抗コリン薬の作用で生じにくいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
抗コリン薬は、アセチルコリンの働きを阻害することで副交感神経系の作用を抑制します。唾液腺の分泌も副交感神経系によって促進されるため、抗コリン薬の服用により唾液分泌は抑制され、口腔乾燥(口渇)が生じます。したがって、唾液が過剰に出る「流涎」は抗コリン薬の作用では生じにくい症状です。他の選択肢の尿閉、便秘、せん妄、めまいは、抗コリン薬の一般的な副作用として知られています。
選択肢ごとの解説
- 1. 抗コリン薬は膀胱の排尿筋を弛緩させ、尿道括約筋を収縮させる作用があるため、尿閉を引き起こす可能性があります。正しくは:抗コリン薬は排尿筋の活動を抑制するため、尿閉を引き起こすことがあります。選びやすい理由:排尿困難の症状として一般的であり、抗コリン薬が自律神経系に作用することを知っていると、関連性があるように感じられるかもしれません。混同注意:尿失禁に対する効果と混同する可能性があります。抗コリン薬は過活動膀胱による尿失禁の治療に用いられますが、これは排尿筋の収縮を抑制することで効果を発揮するため、過剰な抑制は尿閉につながります。
- 2. 抗コリン薬は消化管の蠕動運動を抑制するため、便秘を引き起こす可能性があります。正しくは:抗コリン薬は腸の動きを遅くするため、便秘を引き起こすことがあります。選びやすい理由:抗コリン薬の作用機序が消化管の動きを抑制することを知っていると、便秘が副作用として起こることは容易に想像できます。混同注意:下痢止めとしての効果と混同する可能性があります。抗ココリン薬は腸の過剰な動きを抑えるため下痢の症状を緩和することがありますが、その結果として便秘が生じることがあります。
- 3. 正解。抗コリン薬は副交感神経の働きを抑えるため、唾液腺からの分泌を抑制し、むしろ口渇(口腔乾燥)を引き起こします。そのため、唾液が過剰に出る流涎は生じにくい症状です。
- 4. 抗コリン薬は中枢神経系に作用し、アセチルコリンの伝達を阻害することで、特に高齢者においてせん妄や認知機能障害を引き起こすリスクがあります。正しくは:抗コリン薬は中枢神経系への影響により、せん妄を引き起こすことがあります。選びやすい理由:中枢神経系への副作用としてよく知られているため、選択肢として自然に見えます。混同注意:他の向精神薬の副作用と混同する可能性がありますが、抗コリン薬によるせん妄は特に高齢者で問題となります。
- 5. 抗コリン薬は中枢神経系への作用や、眼の調節障害(視調節麻痺)などにより、めまいやふらつきを引き起こす可能性があります。正しくは:抗コリン薬は中枢神経系や視機能への影響により、めまいを引き起こすことがあります。選びやすい理由:抗コリン薬が自律神経系や中枢神経系に作用することを知っていると、めまいが起こりやすい副作用であると判断しやすいです。混同注意:起立性低血圧によるめまいなど、他の薬剤の副作用と混同する可能性がありますが、抗コリン薬も直接的・間接的にめまいを引き起こすことがあります。
国試ポイント
抗コリン薬の具体的な薬理作用と、それによって引き起こされる主な副作用(抑制される症状と誘発される症状)を正確に理解しているかを問う問題です。特に、副交感神経系の抑制が全身にどのような影響を及ぼすか、そして中枢神経系への影響についても把握しておく必要があります。
混同注意
抗コリン薬の作用を理解する上で、交感神経と副交感神経の作用、特にアセチルコリンが関与する受容体(ムスカリン受容体など)の役割を混同しやすいです。また、消化管運動抑制と排泄促進、唾液分泌抑制と唾液分泌促進など、正反対の作用を誤認しやすい傾向があります。
次に同じ論点が出たら
この論点から次に類題が出題される場合、抗コリン薬の具体的な疾患への適用と、その際のメリット・デメリット(副作用)について問われる可能性があります。また、抗コリン薬が禁忌となる疾患(緑内障、前立腺肥大症など)や、他の薬剤との相互作用についても注意が必要です。
関連知識
抗コリン薬はパーキンソン病治療薬、過活動膀胱治療薬、過敏性腸症候群治療薬、喘息治療薬など、多岐にわたる疾患で用いられます。代表的な薬剤の例として、トリヘキシフェニジル(パーキンソン病)、オキシブチニン(過活動膀胱)、ブスコパン(鎮痙薬)などがあります。それぞれの薬剤の主な副作用についても関連付けて学習することが重要です。