認知症患者に対する作業プログラムを作成する上での留意点で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
認知症患者は日中の覚醒水準や集中力に大きな変動が見られるため、個々の患者の最も活動的で集中しやすい時間帯に合わせて作業プログラムを設定することが、効果的な介入につながります。これにより、参加意欲の向上や活動の質の確保が期待できます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。認知症患者では日内変動が大きく、覚醒水準や集中力も変動するため、最も活動的で集中できる時間帯を選ぶことがプログラムの効果を高める上で非常に重要です。個別の状態に合わせた柔軟な対応が求められます。
- 2. 新しいことに挑戦することは一般的に良いとされますが、認知症患者の場合、過度な変化や難易度の高い活動は混乱や失敗体験につながりやすく、不安や意欲低下を招く可能性があります。正しくは:既知の、慣れ親しんだ活動や、わずかな変化を加える程度の活動から始めるべきです。選びやすい理由:リハビリテーションの原則として、挑戦や新しい学習が良いとされるため、一般論として正しい選択肢に見えてしまうかもしれません。混同注意:健常者や回復期にある患者に対するリハビリテーションの考え方と混同しやすいです。
- 3. 活動を単純化すること自体は必要ですが、内容が「幼稚」になることは、患者の自尊心を傷つけたり、意欲を低下させたりする可能性があります。患者の年齢や社会経験に配慮した内容を選ぶべきです。正しくは:活動は、患者の能力に合わせて難易度を調整し、手順を分かりやすくすることは重要ですが、内容自体は幼稚にならないよう、その方の尊厳を損なわないものを選ぶべきです。選びやすい理由:認知機能の低下を考慮し、単純化することの重要性は認識されているため、一見正しいように見えます。混同注意:活動の「単純化」と「内容の幼稚化」を混同しやすいです。単純化は手順や難易度調整を指し、幼稚化は内容の質に関わります。
- 4. 認知症患者の作業療法では、過去の生活歴や興味・関心、得意だったことを考慮することが非常に重要です。これらは患者の動機付けとなり、活動への参加意欲を高め、成功体験につながりやすいからです。現在の状態だけでなく、過去の情報も活用すべきです。正しくは:現在の状態と合わせて、患者の生活歴や趣味、役割などを考慮して活動を選択するべきです。過去の経験に基づく活動は、成功体験につながりやすく、自己肯定感を高めます。選びやすい理由:現在の能力に合わせた活動を選ぶことは重要であるため、この選択肢が魅力的に映る可能性があります。混同注意:現在の機能評価のみに焦点を当てることと、過去の生活背景を含めた全体像を把握することの重要性を混同しやすいです。
- 5. 認知症患者であっても、他者との交流やコミュニケーションは重要です。作品への感想を述べ合うことは、社会性やコミュニケーション能力を維持・向上させる機会となり、達成感を共有し、自尊心を高めることにもつながります。ただし、混乱やトラブルを避けるために適切な配慮は必要です。正しくは:患者同士が作品について建設的な意見交換ができるよう、セラピストが介入し、適切な配慮のもとで交流の機会を設けるべきです。選びやすい理由:認知症患者が混乱したり、批判的な意見によって傷ついたりすることを避けたいという配慮から、一見すると安全策のように思えるかもしれません。混同注意:適切な介入や環境調整の必要性と、コミュニケーション機会そのものを避けるべきという誤った判断を混同しやすいです。
国試ポイント
認知症患者への作業療法における基本的なアセスメントとプログラム立案の原則が問われています。特に、個別のニーズへの対応、尊厳の保持、成功体験の重要性、そして安全で効果的な環境設定の理解がポイントとなります。
混同注意
認知症患者に対するリハビリテーションでは、健常者や他の疾患の患者に対するアプローチとは異なる配慮が必要となる点が頻出です。特に、刺激の与え方(新しさ、難易度)、活動の選択(生活歴、尊厳)、集団での関わり方(コミュニケーション)が誤解されやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、認知症の進行度に応じたプログラム調整、BPSDへの対応、家族支援、環境調整の具体的手法についても確認すると良いでしょう。
関連知識
認知症の症状(記憶障害、見当識障害、実行機能障害、BPSDなど)、作業療法の評価法(MMSE、HDS-Rなど)、個別性尊重の原則、残存機能の活用、心理的安全性、成功体験の重要性。