作業療法における診療参加型実習で正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
選択肢3について、学生が対象者に関わる際には、対象者の権利を尊重し、インフォームドコンセントを得ることが医療倫理上不可欠です。選択肢5について、診療参加型実習では、単なる知識の習得だけでなく、指導者との実践を通じて、作業療法士として必要な態度、技能、思考プロセスを総合的に学ぶことが重要な目的とされています。
選択肢ごとの解説
- 1. 診療参加型実習は、単なる見学や模倣にとどまらず、初期段階から積極的に診療プロセスに関与し、体験を通じて学ぶことを重視します。見学→模倣→実施という一方向的な進行は、より受動的な実習モデルの特徴です。正しくは:実習は、見学や模倣も含むが、初期から積極的に診療に参加し、指導者の監督のもと体験を通じて学ぶことを重視する。選びやすい理由:従来の教育モデルや、実習の初期段階で安全を考慮する上で、まず見学から入るという考え方と混同しやすい。一般的な学習プロセスとしても「見て、真似て、やってみる」は自然な流れに聞こえるため。混同注意:従来の観察型実習や、学習の一般的な段階論と混同しやすい。診療参加型実習では、早い段階から指導者の監督下で積極的に関与することを指す。
- 2. 指導者との良好な関係は実習を円滑に進める上で重要ですが、実習の「最優先」目的ではありません。最優先されるべきは、学生が作業療法士として必要な知識、技能、態度、臨床推論能力を習得することです。正しくは:指導者との良好な関係は実習の成果に寄与するが、学生の学習目標達成と安全な臨床実践が最優先される。選びやすい理由:実習生にとって指導者の存在は大きく、尊敬できる指導者との関係は学習意欲を高めるため、重要だと感じやすい。混同注意:指導者との人間関係の重要性と、実習の教育的目標の優先順位とを混同しやすい。
- 3. 正解。学生が対象者(患者)に関わることは、医療行為の一部とみなされ、対象者のプライバシーや自己決定権に深く関わるため、倫理的にインフォームドコンセント(説明と同意)を得ることが必須です。これは診療参加型実習に限らず、医療倫理の基本原則です。
- 4. 学生が作業療法を実施する際には、必ず指導者の監督と責任のもとで行われなければなりません。これは患者さんの安全確保と、学生が適切な指導を受けながら学習を進めるために不可欠です。監督なしでの実施は、免許を持つ作業療法士のみが許されることです。正しくは:最終段階においても、学生は必ず指導者の監督のもとで作業療法を実施する。選びやすい理由:学生は将来的に独立した作業療法士になるため、「最終的には一人でできるようになる」という目標と混同しやすい。実習中の「自立性」の向上と、法的な「単独実施」の許可を混同しやすい。混同注意:「自立した思考・行動」と「単独での治療行為」を混同しやすい。
- 5. 正解。診療参加型実習の主要な目的の一つは、学生が指導者との実践的な関わりを通じて、作業療法士として不可欠なプロフェッショナルな態度、具体的な治療技術(臨床技能)、そして患者の状態を分析し治療方針を立てる能力(臨床思考)を身につけることです。
国試ポイント
作業療法士養成課程における臨床実習、特に『診療参加型実習』の定義、特徴、倫理的側面、指導者の役割、および学生の学習目標に関する理解度が問われています。従来の観察型実習との違いや、実習における対象者への倫理的配慮が重要視されるポイントです。
混同注意
診療参加型実習と従来の観察型実習の段階的な進め方や主体性の違い、実習における指導者の役割と学生の自立性の範囲、そしてインフォームドコンセントの必要性の理解が混同されやすい点です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、診療参加型実習の核心である「能動的な参加と体験学習」の側面を理解しているか、また実習における患者の権利と倫理的配慮(特にインフォームドコンセント)が担保されているか、学生の活動範囲と指導者の責任範囲の関係性について確認する視点が重要になります。『~のみ』『~だけ』『~なしに』といった極端な表現の選択肢には注意が必要です。
関連知識
医療倫理の基本原則(インフォームドコンセント、自己決定権、プライバシーの保護)、作業療法士養成課程における臨床実習の目的と形態、指導者の役割と教育方法、作業療法士の倫理綱領。