健常成人の歩行で重心が最も高くなる時期はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
歩行における重心の高さは、歩行周期を通じてS字カーブを描きます。立脚中期(片脚支持期の中間点)において、身体は支持脚の真上に位置し、最も鉛直方向へ伸びた状態となるため、重心が最も高くなります。その後、遊脚期にかけて重心は下降し、両脚支持期(初期接地、荷重応答期、前遊脚期)で比較的低い位置を保ちます。
選択肢ごとの解説
- 1. 初期接地では、片足が地面に着地したばかりで、もう一方の足はまだ地面を離れているか、離れた直後であり、身体の重心はまだ比較的低い位置にあります。両脚支持期へ移行する直前またはその始まりです。正しくは:重心は初期接地から荷重応答期にかけて下降し、両脚支持期では比較的低い位置にあります。選びやすい理由:歩行の開始点であるため、特定のイベントと関連付けられやすいですが、重心の高さのピークとは直接結びつきません。混同注意:歩行周期の開始点であることと、重心の極値との関係が混同されやすいです。
- 2. 荷重応答期は初期接地直後から始まり、もう一方の足が地面を離れる直前まで続く両脚支持期の前半です。この時期は衝撃を吸収するために重心が下がり、安定性を確保する段階です。正しくは:重心は初期接地から荷重応答期にかけて下降します。選びやすい理由:両足が地面についているため、安定していると感じやすいですが、重心は下降しています。混同注意:両脚支持期であるため、重心が安定しているという印象から、高さのピークと誤解されることがあります。
- 3. 正解。立脚中期は片足支持期の真っ只中で、遊脚側の足が地面から離れて振り出され、立脚側の足の真上に体幹が位置します。この際、重心は支持脚の真上に来るため、身体は最も鉛直に伸びた状態となり、重心が最も高くなります。
- 4. 立脚終期では踵が離れ、つま先で地面を蹴り出す準備をしている段階です。この時、重心は前方に移動し、下降を始めます。正しくは:重心は立脚中期でピークに達した後、立脚終期にかけて下降します。選びやすい理由:推進力が生まれる時期であるため、エネルギーが最も高いと錯覚しやすいです。混同注意:推進のイメージと重心の高さのピークが混同されます。
- 5. 前遊脚期は両脚支持期の後半であり、遊脚側への体重移動が始まり、立脚側では地面を蹴り出す準備が完了する時期です。重心はすでに下降しており、次の足の遊脚準備に入るため、最も低い時期の一つです。正しくは:重心は立脚中期で最も高くなり、立脚終期から前遊脚期にかけて下降し、遊脚期に最も低くなります。選びやすい理由:両足支持期であり、安定している印象を受けるかもしれませんが、重心は下降フェーズにあります。混同注意:両脚支持期であるため重心が「高い」という誤解や、遊脚期へ移行する直前の重要なフェーズであるため、重心の極値と誤解されることがあります。
国試ポイント
本問題は、健常歩行のメカニズムにおける重心の動態に関する基礎知識を問うものです。各歩行周期のフェーズと、それに伴う重心の高さや前後・左右方向への移動を正確に理解しているかが重要となります。特に、重心が最も高くなる時期(立脚中期)と最も低くなる時期(両脚支持期:荷重応答期や前遊脚期)を区別できるかがポイントとなります。
混同注意
重心が最も高くなる時期(立脚中期)と、最も低くなる時期(両脚支持期である荷重応答期や前遊脚期)が混同されやすいです。また、重心の高さと、推進力や安定性といった他の歩行要素のピークが混同されることもあります。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出題された場合は、重心が「最も低い」時期はいつか、あるいは重心の「前後方向」または「左右方向」への移動がピークとなる時期はいつか、といった応用的な視点からの出題が予想されます。また、異常歩行パターンにおける重心動態の変化についても学習しておく必要があります。
関連知識
歩行周期の8つのフェーズ(初期接地、荷重応答期、立脚中期、立脚終期、前遊脚期、初期遊脚期、中期遊脚期、終末遊脚期)とその時間的割合を理解することが重要です。また、重心の前後・左右方向への移動、およびその目的(前方への推進力、左右の安定性確保)、歩行における重心の上下動(S字カーブ)の意義、ロッカー機能(踵接地ロッカー、足関節ロッカー、前足部ロッカー)と重心移動の関係、そしてトレンデレンブルグ徴候など、異常歩行における重心動態の変化も関連知識として挙げられます。