PTSD〈外傷後ストレス障害〉への作業療法場面での対応で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
PTSD患者に対する心理教育は、自分の反応が異常ではないと理解を促し、不安を軽減する上で非常に重要です。外傷後の一般的な反応について説明することは、患者さんの自己理解を深め、治療への参加を促す第一歩となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 心的外傷体験を話すタイミングは患者さんの準備性によります。数か月経ったからといって一律に触れないようにするのは不適切です。適切なタイミングで安全な環境下で語ることは治療プロセスにおいて重要です。正しくは:患者さんの準備性に合わせて、安全な環境で心的外傷体験について話す機会を設ける必要がある。選びやすい理由:患者さんの苦痛を増やさないようにという配慮から選んでしまう可能性がある。しかし、適切な時期に体験を語ることは治療に不可欠。混同注意:患者さんの負担軽減と、治療的介入の区別が混同しやすい。回避は症状を維持・悪化させる可能性がある。
- 2. 心的外傷体験直後の詳細な聞き取りは、患者さんに再外傷を与えたり、症状を悪化させたりするリスクが高いです。急性期には、まずは安全確保と精神的安定を優先します。正しくは:心的外傷体験直後は、患者さんの安全を確保し、精神的な安定を図ることが優先される。詳細な体験の語り直しは、専門家の指導のもと、適切な時期と方法で行われるべきである。選びやすい理由:予防的な介入の重要性は理解されやすいが、その方法とタイミングが誤っていることに気づきにくい。混同注意:デブリーフィング(危機介入)とトラウマ処理(精神療法)が混同されやすい。直後のデブリーフィングは推奨されないことが多い。
- 3. 正解。心的外傷後の一般的な反応(例:不眠、過覚醒、フラッシュバック、回避行動など)について説明することで、患者さんは自分の反応が異常ではないことを理解し、孤立感を軽減できます。これは心理教育の一環であり、症状の自己理解を深め、不安を和らげる効果があります。
- 4. 心的外傷体験に対する曝露療法などでは、意図的に体験に触れることで馴化を促し、恐怖反応の軽減を目指します。馴化を妨げることは、症状の改善を阻害する可能性があります。正しくは:適切な治療的介入(例:曝露療法)では、心的外傷体験への馴化を促し、不安や恐怖反応の軽減を目指すことがある。選びやすい理由:慣れが症状の軽視につながるという誤解から選んでしまう可能性がある。混同注意:馴化と回避行動の区別が混同しやすい。不適切な馴化を避けることと、治療的な馴化を促すことの違いを理解することが重要。
- 5. PTSDの治療は、症状の複雑さや個々の患者さんの状態により、長期間を要することが一般的です。短期間での完結を目標にすることは、治療へのプレッシャーとなり、適切な治療プロセスを妨げる可能性があります。正しくは:PTSDの治療は、患者さんの状態や回復のペースに合わせて、必要な期間を確保して行うことが重要である。選びやすい理由:治療効果を早く出したいという気持ちや、患者さんの負担を減らしたいという思いから選んでしまう可能性がある。混同注意:急性ストレス反応(短期間で改善する可能性が高い)とPTSD(より持続的で複雑な治療が必要)が混同しやすい。
国試ポイント
PTSDの作業療法における基本的な対応や心理教育の重要性、また急性期と慢性期での対応の違いが問われる。特に、患者の安全と安定を最優先し、タイミングと方法を誤らないことの理解が求められる。
混同注意
PTSD治療における「急性期の対応」と「慢性期の対応」、また「体験の語り直し」の適切な時期と方法が混同されやすい。危機介入のデブリーフィングと精神療法の曝露療法の違いも理解しておく必要がある。
次に同じ論点が出たら
次回は、PTSD患者に対する作業療法の具体的な介入内容(例:ストレスマネジメント技法、マインドフルネス、趣味活動の再開支援など)や、具体的なケース設定での対応の優先順位が問われる可能性がある。
関連知識
心理教育、安全確保、安定化、曝露療法、認知行動療法(CBT)、EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)。作業療法では、日常生活活動への再適応、ストレスマネジメント、セルフケアの獲得、社会参加の促進などが主な介入目標となる。