作動記憶〈ワーキングメモリー〉の説明として適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
作動記憶(ワーキングメモリ)は、リハーサルによって情報を短期的に保持するだけでなく、その情報を用いた処理を同時に行うことができる、動的な記憶システムです。情報を一時的に「作業台」に載せて操作するような働きを担っており、日常生活における複雑な認知活動の基盤となります。選択肢1〜4は、長期記憶(特にエピソード記憶、意味記憶、手続き記憶)の特徴や、作動記憶以外の記憶分類に関する説明であり、作動記憶の核心的な機能を表していません。
選択肢ごとの解説
- 1. 作動記憶は、短期的な情報の保持と処理を行うシステムであり、その保持期間は非常に短く、数秒から数十秒程度です。数日間の保持は長期記憶の特徴です。正しくは:保持期間は数秒から数十秒程度です。選びやすい理由:記憶と聞くと保持期間が長いものと混同しやすい。混同注意:長期記憶、特にエピソード記憶や意味記憶と混同しやすい。
- 2. 作動記憶は宣言的記憶と非宣言的記憶のどちらでもなく、情報を一時的に保持・操作する記憶システムです。非宣言的記憶には手続き記憶などが含まれます。正しくは:宣言的記憶と非宣言的記憶の分類とは異なる機能的記憶システムです。選びやすい理由:記憶の分類が多岐にわたるため、作動記憶もそのどれかに当てはまると思い込みやすい。混同注意:宣言的記憶(エピソード記憶、意味記憶)や非宣言的記憶(手続き記憶、プライミングなど)といった長期記憶の分類と混同しやすい。
- 3. 技能の記憶は非宣言的記憶の一種である手続き記憶に分類されます。作動記憶は技能の習得や実行時に情報を一時的に保持・操作する役割はありますが、技能そのものの長期的な記憶を司るものではありません。正しくは:特定の技能の記憶を司るのは手続き記憶です。選びやすい理由:作動記憶が運動や行動の遂行に関わるため、技能と直接結びつけて考えてしまう。混同注意:手続き記憶と混同しやすい。
- 4. 生活史に関する記憶、すなわち個人的な出来事の記憶はエピソード記憶であり、宣言的記憶(長期記憶)の一種です。作動記憶は、これらの長期記憶を呼び出したり、新しい情報を一時的に処理したりする際に利用されますが、生活史そのものを記憶する機能ではありません。正しくは:個人の生活史に関する記憶はエピソード記憶です。選びやすい理由:「記憶」という言葉から、個人の体験全体を保持するものと捉えやすい。混同注意:エピソード記憶と混同しやすい。
- 5. 正解。作動記憶は、情報を短期間保持しつつ、その情報を使って様々な認知処理(推論、理解、問題解決など)を同時に行う記憶システムです。これが作動記憶の中心的な機能です。
国試ポイント
作動記憶(ワーキングメモリ)の定義と、その最も重要な機能(情報の一時的保持と処理の同時実行)が問われています。短期記憶との違いや、長期記憶(宣言的記憶、非宣言的記憶)の各サブタイプとの区別を正確に理解しているかが試されます。
混同注意
短期記憶、長期記憶、宣言的記憶、非宣言的記憶、エピソード記憶、意味記憶、手続き記憶
次に同じ論点が出たら
作動記憶の構成要素(例:中央実行系、音韻ループなど)や、特定の高次脳機能障害(例:注意障害、遂行機能障害)との関連性、または評価方法について問われる可能性が高い。
関連知識
作動記憶モデル(Baddeley & Hitchの多成分モデル:中央実行系、音韻ループ、視空間スケッチパッド、エピソードバッファ)、短期記憶と作動記憶の違い(短期記憶は保持に重点、作動記憶は保持と処理に重点)、記憶の多重貯蔵モデル(Atkinson & Shiffrinモデル)。