脳卒中片麻痺の上肢に対する機能回復訓練の課題内容で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
脳卒中片麻痺の上肢機能回復訓練では、運動学習の原則に基づき、簡単な課題から段階的に複雑な課題へと移行させることが重要です。これにより、患者さんは成功体験を積みながら、着実に運動能力を向上させることができます。
選択肢ごとの解説
- 1. 脳卒中片麻痺の回復過程では、まず大きな動きである粗大運動から開始し、徐々に細かい動きである巧緻運動へと進めるのが原則です。麻痺の回復段階に応じて運動の難易度を上げていく必要があります。正しくは:運動の難易度は、大きな動き(粗大運動)から細かい動き(巧緻運動)へと段階的に進める。選びやすい理由:患者さんのモチベーションを考慮し、簡単な動きから始めるという意図で選んでしまう可能性がありますが、巧緻運動は粗大運動よりも難易度が高いです。混同注意:回復期における運動学習の段階付けと混同しやすいです。一般的に、獲得が容易なものから難しいものへと進めるのが原則です。
- 2. 脳卒中片麻痺の回復訓練では、まず正確な運動パターンを学習するためにゆっくりとした速度で運動を行い、その後に速度を上げていくのが一般的です。速い運動は随意性のコントロールが難しいため、初期段階には不適切です。正しくは:運動の速さは、ゆっくりとした動きから速い動きへと変えていく。選びやすい理由:日常生活での素早い動作を想定し、初期から速い動きに取り組むべきだと考えてしまう可能性があります。混同注意:運動学習の原則(易しいものから難しいものへ)と混同しやすいです。速い運動は協調性や集中力をより要するため、難しいとされています。
- 3. 正解。脳卒中片麻痺のリハビリテーションにおいて、運動学習の原則として、まずは簡単な動作や部分的な動きから開始し、徐々に複数の動作を組み合わせた複雑な動作や、環境の変化に対応する応用的な動作へと移行していくことが効果的です。これは、成功体験を積ませながら、段階的に運動能力を向上させるためです。
- 4. 脳卒中片麻痺の回復過程では、まず複数の関節が協調して動く共同運動が出現し、その後、個々の関節を独立して動かす分離運動を獲得していくのが一般的です。訓練もこの回復段階に合わせて、まず共同運動を促し、徐々に分離運動へと移行させるのが基本であり、本選択肢は逆の順序となっています。正しくは:運動のパターンは、複数の関節が一緒に動く運動(共同運動)から、個々の関節が独立して動く運動(分離運動)へと進める。選びやすい理由:正常な運動は分離運動が主体であるため、分離運動から始めるべきだと誤解してしまう可能性があります。混同注意:Brunnstrom回復ステージの順序と混同しやすいです。回復の初期段階では共同運動が優位であり、機能回復の目標は分離運動の獲得です。
- 5. 脳卒中後の患者さんは、集中力や持続力が低下していることが多いため、初期の訓練では短い時間から開始し、疲労を考慮しながら徐々に時間を延長していくのが原則です。長い時間から始めると、疲労により集中力が途切れ、運動学習効果が低下する可能性があります。正しくは:課題に取り組む時間は、短いものから長いものへと変更する。選びやすい理由:より多くの訓練時間を確保すべきだと考えてしまう可能性がありますが、集中力や疲労度を考慮する必要があります。混同注意:訓練の総量と1回あたりの課題時間を混同しやすいです。効果的な学習のためには、質と量のバランスが重要です。
国試ポイント
脳卒中片麻痺患者に対するリハビリテーションの基本的な原則、特に運動学習の段階付けについて問う問題です。Brunnstrom回復ステージの理解も重要となります。
混同注意
運動の難易度(巧緻運動 vs 粗大運動)、運動速度(遅い vs 速い)、運動パターン(共同運動 vs 分離運動)、課題の所要時間など、リハビリテーションの基本的な段階付けを問う各選択肢が、それぞれ逆の方向で提示されており、正しい段階付けの知識が混乱しやすいです。特に共同運動と分離運動の順序はBrunnstromステージと関連して重要です。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合、脳卒中片麻痺のリハビリテーションにおける運動学習の原則(易しいものから難しいものへ、部分的動作から全体動作へ、閉鎖環境から開放環境へなど)が適切に理解できているか、各要素(運動の種類、速度、パターン、環境)について段階付けの方向性が正しく判断できるかを確認します。また、Brunnstrom回復ステージの各段階での目標運動能力についても注意します。
関連知識
Brunnstrom回復ステージ、運動学習の原則、集中と分散練習、シェーピング、フォワーディング・バックワーディング、活動分析と課題分析。