古典的条件付けの原理を用いた治療法はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
古典的条件付けとは、特定の刺激(条件刺激)が、元々反応を引き起こさない刺激(中性刺激)と繰り返し対提示されることで、その中性刺激が反応(条件反応)を引き起こすようになる現象です。曝露療法は、恐怖や不安を条件付けられた刺激に対して、安全な状況で繰り返し接触させることで、その刺激に対する恐怖反応(条件反応)を消去(馴化)させることを目的とします。これは古典的条件付けにおける消去の原理を直接応用した治療法です。他の選択肢は、認知行動療法やオペラント条件付けの原理を用いた治療法であり、古典的条件付けとは異なります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。曝露療法は、恐怖や不安を感じる刺激に対して、対象者が徐々に慣れるように繰り返し提示することで、不安反応を弱めることを目指します。これは、条件付けられた恐怖反応(条件反応)を消去するプロセスであり、古典的条件付けの原理に基づいています。
- 2. 認知再構成法は、認知行動療法の技法の一つで、患者の非現実的または非機能的な思考パターン(自動思考など)を特定し、より現実的で適応的な思考に置き換えることを目的とします。これは認知に焦点を当てたアプローチであり、古典的条件付けとは異なります。正しくは:これは、患者の非機能的な思考パターンを特定し、それをより現実的で適応的な思考に置き換えることを目的とした認知行動療法の手法です。選びやすい理由:心理療法全般の知識があれば選択肢として検討されるかもしれませんが、特定の理論的背景の理解が問われているため、誤りです。混同注意:オペラント条件付けや認知行動療法の他の技法と混同しやすいかもしれません。
- 3. トークンエコノミー法は、望ましい行動が示された際に「トークン(代用貨幣)」を与え、それを集めることで実際の報酬と交換できるというシステムです。これは行動の直後の結果によってその行動の頻度を増減させる「オペラント条件付け」の原理を応用したものです。正しくは:これは、望ましい行動に対して報酬を与え、行動の頻度を増やすことを目的とした「オペラント条件付け」に基づいた行動療法です。選びやすい理由:行動療法の一種であるため、心理療法の手法として正しいと誤解される可能性がありますが、古典的条件付けではない点が誤りです。混同注意:古典的条件付けとオペラント条件付けの区別が曖昧な場合に選びやすいです。
- 4. セルフモニタリング法は、自身の思考、感情、行動、身体反応などを客観的に記録・観察する技法です。これは自己認識を高め、行動変容のきっかけを作るための認知行動療法やその他の行動療法で用いられますが、古典的条件付けの原理を直接用いるものではありません。正しくは:これは、患者自身が自身の行動や思考を記録し、客観的に評価することで自己理解を深め、行動変容を促す認知行動療法の技法です。選びやすい理由:患者自身が関わる治療法として身近に感じられるかもしれませんが、古典的条件付けの理論とは直接結びつきません。混同注意:これも認知行動療法の一技法であるため、他の行動療法と混同しやすいです。
- 5. 社会生活技能訓練(SST)は、ロールプレイングなどを通じて対人関係や日常生活における具体的な技能を学ぶ訓練です。これは主に学習理論、特にモデリング(観察学習)やオペラント条件付けの原理を応用したものですが、古典的条件付けとは異なります。正しくは:これは、社会的な状況で適切に行動するための技能をロールプレイングやフィードバックを通じて学習する訓練であり、主にモデリングやオペラント条件付けに基づいています。選びやすい理由:これも行動療法の一種であり、様々な学習理論が組み合わされているため、古典的条件付けも含まれると誤解されることがあります。混同注意:モデリングやオペラント条件付けなど、行動療法の他の学習理論と混同しやすいです。
国試ポイント
本問題は、心理学の学習理論、特に古典的条件付けとオペラント条件付けの区別、およびそれぞれの原理を応用した治療法の知識を問うものです。基本的な概念とその応用例を正確に理解しているかが重要となります。
混同注意
古典的条件付けとオペラント条件付けの理論的背景とその応用される治療法が混同されやすい。また、行動療法全般の技法と、それぞれの根拠となる学習理論を結びつけて理解できていない場合に誤答しやすい。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、古典的条件付けとオペラント条件付けの定義と具体的な違い、それぞれがどのような精神疾患の治療に応用されるか、他の学習理論(モデリング、洞察学習など)と区別できるか、といった点が問われる可能性が高い。
関連知識
古典的条件付け(パブロフの犬、条件刺激、無条件刺激、条件反応、無条件反応、消去、自発的回復)、オペラント条件付け(スキナー、強化、弱化、正の強化、負の強化、トークンエコノミー法、シェイピング、モデリング)、認知行動療法の主要技法(認知再構成法、問題解決療法、セルフモニタリング)。