ワーキング・メモリを測定する検査が含まれているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
BACS(Brief Assessment of Cognition in Schizophrenia)は、統合失調症患者の認知機能障害を包括的に評価するために開発された検査バッテリーです。このバッテリーには、ワーキングメモリ、処理速度、注意・覚醒、言語学習、視覚学習、解決能力といった主要な認知ドメインを評価する下位検査が含まれており、ワーキングメモリの測定項目(例: 数字系列、文字-数字配列など)も含まれています。他の選択肢は、生活機能評価、社会的認知評価、気分・疲労評価、全体的な障害評価を目的とした尺度であり、ワーキングメモリの直接的な測定には該当しません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。BACSは、統合失調症患者の認知機能全般を評価する検査バッテリーであり、その中にワーキングメモリを測定する項目(例:数字記号置換、記号弁別など)が含まれています。
- 2. LASMIは、精神疾患患者の生活機能全般を評価するための尺度であり、ワーキングメモリに特化した検査ではありません。正しくは:LASMIは生活機能評価尺度です。選びやすい理由:精神疾患患者の評価ツールであるため、認知機能関連の検査と混同しやすいかもしれません。混同注意:認知機能検査と生活機能評価尺度
- 3. SCSQは、社会的認知(他者の意図理解や感情認識など)のスクリーニング検査であり、ワーキングメモリを直接測定するものではありません。正しくは:SCSQは社会的認知のスクリーニング検査です。選びやすい理由:認知機能の一部である社会的認知を評価するため、広義の認知機能検査と捉えられがちですが、ワーキングメモリとは異なります。混同注意:ワーキングメモリと社会的認知
- 4. SMSFは、気分と疲労感を評価するための自己記入式質問紙であり、認知機能、特にワーキングメモリを測定するものではありません。正しくは:SMSFは気分と疲労感を評価する質問紙です。選びやすい理由:精神的な不調が認知機能に影響を与えることはありますが、SMSF自体はワーキングメモリを直接評価するツールではありません。混同注意:気分・疲労評価尺度と認知機能検査
- 5. WHO-DAS 2.0は、様々な健康状態における障害レベルと生活機能の評価を行う尺度であり、特定の認知機能、特にワーキングメモリを直接測定する検査ではありません。正しくは:WHO-DAS 2.0は生活機能・障害評価尺度です。選びやすい理由:ADL/IADLなど生活機能の評価と認知機能が密接に関連しているため、認知機能検査と誤解されやすいです。混同注意:生活機能評価尺度と認知機能検査
国試ポイント
この問題は、精神科領域で用いられる各種評価尺度や検査の目的と内容を正確に理解しているかを問うものです。特に、認知機能の特定ドメイン(この場合はワーキングメモリ)を測定する検査と、生活機能や気分、社会的認知などを評価する尺度との区別が重要となります。それぞれの検査がどのような目的で、何を評価するのかを具体的に把握しておく必要があります。
混同注意
認知機能全般を評価する検査バッテリーと、特定の認知ドメイン(ワーキングメモリ、社会的認知など)を評価する検査、さらに生活機能や気分を評価する尺度が混同されやすいです。特に精神科領域ではこれらの検査が多岐にわたるため、名称と内容を正確に結びつけることが求められます。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合、他の代表的な認知機能検査(例:MMSE、HDS-R、WAIS、WMS、FAB、MOCA、Cog-TABなど)や、精神科領域で頻用される他の評価尺度(例:PANSS、GAS、GAF、Kessler 6など)について、それぞれが何を測定し、どのような目的に用いられるかを正確に判断できるかが問われるでしょう。
関連知識
ワーキングメモリの定義とその機能(短期的な情報の保持と操作)。BACSの各下位検査の内容とその評価ドメイン。LASMI、SCSQ、SMSF、WHO-DAS 2.0のそれぞれの目的と評価項目。統合失調症における認知機能障害の重要性。