運動時の生体反応で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
運動時には、活動筋へのエネルギー供給を確保するため、肝臓や筋肉に貯蔵されているグリコーゲンが分解され、グルコースが供給されます。これは生体エネルギー代謝の基本的な反応です。
選択肢ごとの解説
- 1. 運動時は心筋の酸素需要が増大するため、冠血流は増加します。冠血流が低下すると心筋虚血を引き起こします。正しくは:冠血流は増加する。選びやすい理由:安静時と比較して体内の他の部位への血流再配分があるため、一部の学生は心臓への血流が減少すると誤解するかもしれません。しかし心臓自体への血流は増えます。混同注意:全身への血流配分と、心臓自身の血流増加を混同する可能性。
- 2. 運動時には骨格筋への血流を優先するため、腎臓などの内臓への血流は相対的に減少します。これは交感神経活動の亢進による血管収縮が主な原因です。正しくは:腎血流は減少する。選びやすい理由:運動により全身の血流が増加するため、腎臓への血流も増加すると考えるかもしれませんが、これは誤りです。混同注意:全身の循環血液量と、特定臓器への血流配分を混同する可能性。
- 3. 正解。運動時には活動筋のエネルギー源としてブドウ糖の供給を増やす必要があります。そのため、肝臓や筋肉に貯蔵されているグリコーゲンが分解され、グルコースが生成・供給されます。正しくは:この記述は正しい。選びやすい理由:特になし。生体エネルギー代謝の基本知識に合致している。混同注意:グリコーゲン合成と分解のタイミングを混同する可能性。
- 4. 運動時には汗による水分・ナトリウムの喪失や、血圧維持のため、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系や抗利尿ホルモンの作用により、腎臓でのナトリウムや水分の再吸収が促進され、尿中への排泄は抑制されます。正しくは:尿へのナトリウム排泄は抑制される。選びやすい理由:発汗により体内の電解質バランスが変化するため、排泄も促進されると考えるかもしれませんが、体内の恒常性を維持するために抑制されます。混同注意:発汗によるナトリウム喪失と、腎臓でのナトリウム排泄抑制を混同する可能性。
- 5. 運動時には活動筋で酸素の消費が増加するため、動脈血から組織への酸素供給量が増え、静脈血の酸素飽和度が低下します。結果として、動脈血と静脈血の酸素含有量の差(動静脈較差)は増大します。正しくは:酸素含有量の動静脈較差は増大する。選びやすい理由:運動により呼吸数が増え酸素が豊富になるため、動静脈較差が縮小すると誤解するかもしれませんが、組織での酸素消費が増えるため較差は拡大します。混同注意:血液中の酸素飽和度と、組織での酸素消費量を混同する可能性。
国試ポイント
運動時の生体反応に関する基本的な知識(循環器系、腎臓、代謝、呼吸器系など)が問われています。特に血流の再配分、エネルギー代謝、電解質・水分調節、酸素運搬のメカニズムを理解しているかが重要です。複数の生理系にわたる知識を正確に覚えている必要があります。
混同注意
運動時の生体反応は多岐にわたるため、血流の増加・減少、ホルモン作用、代謝経路など、それぞれの変化の方向性を混同しやすいです。特に、全身的な変化(例:総血流増加)と特定の臓器での変化(例:腎血流減少)の区別が重要です。
次に同じ論点が出たら
今後も運動時の生体反応は頻出テーマです。今回は代謝に関する問題が正答でしたが、次回は循環器系や呼吸器系、あるいはホルモン調節に関する内容が正答となる可能性が高いです。各臓器やシステムの『なぜそうなるのか』という理由付けとともに、変化の方向性を確実に記憶することが求められます。
関連知識
運動生理学、解剖生理学、生化学。特に自律神経系による循環調節、エネルギー代謝経路(解糖系、TCA回路、電子伝達系)、ホルモンによる水分・電解質調節(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系、ADH)、血液ガス分析。