人間作業モデルについて正しいのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・3番
解説
人間作業モデル(MOHO)は、個人の作業行動を理解するための包括的な枠組みです。このモデルでは、習慣化サブシステムにおいて個人の習慣的な行動パターンが評価され(選択肢1)、また意欲サブシステムにおいて、自身の作業遂行能力に対する有能感や自己効力感が重視され評価されます(選択肢3)。MOHOは認知症患者にも適用可能であり、特定の満足度評価スケールのみを用いるわけではありません。また、運動技能とプロセス技能は『作業遂行技能』の一部であり、MOHO全体を構成する主要な要素ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。人間作業モデルでは、習慣が個人の作業参加に重要な役割を果たすと考えられており、評価項目の一つです。特に、習慣化(habituation)はMOHOの主要なサブシステムの一つで、役割や習慣、日課に焦点を当てます。
- 2. 人間作業モデルは、認知症を含む様々な健康状態や年齢層のクライエントに適用可能です。その枠組みは、認知機能のレベルに関わらず、個人の作業への参加や意味を理解し支援するために利用できます。正しくは:人間作業モデルは、認知機能が低下している患者にも適用可能です。選びやすい理由:複雑な理論モデルであるため、認知機能が低い人には適用が難しいと考えてしまうかもしれませんが、MOHOは様々なレベルで適用できる柔軟性を持っています。混同注意:認知行動療法や特定の認知機能評価ツールと混同し、認知機能が低いと使えないと誤解する可能性があります。
- 3. 正解。人間作業モデルでは、有能感(competence)や自己効力感(self-efficacy)が、個人の作業行動や動機づけに大きく影響すると考えられており、評価の重要な要素です。特に、達成(performance)サブシステムの構成要素でもあります。混同注意:単に『作業能力』ではなく、その能力に対する『感じ方』を評価する点が重要です。
- 4. 人間作業モデルは作業に対する満足度を重視しますが、特定の10段階評価スケールを唯一の標準評価法として指定しているわけではありません。MOHOに基づく評価ツール(例えばMOHOSTなど)では満足度も評価しますが、その方法は多様です。正しくは:人間作業モデルでは作業に対する満足度を評価しますが、特定の10段階評価スケールのみを用いるわけではありません。選びやすい理由:満足度はMOHOにおいて重要な要素であるため、評価項目の一つとして認識しがちですが、具体的な『10段階測定』という限定的な表現が誤りです。混同注意:他の評価スケールやQOL評価と混同し、MOHOも具体的な段階評価を特定していると誤解する可能性があります。
- 5. 運動技能とプロセス技能は、人間作業モデルの『作業遂行技能(performance skills)』の主要な構成要素ですが、人間作業モデル全体は、意欲(volition)、習慣化(habituation)、達成(performance capacity)、そして環境(environment)といった複数のサブシステムとそれらの相互作用で構成される、より広範な概念です。したがって、『主に構成される』という表現は誤りです。正しくは:運動技能とプロセス技能は、人間作業モデルの『作業遂行技能』を構成する要素の一部である。選びやすい理由:運動技能とプロセス技能はMOHOの重要な評価項目であるため、これらがMOHOの中心的な構成要素であると誤解しやすいです。しかし、これらは『作業遂行技能』というMOHOのサブシステム内の一要素に過ぎません。混同注意:MOHOの全体像と、その中の特定の構成要素である『作業遂行技能』を混同しやすいです。
国試ポイント
人間作業モデル(MOHO)の主要な概念、構成要素、および適用範囲を正確に理解しているかが問われています。特に、MOHOを構成するサブシステム(意欲、習慣化、達成)とその内容、そして評価の視点が重要です。他のモデルや評価法との混同を避けるための詳細な知識が求められます。
混同注意
他の作業療法モデル(例:CMOP-E, PEOP)との概念の混同、MOHOの評価ツール(例:MOHOST, OSA)の内容との混同、MOHO内の特定のサブシステムとモデル全体の構成との混同。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、MOHOの各サブシステム(特に意欲、習慣化、達成)の詳細な内容と、それぞれがどのような側面を評価・支援の対象とするのかが問われる可能性があります。また、MOHOが適用可能な対象者の範囲や、具体的な評価方法についても注意が必要です。
関連知識
MOHOのサブシステム(意欲、習慣化、達成、環境)のそれぞれの定義と内容。MOHOに基づく主な評価ツール(MOHOST、OSA、OPHI-IIなど)の概要。MOHOの臨床適用例。