精神障害者の訪問支援で、心理的・社会的・職業的機能の状態を評価するために適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
GAF尺度は、精神障害者の心理的、社会的、職業的機能の全体的な状態を0から100の範囲で評価する尺度であり、DSM-IVの多軸診断システムにも含まれていました。訪問支援の現場で、対象者の全体的な適応レベルや重症度を把握する上で非常に有用です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。GAF尺度は、精神障害のある人の心理的、社会的、職業的機能の全体的なレベルを評価するために用いられる単一の数値スケールです。訪問支援の場面で、対象者の全体的な機能状態を簡便に把握するのに適しています。
- 2. OSAは、クライエント自身が作業遂行における自身の能力や環境要因の重要度を自己評価するための尺度であり、作業療法士がクライエント中心の介入計画を立てる際に有用です。しかし、心理的・社会的・職業的機能の『状態評価』というよりは、『自己認識に基づく作業遂行上の強みと課題の特定』に特化しています。正しくは:OSAはクライエント自身が作業遂行における自身の能力や環境要因を自己評価するツールです。選びやすい理由:精神障害者の『作業』に焦点を当てた尺度であるため、選択肢として魅力的です。しかし、問題文が求める『心理的・社会的・職業的機能の**状態評価**』とは目的が異なります。混同注意:作業療法に関連する自己評価尺度であるため、広範な機能評価ツールと混同しやすいです。特に、GAFのような包括的な機能評価と、特定の領域に特化した自己評価ツールとの違いがポイントです。
- 3. Rehabは、主にリハビリテーションプログラムの効果や進捗を評価するための尺度であり、精神障害者の心理的・社会的・職業的機能の『状態評価』を目的としたものではありません。特定のプログラムの効果測定に用いられます。正しくは:Rehabはリハビリテーションプログラムの効果や進捗を評価するための尺度です。選びやすい理由:『リハビリテーション』という言葉から、機能評価と関連があるように感じられますが、これはプログラム評価のためのツールであり、個人の機能状態を直接評価するものではありません。混同注意:個別評価ツールとプログラム評価ツールとの区別が曖昧な場合に誤って選びやすいです。
- 4. 『作業質問紙』という具体的な標準化された尺度は一般的ではありません。作業療法士が作業に関する情報を収集する際に用いる質問形式の用紙全般を指す可能性はありますが、精神障害者の心理的・社会的・職業的機能の『状態』を評価するための標準化された包括的な尺度ではありません。正しくは:標準化された『作業質問紙』という単一の尺度は一般的ではありません。精神障害者の心理的・社会的・職業的機能の全体的な状態を評価するには、特定の標準化尺度が用いられます。選びやすい理由:作業療法士が用いる質問形式のツールであるため、関連があるように思えるかもしれませんが、これは特定の評価ツールを指すものではなく、GAFのような標準化された評価尺度とは異なります。混同注意:標準化された評価尺度と、セラピストが独自に作成・使用する一般的な質問票とを混同する可能性があります。
- 5. これは心理的な側面の一部を評価しますが、問題文が求める『心理的・社会的・職業的機能の**状態**』という広範な評価には直接対応しません。特に社会機能や職業機能の『状態』を包括的に評価するものではありません。正しくは:一般性自己効力感尺度22は、個人の自己効力感のレベルを測定するもので、心理的側面の一部に焦点を当てています。選びやすい理由:『心理的』というキーワードに引っ張られやすいですが、自己効力感は心理機能の一部であり、社会機能や職業機能の全体的な『状態』を評価するものではありません。混同注意:特定の心理的側面を測る尺度と、広範な機能評価尺度との違いが曖昧な場合に混同しやすいです。
国試ポイント
精神科リハビリテーションにおいて用いられる各種評価尺度の名称、目的、評価内容を正確に理解しているかが問われています。特に、全体的な機能評価尺度と、特定の側面を評価する尺度との区別が重要です。
混同注意
精神科領域の評価尺度は多岐にわたるため、GAFのような包括的評価尺度と、特定の側面(自己効力感、作業遂行自己評価など)に特化した尺度、あるいはプログラム評価尺度とを混同しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
この論点について次回出題される場合、GAFの具体的な点数と意味、または他の主要な精神科OT評価尺度の適用対象や評価項目について問われる可能性があります。
関連知識
DSM-5ではGAFは採用されていませんが、DSM-IVにおけるGAFの概念と評価基準、および精神障害者の機能評価の重要性はOT国家試験で繰り返し問われる論点です。その他の代表的な精神科OT評価尺度(例:COPM, KELS, SCI-QOL, MOCOSなど)についても目的と内容を把握しておく必要があります。