特発性肺線維症について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
特発性肺線維症(IPF)は、進行性の肺線維化を特徴とする慢性的な間質性肺疾患です。この疾患の患者を聴診すると、吸気時に下肺野でバリバリとした、特徴的な捻髪音(Velcro crackles)が聴取されることが多いです。この音は肺胞が線維化によって開きにくくなり、無理に開く際に生じる音とされています。
選択肢ごとの解説
- 1. 特発性肺線維症(IPF)は、特発性間質性肺炎の中で最も予後が不良な疾患の一つであり、5年生存率は低いとされています。正しくは:特発性肺線維症(IPF)は、特発性間質性肺炎の中で最も予後が不良な疾患の一つである。選びやすい理由:「特発性間質性肺炎」という大きなくくりの中で、疾患名が類似している他の間質性肺炎(例:非特異的間質性肺炎)との区別が曖昧な場合、どの疾患の予後が良いか混同しやすいです。混同注意:他の特発性間質性肺炎(例:非特異性間質性肺炎 [NSIP]、急性間質性肺炎 [AIP] など)の予後と混同する可能性があります。特にNSIPは比較的予後が良いとされています。
- 2. 正解。特発性肺線維症(IPF)の患者では、進行性の肺の線維化により、特に吸気時に下肺野で捻髪音(fine crackles)が聴取されることが特徴的な所見の一つです。正しくは:正解のため修正不要。選びやすい理由:特発性肺線維症の診断基準や特徴的な身体所見について理解していれば、この選択肢は正しく判断できます。混同注意:ラ音の種類(湿性ラ音、乾性ラ音など)や、他の呼吸器疾患で聴取される音(喘鳴など)と混同する可能性はありますが、捻髪音はIPFに特異性の高い所見です。
- 3. 特発性肺線維症(IPF)の主な症状は、痰を伴わない乾性咳嗽(空咳)と労作時呼吸困難です。湿性咳嗽は稀です。正しくは:主な症状は、痰を伴わない乾性咳嗽(空咳)と労作時呼吸困難である。選びやすい理由:一般的な呼吸器疾患、特に感染症などでは湿性咳嗽がよく見られるため、呼吸器系の症状として誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:気管支拡張症や細菌性肺炎など、多量の喀痰や湿性咳嗽を主症状とする他の呼吸器疾患と混同する可能性があります。
- 4. 特発性肺線維症(IPF)では、肺が硬くなり膨らみにくくなるため、拘束性換気障害を示します。閉塞性換気障害は、気道が狭くなる疾患(例:COPD、気管支喘息)で見られます。正しくは:肺機能検査では、拘束性換気障害のパターンを示す。選びやすい理由:換気障害の種類(閉塞性、拘束性)が混同されやすく、特に病名から「線維症=詰まる」という連想で閉塞性を選んでしまう可能性があります。混同注意:閉塞性換気障害(気道抵抗の増大によるもの、例:COPD、気管支喘息)と、拘束性換気障害(肺の伸展性低下によるもの、例:間質性肺疾患、胸郭疾患)の区別が不確かな場合に混同します。
- 5. 特発性肺線維症(IPF)では、急性増悪は比較的よく見られ、予後を著しく悪化させる重要な病態です。急性増悪を発症すると、死亡率が非常に高くなります。正しくは:病状の急激な悪化(急性増悪)は比較的発生しやすく、予後を著しく悪化させる。選びやすい理由:慢性進行性の疾患というイメージから、急激な悪化は少ないと誤解する可能性があります。しかし、実際には急性増悪はIPFの重要な合併症であり、予後を左右します。混同注意:慢性経過をたどる他の疾患(例:安定期のCOPDなど)や、急激な増悪が少ないとされる特定の疾患と混同する可能性があります。
国試ポイント
特発性肺線維症(IPF)の基本的な病態、主要な臨床症状、身体所見、肺機能検査結果、および予後に関する知識が問われています。特に特徴的な身体所見である捻髪音、予後、および換気障害の種類は頻出です。
混同注意
他の特発性間質性肺炎(非特異性間質性肺炎、剥離性間質性肺炎など)との鑑別、特に予後や治療法の違い。また、閉塞性換気障害と拘束性換気障害の区別、湿性咳嗽と乾性咳嗽の区別。
次に同じ論点が出たら
今後、この疾患に関する問題が出題された場合、診断基準(特に画像所見)、治療薬の効果と副作用、日常生活活動(ADL)への影響、QOL評価、および理学療法・作業療法における介入のポイントが問われる可能性があります。
関連知識
特発性肺線維症の病理組織学的特徴(UIPパターン)、画像所見(蜂巣肺、牽引性気管支拡張)、薬物療法(ピルフェニドン、ニンテダニブ)、呼吸リハビリテーション、酸素療法。