統合失調症の急性期において、治療効果をみるのに最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
統合失調症の急性期では、幻覚、妄想、興奮などの陽性症状や、意欲低下、感情鈍麻などの陰性症状が顕著に現れます。PANSS(Positive and Negative Syndrome Scale)は、これらの陽性症状、陰性症状、および一般精神病理を多角的に評価するために開発された尺度であり、急性期における症状の重症度や治療による変化を詳細かつ客観的に捉えることができます。そのため、急性期の治療効果を判断する上で最も適切な尺度とされています。
選択肢ごとの解説
- 1. GHQは精神的な健康状態をスクリーニングする目的で使用されることが多く、統合失調症の急性期における具体的な症状の重症度や治療効果を詳細に評価するには限定的です。正しくは:GHQは、一般の精神的健康度のスクリーニングやストレス反応の評価に適しています。選びやすい理由:精神的な健康状態を測る尺度なので、一見関連があるように思えます。混同注意:他の精神疾患のスクリーニングや軽度な精神症状の評価尺度と混同しやすいです。
- 2. LSPは、統合失調症患者の日常生活における社会生活技能を評価する尺度であり、主に慢性期や回復期における機能レベルや支援ニーズを把握するのに適しています。急性期における精神病症状の重症度を直接的に評価するものではありません。正しくは:LSPは、統合失調症の回復期や慢性期における生活技能、社会適応能力の評価に用います。選びやすい理由:統合失調症患者の評価に用いられるため、選択肢として魅力的です。混同注意:急性期の症状評価尺度と、慢性期の機能評価尺度を混同しやすいです。
- 3. 正解。PANSSは、統合失調症に特化した症状評価尺度であり、陽性症状(幻覚、妄想など)と陰性症状(感情の平板化、意欲低下など)の両方を詳細に評価できます。これらの症状は統合失調症の急性期に顕著に現れるため、治療による症状の変化、つまり治療効果を客観的に把握するのに最も適しています。正しくは:PANSSは、統合失調症の陽性症状、陰性症状、および一般精神病理を評価し、急性期における症状の重症度と治療反応性を測定するのに最も適しています。選びやすい理由:統合失調症の症状に直接焦点を当てているため、正しいと判断しやすいです。混同注意:QOL尺度や社会機能尺度など、他の側面を評価する尺度と混同しないように注意が必要です。
- 4. QLSは、患者の生活の質(Quality of Life)を評価する尺度であり、主観的な幸福感や満足度、全体的な機能に着目します。急性期治療ではまず症状の安定化が優先され、QOLの改善は症状が安定した後の回復期・慢性期でより重要視されます。急性期に直接的な治療効果を測る尺度としては適切ではありません。正しくは:QLSは、統合失調症の回復期や慢性期における生活の質、主観的な満足度を評価するのに適しています。選びやすい理由:患者さんの全体的な状態を見るという意味では魅力的ですが、急性期の「治療効果」を具体的に測るものではありません。混同注意:症状の改善がQOLの改善につながるという関連性から、急性期の評価尺度と誤解しやすいですが、評価対象が異なります。
- 5. SFSは、統合失調症患者の社会機能(例:社会交流、活動への参加、自己管理など)を評価する尺度です。これは主に慢性期や回復期において、社会的な適応能力や回復度を把握するために用いられます。急性期では精神病症状が前面に出ており、社会機能の評価は症状安定後に行うのが一般的です。正しくは:SFSは、統合失調症の回復期や慢性期における社会機能、社会参加度を評価するのに適しています。選びやすい理由:統合失調症患者の評価に用いられる尺度なので、選択肢として考慮されやすいです。混同注意:急性期の症状評価尺度と、慢性期の社会機能評価尺度を混同しやすいです。
国試ポイント
統合失調症の各病期(急性期、回復期、慢性期)で評価すべき内容や、それに適した具体的な評価尺度について正確な知識が問われています。特に急性期では精神病症状の評価が最重要であることを理解しているかがポイントです。
混同注意
統合失調症に関連する様々な評価尺度がありますが、それぞれの尺度で評価する内容(症状の重症度、QOL、社会機能、生活技能など)と、適応する病期(急性期、回復期、慢性期)を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず『問われている病期(急性期、回復期、慢性期)は何か』と『何について評価するか(症状、QOL、社会機能など)』を明確にし、それに合致する尺度を選択する訓練が必要です。
関連知識
統合失調症の病期分類とそれぞれの病期における治療目標、およびOT介入の目的。各評価尺度の略称と正式名称、評価内容、使用目的。特に、BPRS(Brief Psychiatric Rating Scale)、GAF(Global Assessment of Functioning)なども関連知識として重要です。