微小循環について誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
微小循環において、毛細血管は物質交換を最大化するために総断面積が非常に大きく、結果として血流速度が最も遅くなる部位です。血流速度は、血管系全体の総断面積に反比例するため、総断面積が最大となる毛細血管では最も遅くなり、細静脈端でさらに速くなることはありません。大動脈が最も速く、毛細血管が最も遅いという基本を理解しているかが問われています。
選択肢ごとの解説
- 1. これは正しい記述です。毛細血管における組織と血液間の物質交換(酸素、栄養素、老廃物など)は、主に濃度勾配に基づく拡散によって行われます。正しくは:正しい記述なので修正は不要です。選びやすい理由:拡散は微小循環における主要な物質輸送メカニズムであるため、正しく理解している学生にとっては選択肢として適切です。混同注意:能動輸送やろ過、再吸収といった他の輸送メカニズムと混同する可能性がありますが、微小循環におけるガスや栄養素の交換では拡散が最も重要です。
- 2. これは正しい記述です。メタ細動脈(または前毛細血管括約筋が存在する部分)には、血流を調節するための平滑筋細胞が存在します。正しくは:正しい記述なので修正は不要です。選びやすい理由:血管の構造と血流調節メカニズムを理解していれば、この選択肢が正しいと判断できます。混同注意:毛細血管自体には平滑筋がなく内皮細胞のみであるため、メタ細動脈と毛細血管の構造を混同する可能性があります。
- 3. これは正しい記述です。毛細血管壁は一層の内皮細胞と基底膜のみで構成されており、物質交換に適した薄い構造をしています。正しくは:正しい記述なので修正は不要です。選びやすい理由:毛細血管の基本的な構造を問うものであり、血管の組織学を理解していれば正しく判断できます。混同注意:他の血管(動脈や静脈)には平滑筋や結合組織など複数の層があるため、毛細血管の単純な構造と混同する可能性があります。
- 4. 正解。これは誤った記述です。血管系全体で最も血流速度が遅いのは毛細血管であり、その中でも特に動脈端から静脈端に向かうにつれて、全体的な断面積が広がるため、血流速度はさらに減速します。最も速いのは大動脈です。正しくは:血流の速度は、毛細血管の動脈側から静脈側へ向かうにつれて減速するか、あるいは血管系全体では大動脈が最も速く、毛細血管が最も遅いです。選びやすい理由:血管が細いほど流速が速いという誤解や、静脈側で回収が始まるため速くなるという誤ったイメージから選んでしまう可能性があります。混同注意:血管の太さと流速の関係、および血管の総断面積と流速の関係を混同する可能性があります。総断面積が最も大きい毛細血管では、流速は最も遅くなります。
- 5. これは正しい記述です。細動脈は血管壁に多くの平滑筋を持ち、収縮・弛緩することで血管径を大きく変化させ、全身の血管抵抗の大部分を決定し、血圧調節に重要な役割を果たします。正しくは:正しい記述なので修正は不要です。選びやすい理由:血圧調節における細動脈の役割は生理学の基本的な知識であるため、理解している学生にとっては選択肢として適切です。混同注意:他の血管(大動脈や毛細血管など)も抵抗を持つため、細動脈が主要な部位であることを認識していないと混乱する可能性があります。
国試ポイント
この問題は、微小循環の生理学的特徴、特に血流速度と血管抵抗の調節に関する基本的な知識を問うものです。各血管部位の構造と機能の関係を正確に理解しているかが重要となります。
混同注意
血流速度と血管の太さ(直径)の関係を単純に捉えがちですが、血管系全体の『総断面積』が血流速度を決定する主要因であることを理解していないと誤答しやすいです。また、他の選択肢にある物質輸送機構、血管壁の構造、血管抵抗の部位など、微小循環の各要素の知識が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、微小循環だけでなく、全身の血管系における血流速度、圧力、抵抗の分布について、より詳細な知識が問われる可能性があります。特に、レイノルズ数や乱流発生の条件、あるいは臓器ごとの血流調節メカニズム(自己調節など)に関する応用問題が出ても対応できるよう準備が必要です。
関連知識
・血流速度と総断面積の関係(連続の法則) ・毛細血管の構造と物質交換のメカニズム(拡散、ろ過、再吸収) ・細動脈による血管抵抗調節と血圧への影響 ・メタ細動脈と前毛細血管括約筋の役割