硬化症(ALS)の主要な病変です。正しくは:大脳皮質基底核変性症:大脳皮質および基底核の神経細胞変性・脱落選びやすい理由:「変性症」という言葉から、神経系の広範囲な病変を想像し、運動ニューロンも含まれるのでは、と考えるかもしれません。混同注意:筋萎縮性側索硬化症(ALS)や他の神経変性疾患と混同しやすいです。これらも共通して神経変性疾患という括りに含まれるため、誤解を招きやすいです。
- 5. 前頭側頭型認知症(FTLD)は、前頭葉と側頭葉の萎縮が特徴であり、神経細胞の変性・脱落が起こります。神経細胞が腫大する病変は、特定の代謝性疾患(例えばタイサックス病など)や、一部の神経変性疾患で観察されることがありますが、前頭側頭型認知症の主要な病理ではありません。正しくは:前頭側頭型認知症:前頭葉および側頭葉の神経細胞変性・脱落、タウ蛋白やTDP-43などの異常蓄積選びやすい理由:「変性」という言葉のイメージから、細胞が異常な形態をとることを連想し、腫大もその一種と考えてしまうかもしれません。混同注意:神経細胞の形態異常という点で、アミロイド沈着やレビー小体など、他の異常な細胞内・外構造と混同しやすいです。
国試ポイント
各認知症疾患の主要な病理学的特徴(病変の種類と場所)を正確に理解しているかが問われています。特に、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症、前頭側頭型認知症の鑑別診断に必要な病理学的知見が重要です。
混同注意
認知症の各タイプは、病態が複雑で複数の病理が関与することもあり、それぞれの特徴的な病変を他の疾患の病変と混同しやすいです。特に、神経細胞の変性、脱落、特定の蛋白(アミロイド、タウ、レビー小体、TDP-43など)の蓄積がどの疾患に特徴的であるか、という点が混乱しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合、疾患名だけでなく、その病変が具体的にどのような物質の蓄積や細胞の変化として現れるのか、そしてそれが脳のどの部位に起こるのかという詳細まで問われる可能性があります。また、画像所見(例:MRIでの萎縮部位)と病理学的特徴を結びつける問題も考えられます。
関連知識
アルツハイマー型認知症:老人斑(アミロイドβ)、神経原線維変化(リン酸化タウ)。レビー小体型認知症:レビー小体(α-シヌクレイン)。血管性認知症:脳梗塞、脳出血、微小血管病変。前頭側頭型認知症:タウ、TDP-43、FUSなどの異常蓄積、前頭側頭葉の萎縮。大脳皮質基底核変性症:タウ陽性介在物、皮質および基底核の萎縮。