基礎代謝で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
選択肢5が正しいです。食事を摂取すると、消化・吸収・代謝の過程でエネルギーが消費されます。これを食事誘発性熱産生(DIT)と呼び、特に蛋白質の代謝には多くのエネルギーが必要とされるため、DITは蛋白質摂取時に最も大きくなります。おおよそ、蛋白質で摂取エネルギーの約30%、糖質で約6%、脂質で約4%とされています。
選択肢ごとの解説
- 1. 基礎代謝は、精神的・身体的に完全に安静な状態で測定されるため、立位は適切ではありません。臥位(仰臥位)で測定することが一般的です。正しくは:基礎代謝は、完全に安静な臥位(仰臥位)の状態で測定されます。選びやすい理由:安静状態という言葉に引っ張られる可能性がありますが、「立位」が誤りです。混同注意:安静時エネルギー消費量(Resting Energy Expenditure: REE)と混同しやすいが、基礎代謝はより厳密な条件下で測定されます。REEは安静臥位で測定されることが多いですが、基礎代謝はさらに厳しい条件(早朝空腹時など)が求められます。
- 2. 体温が上昇すると、体内の化学反応が活発になり、酵素活性も高まるため、基礎代謝は増加します。発熱時などがその例です。正しくは:体温が上昇すると基礎代謝は増加します。選びやすい理由:体温上昇で体が消耗すると考える人もいるかもしれませんが、代謝活動自体は活発になります。混同注意:体温調節機能と混同し、体温上昇を抑えるために代謝が低下すると誤解する可能性があります。しかし、体温上昇は代謝亢進の結果または原因となり、基礎代謝を高めます。
- 3. 基礎代謝は、体の熱放散に関わる体表面積に比例すると考えられています。体表面積が大きいほど、熱を放散しやすく、そのためにより多くの熱を産生する必要があり、基礎代謝は高くなります。正しくは:同じ性別、同じ年齢であれば、基礎代謝は体表面積に比例します。選びやすい理由:体格差と代謝量の関係を意識させる選択肢ですが、「反比例」という点が誤りです。混同注意:体重や筋肉量との関係性も複雑ですが、基礎代謝と体表面積は一般的に比例関係にあります。
- 4. 代謝当量〈METs〉は、活動時のエネルギー消費量が安静時の何倍に相当するかを示す単位です。そのため、活動時の代謝量を安静時の代謝量で割って算出されます(活動時代謝量 ÷ 安静時代謝量)。差ではありません。正しくは:代謝当量〈METs〉は、活動時の代謝量を安静時の代謝量で割って算出されます。選びやすい理由:「差」ではなく「比率」であるという点でひっかけ問題になっています。METsが相対的な指標であることは理解しやすいですが、その計算方法が正確に問われています。混同注意:活動時と安静時のエネルギー消費量を比較する概念であることは理解しやすいが、その計算方法(差か比か)を混同しやすいです。
- 5. 正解。これは食事誘発性熱産生(DIT: Diet Induced Thermogenesis)または特異動的作用(SDA: Specific Dynamic Action)に関する記述です。三大栄養素の中で、蛋白質は分解・吸収・代謝の過程で最も多くのエネルギーを消費するため、DITが最も大きくなります(蛋白質約30%、糖質約6%、脂質約4%)。正しくは:(正しいため修正不要)選びやすい理由:他の選択肢が誤りであることが明確な場合に、この選択肢の正しさが際立ちます。混同注意:各栄養素のDITの具体的な数値までは問われにくいですが、相対的な大小関係は重要です。栄養素のカロリー値(脂質9kcal/g、糖質・蛋白質4kcal/g)と混同して、脂質の方が高いと誤解する可能性がありますが、DITは摂取した栄養素の種類によって異なります。
国試ポイント
基礎代謝の定義、測定条件、影響因子(体温、体表面積など)、および関連するエネルギー代謝の概念(DIT、METs)について、正確な知識が問われています。特に、基礎代謝の測定条件や、食事誘発性熱産生の栄養素による違いは頻出ポイントです。
混同注意
基礎代謝と安静時代謝量の違い、METsの計算方法(差か比か)、各栄養素のカロリー値と食事誘発性熱産生の大小関係を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、基礎代謝以外のエネルギー消費量(活動時代謝量、食事誘発性熱産生)の計算式や、それらに影響を与える要因、さらには具体的な疾病(甲状腺機能亢進症など)が基礎代謝に与える影響なども問われる可能性があります。また、栄養素ごとの代謝経路とエネルギー消費の関係も深掘りされることがあります。
関連知識
基礎代謝基準値、推定エネルギー必要量、身体活動レベル(PAL)、肥満度判定(BMI)、呼吸商、熱量計の種類(直接法、間接法)。