手根管症候群でみられる症候はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
手根管症候群は、手根管内で正中神経が圧迫されることで生じる神経絞扼性障害です。正中神経は、短母指外転筋、母指対立筋、短母指屈筋(一部)といった母指球筋を支配しているため、病態が進行するとこれらの筋群に萎縮がみられます。これは正中神経麻痺の典型的な運動症状です。
選択肢ごとの解説
- 1. これは橈骨神経麻痺の典型的な症状であり、手根管症候群(正中神経麻痺)では通常みられません。正しくは:橈骨神経麻痺でみられる症状です。選びやすい理由:神経麻痺による運動障害という点で一般的な神経損傷のイメージと重なるため、間違って選択しやすいです。混同注意:正中神経麻痺と他の上肢の末梢神経麻痺(特に橈骨神経麻痺)の症状を混同する可能性があります。
- 2. 骨間筋は尺骨神経によって支配されており、尺骨神経麻痺で萎縮がみられます。手根管症候群は正中神経の障害です。正しくは:尺骨神経麻痺でみられる症状です。選びやすい理由:筋萎縮が神経麻痺の一般的な症状であるため、どの神経によるものか見分けがつかない場合に選択しやすいです。混同注意:正中神経麻痺と尺骨神経麻痺の症状を混同する可能性があります。
- 3. 小指の感覚は主に尺骨神経が支配しています。手根管症候群は正中神経の圧迫によるもので、通常、小指にしびれは生じません。正しくは:尺骨神経麻痺やGuyon管症候群でみられる症状です。選びやすい理由:しびれが手根管症候群の主要症状であるため、具体的な部位を気にせず「しびれ」というキーワードに反応してしまうことがあります。混同注意:正中神経と尺骨神経の支配領域を混同する可能性があります。
- 4. 正解。手根管症候群では、手根管内で圧迫される正中神経によって支配される母指球筋(短母指外転筋、短母指屈筋の一部、母指対立筋)に機能障害が生じ、病態が進行すると萎縮がみられます。これは正中神経麻痺の典型的な運動症状です。
- 5. Guyon管症候群は尺骨神経の圧迫によって引き起こされる症状であり、Guyon管でTinel徴候が陽性となるのは尺骨神経障害の特徴です。手根管症候群は正中神経の圧迫であり、Tinel徴候が陽性となるのは手根管部(手関節中央付近)です。正しくは:尺骨神経麻痺(Guyon管症候群など)でみられる症状です。手根管症候群では手根管部でTinel徴候が陽性となります。選びやすい理由:Tinel徴候が神経絞扼性障害の診断に用いられる検査であり、手根管症候群でもTinel徴候(ただし手根管部で)が陽性となるため、混同しやすいです。混同注意:正中神経と尺骨神経、およびそれぞれの絞扼部位におけるTinel徴候の部位を混同する可能性があります。
国試ポイント
末梢神経麻痺における主要な症状と、その支配神経・部位との関連性を理解しているかを確認する問題です。特に、上肢の三大神経(正中神経、尺骨神経、橈骨神経)の支配領域と、それぞれの神経が絞扼される代表的な症候群(手根管症候群、Guyon管症候群、肘部管症候群、橈骨神経麻痺など)の症状を正確に区別できるかが問われます。
混同注意
正中神経麻痺の症状(手根管症候群)と、尺骨神経麻痺(Guyon管症候群、肘部管症候群など)や橈骨神経麻痺の症状を混同しやすいです。特に、しびれや筋萎縮といった神経症状がどの神経のどの支配領域で生じるか、Tinel徴候がどの部位で陽性となるかを混同しやすい傾向があります。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が問われた場合、以下の点に着目して判断します。 1. **神経の支配領域**: 各神経がどの領域の感覚、どの筋群の運動を支配しているかを正確に把握する。 2. **絞扼部位と症状**: 神経がどこで圧迫されるか(例:手根管、Guyon管、肘部管)によって、どの症状が出現するかが異なることを理解する。 3. **感覚と運動の区別**: しびれなどの感覚症状と、筋力低下や萎縮などの運動症状を区別し、それぞれがどの神経の障害で起こるかを判断する。
関連知識
手根管症候群の主な症状: * 感覚障害:母指・示指・中指・環指橈側半分の掌側、および背側指尖部のしびれ、疼痛(夜間痛が特徴的)。 * 運動障害:母指対立運動・外転運動の筋力低下、進行すると母指球筋の萎縮。 * 誘発テスト:手根管部でのTinel徴候陽性、Phalenテスト陽性。 各末梢神経の支配領域: * 正中神経:母指・示指・中指・環指橈側半分の掌側感覚、母指球筋群(一部)。 * 尺骨神経:環指尺側半分・小指の掌側・背側感覚、骨間筋、虫様筋(一部)、小指球筋群、母指内転筋。 * 橈骨神経:前腕伸筋群、手指伸筋群、手背部の感覚(一部)。