疾患または症候と異常歩行の組合せで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
運動失調は、小脳や脊髄の障害によって体の協調性が失われる状態であり、酩酊歩行はその代表的な症状の一つです。酩酊歩行では、バランスを保つために両脚を広げ、左右にふらつきながら歩く不安定な歩容が特徴です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。運動失調は、小脳の機能障害などにより、協調運動の障害が生じる状態を指します。酩酊歩行(失調性歩行)は、足元がふらつき、左右に揺れる、酩酊時のような不安定な歩行パターンであり、運動失調の典型的な症状の一つです。
- 2. すくみ足歩行は主にパーキンソン病に見られる特徴的な歩行です。フレイルは高齢者にみられる虚弱状態を指し、筋力低下やバランス能力の低下により転倒しやすくなるものの、すくみ足歩行は直接的な特徴ではありません。正しくは:フレイルの高齢者には、不安定な歩行、小刻み歩行、脚の挙上不良などが見られることがあります。すくみ足歩行はパーキンソン病の特徴です。選びやすい理由:フレイルも高齢者の歩行障害に関連するため、一見正しそうに見えるかもしれません。しかし、特定の歩行パターンである「すくみ足歩行」はフレイルの直接的な特徴ではありません。混同注意:フレイルによる歩行の変化(例:緩慢、不安定)と、パーキンソン病に特有のすくみ足歩行を混同しやすいです。
- 3. パーキンソン病の代表的な歩行障害は、小刻み歩行、すくみ足歩行、突進歩行などです。はさみ脚歩行は、両下肢の内転筋の緊張が高まることで、歩行時に膝や大腿が交差するように見える歩行パターンであり、主に両側性の痙性麻痺、例えば脳性麻痺や脊髄損傷などで見られます。正しくは:パーキンソン病の異常歩行は、小刻み歩行やすくみ足歩行です。はさみ脚歩行は痙性対麻痺などで見られます。選びやすい理由:パーキンソン病も運動障害を伴うため、何らかの異常歩行と結びつけやすいですが、具体的に「はさみ脚歩行」ではない点に注意が必要です。混同注意:パーキンソン病の他の異常歩行(小刻み歩行など)と、はさみ脚歩行の特徴を混同しやすいです。
- 4. 脳卒中による片麻痺では、痙性による尖足(足関節の底屈)や下肢伸展パターンが特徴的で、分回し歩行(ぶんまわしほこう)が見られることが多いです。踵足歩行は、足関節の背屈筋力が過剰になったり、下腿三頭筋の麻痺などにより、踵が先に接地し、その後も踵に重心が残りやすい歩行であり、稀なパターンです。正しくは:脳卒中片麻痺の異常歩行は、尖足・内反を伴う分回し歩行が典型的です。踵足歩行は総腓骨神経麻痺などにより足関節の底屈ができない場合に生じることがあります。選びやすい理由:脳卒中片麻痺も異常歩行を伴うため、一見すると正しそうに思えるかもしれませんが、踵足歩行は一般的ではありません。混同注意:脳卒中片麻痺の一般的な歩行パターン(分回し歩行、痙性歩行)と、踵足歩行の特徴を混同しやすいです。
- 5. 総腓骨神経麻痺では、足関節の背屈筋が麻痺するため、下垂足(drop foot)となります。このため、つま先が地面に引っかからないように、膝を高く上げる鶏歩(けいほ)または馬蹄歩(ばていほ)と呼ばれる歩行パターンを呈します。分回し歩行は、主に脳卒中片麻痺などで見られる、下肢を外転・回旋させて半円を描くように振り出す歩行です。正しくは:総腓骨神経麻痺の異常歩行は鶏歩(馬蹄歩)です。分回し歩行は脳卒中片麻痺の典型的な歩行です。選びやすい理由:どちらも麻痺による異常歩行であり、混同しやすい点です。混同注意:総腓骨神経麻痺による鶏歩(馬蹄歩)と、脳卒中片麻痺による分回し歩行を混同しやすいです。それぞれの麻痺部位と、それがどの筋肉に影響し、どのような歩行パターンを引き起こすかを正確に理解する必要があります。
国試ポイント
この問題は、主要な神経疾患や症状に特有の異常歩行パターンを正確に識別できるかを問うものです。各疾患と歩行パターンの典型的な組み合わせを理解している必要があります。
混同注意
多くの異常歩行パターンが似ていたり、名称が紛らわしいため、それぞれの原因疾患と歩行の特徴を正確に結びつけることが重要です。特に、痙性麻痺による歩行と弛緩性麻痺による歩行、中枢神経系障害と末梢神経系障害による歩行の違いを区別することが求められます。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合、選択肢に挙げられた疾患以外のメジャーな疾患(例:進行性筋ジストロフィー、脊髄性小児麻痺後遺症)とそれに対応する異常歩行(例:動揺性歩行、トレンデレンブルグ歩行)の組み合わせも確認するようにしましょう。
関連知識
パーキンソン病:小刻み歩行、すくみ足歩行、突進歩行。脳卒中片麻痺:分回し歩行、痙性歩行。総腓骨神経麻痺:鶏歩(馬蹄歩)、下垂足。脳性麻痺・脊髄損傷(両側性痙性麻痺):はさみ脚歩行。進行性筋ジストロフィー:動揺性歩行(アヒル歩行)。