疾病の指標で、罹患期間が長くなると高くなるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
有病率は、ある時点または期間において、疾病にかかっている人の割合を示す指標です。この指標は、新規発症の頻度(罹患率)と疾病の持続期間(罹患期間)の積として概念化できます。したがって、罹患期間が長くなるほど、その疾病にかかっている状態の人が多くなるため、有病率は高くなります。
選択肢ごとの解説
- 1. 死亡率は、一定期間内の死亡者数を対象人口で割ったものであり、疾病の罹患期間とは直接的に関係しません。疾病の重篤度や致死率が関連します。正しくは:死亡率は疾病の重篤度と関連するが、罹患期間の長さとは直接的な関連はない。選びやすい理由:疾病が重いと死亡率が上がるため、罹患期間と関連があるように誤解しやすい。混同注意:罹患率や有病率と混同しやすいが、死亡は疾病の終焉を示す指標である点が異なる。
- 2. 致命率は、特定の疾病にかかった患者のうち、その疾病が原因で死亡した人の割合を示します。これは疾病の致死性を示すものであり、罹患期間の長さが直接的に高めるものではありません。正しくは:致命率は疾病の致死性を示すものであり、罹患期間の長さとは直接的な関連はない。選びやすい理由:致死性が高い病気は罹患期間が短い場合も長引く場合もあるため、判断がつきにくい。混同注意:死亡率と混同しやすいが、致命率は『特定の疾病にかかった人のうち』という限定された集団での死亡率である点が異なる。
- 3. 正解。有病率は、特定の時点または期間において、ある疾病にかかっている人の割合を示します。罹患期間が長くなると、その分、その時点での病気にかかっている人が増えるため、有病率は高くなります。これは「ストック」の指標と捉えられます。混同注意:罹患率と混同しやすいが、罹患率が『新たに発生するケース』の割合であるのに対し、有病率は『すでに存在しているケース全体』の割合である点が異なる。
- 4. 罹患率は、特定の期間内にある集団で新たに発生した疾病の割合を示します。これは「フロー」の指標であり、疾病の罹患期間の長さではなく、新規発症の頻度を反映します。正しくは:罹患率は新規発症の頻度を示すものであり、罹患期間の長さとは直接的な関連はない。選びやすい理由:『罹患』という言葉から、疾病全体を指すと思い込みやすい。混同注意:有病率と混同しやすいが、罹患率が『新たに発生するケース』の割合であるのに対し、有病率は『すでに存在しているケース全体』の割合である点が異なる。
- 5. 累積罹患率は、特定の期間の初めから終わりまでに、ある疾病に罹患するリスクを示すものです。これは新規発症の累積割合であり、疾病の罹患期間の長さ自体が高めるものではありません。正しくは:累積罹患率は新規発症の累積割合を示すものであり、罹患期間の長さとは直接的な関連はない。選びやすい理由:『累積』という言葉から、長期間にわたる概念と捉えやすい。混同注意:罹患率と混同しやすいが、分母の取り方(観察開始時のリスク保有者全体)が異なる。また、有病率とも混同しやすいが、新規発生の指標である点が有病率と異なる。
国試ポイント
疫学の基本的な指標、特に『有病率』と『罹患率』の違い、そしてそれらが疾病の発生や持続期間とどのように関連するかを正確に理解しているかが問われる問題です。各指標の定義と、何が変化するとその指標が変動するのかを把握しておくことが重要です。
混同注意
有病率と罹患率が最も混同しやすいペアです。有病率が「ストック(貯留量)」の指標であるのに対し、罹患率は「フロー(発生量)」の指標と覚えると理解しやすいでしょう。死亡率や致命率は、疾病の重篤性や致死性に関する指標であり、混同しないよう注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次回、同じ論点が出た場合、各指標の定義を正しく理解しているか、特に『新規発生』と『既存の存在』の違いに着目し、時間軸(時点、期間)と対象集団(新規、既存、死亡)を明確に区別できているかを問う選択肢に注目します。
関連知識
・有病率 (Prevalence Rate) = (特定の時点または期間における全患者数) / (対象人口) × 100 ・罹患率 (Incidence Rate) = (特定の期間における新規患者数) / (観察期間中の平均人口 または リスクにさらされている人年) × 100 ・致命率 (Case Fatality Rate) = (特定の疾病による死亡者数) / (その疾病に罹患した患者数) × 100 ・死亡率 (Mortality Rate) = (特定の期間における死亡者数) / (対象人口) × 100 有病率と罹患率の関係:有病率 ≒ 罹患率 × 平均罹患期間(疾病が定常状態にある場合)。