我が国の脊髄損傷の疫学について正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
日本の脊髄損傷の疫学では、高齢化社会の進展に伴い、転倒による受傷が最も主要な原因となっています。特に高齢者の転倒による頸髄損傷が増加傾向にあり、受傷年齢の分布も二峰性を示すようになっています。スポーツ事故は原因の一つですが、全体から見ると転倒が優勢です。
選択肢ごとの解説
- 1. 脊髄損傷の発生率は男性の方が女性よりも高いことが知られています。一般的に男性の約2~4倍とされています。正しくは:脊髄損傷は女性より男性に多く見られます。選びやすい理由:一般的な外傷では男女差がないか、女性に多いものもあるため、脊髄損傷もそうかもしれないと誤解する。混同注意:他の疾患や外傷の男女比と混同しやすい。
- 2. 近年、画像診断や手術技術の進歩により、不全損傷と診断されるケースが増加しており、統計上は不全損傷の割合が完全損傷を上回っています。正しくは:不全損傷の症例数は完全損傷よりも多いです。選びやすい理由:重症度が高い完全損傷の方が印象に残りやすいため、数も多いと誤解する可能性がある。混同注意:過去の疫学データ(以前は完全損傷が多かった)や、治療成績の重篤度と混同する。
- 3. 日本の脊髄損傷において、最も多いのは頸髄損傷です。全体の約半数以上を占めるとされています。正しくは:胸髄損傷や腰髄損傷よりも頸髄損傷が多い傾向にあります。選びやすい理由:交通事故などによる胸腰髄損傷も重篤なため、発生頻度も高いと誤解しやすい。混同注意:下肢の麻痺など症状の印象から、胸腰髄損傷が多いのではないかと考えてしまう。
- 4. 正解。日本の脊髄損傷の原因として、近年では高齢化に伴い、転倒が最も主要な原因となっています。特に高齢者の転倒による頸髄損傷が増加しています。スポーツ事故は減少傾向にあります。選びやすい理由:スポーツ事故が比較的若年層に多い重篤な外傷であるため、主要な原因の一つと考えがちだが、全体の割合としては転倒が上回る。
- 5. 受傷年齢は、以前は20代から30代にピークを持つ一峰性でしたが、近年は高齢者の転倒が増加しているため、60代以降にもう一つのピークを持つ二峰性の分布を示す傾向にあります。正しくは:受傷年齢は、近年では二峰性の分布を示す傾向にあります。選びやすい理由:昔の知識(若年層の交通事故が多い時代)をそのまま適用してしまうと、一峰性と誤解する可能性がある。混同注意:他の若年者に多い疾患の年齢分布と混同しやすい。
国試ポイント
日本の脊髄損傷の疫学に関する最新の知識、特に高齢化社会における変化(原因、年齢分布、損傷形態など)を問う問題です。過去の知識や一般的なイメージにとらわれず、最新の統計データを理解しているかが重要です。
混同注意
脊髄損傷の疫学データは時代と共に変化しているため、過去のデータ(例えば、交通事故が主な原因だった時代や若年層がピークだった時代)と最新のデータを混同しやすいです。特に、受傷原因、受傷年齢、不全/完全損傷の比率などで過去との違いを理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、高齢者の転倒による損傷、不全損傷の増加、受傷年齢の二峰性といった、近年の日本の脊髄損傷の疫学変化に焦点を当てた選択肢に注目して判断する。
関連知識
脊髄損傷の原因(交通事故、転落、転倒、スポーツ事故など)、損傷部位の頻度(頸髄、胸髄、腰髄)、損傷形態(完全損傷、不全損傷)の定義とそれぞれの特徴、および近年の高齢化に伴う疫学データの変化。