45歳の男性。統合失調症。外来治療を受けながら母親と2人で暮らしている。3年前までは仕事に就いていたが、職場での対人関係がうまくいかず症状が悪化し退職した。現在は精神症状は落ち着き、ADLは自立し生活リズムも整っている。一般就労を希望し、作業療法士に相談した。この時点で患者が利用する障害福祉サービスとして適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
この患者は精神症状が安定し、ADLも自立しており、一般企業での就労を強く希望しています。就労移行支援は、一般就労を目指す障害者に対し、そのための訓練やサポートを提供するサービスであり、このケースの現状とニーズに最も合致しています。他の選択肢は、ADLや生活能力に課題がある場合、共同生活が必要な場合、既に就職している場合、あるいは一般就労が困難な場合に利用されるサービスであり、現時点の患者の状態や希望とは異なります。
選択肢ごとの解説
- 1. 自立訓練は、身体機能や生活能力の維持・向上を目指すサービスで、特にADLが自立しているこの患者には直接的な必要性が低いと考えられます。正しくは:ADLや生活能力に課題がある場合に検討されます。選びやすい理由:精神科リハビリテーションの一環として「訓練」という言葉に引きつけられるかもしれませんが、この患者はADLが自立し、生活リズムも整っています。混同注意:生活訓練や地域移行支援と混同しやすいですが、目的が異なります。
- 2. 共同生活援助(グループホーム)は、地域で共同生活を営むのに支援が必要な方が対象であり、この患者は母親と生活しており、単身での共同生活援助の必要性は現状ありません。正しくは:単身生活への移行や、共同生活を通じた自立を目標とする場合に検討されます。選びやすい理由:統合失調症の患者が利用するサービスとして一般的であるため、選択肢として魅力的ですが、この患者の現状とは合致しません。混同注意:短期入所や地域生活支援と混同する可能性がありますが、住居形態が異なります。
- 3. 正解。就労移行支援は、一般企業への就職を希望する障害者に対して、就職に必要な知識や能力向上のための訓練、職場探し、就職後の定着支援を行うサービスです。この患者は一般就労を希望し、現在は精神症状が安定しているため、まさにこのサービスが最適です。正しくは:この選択肢は正しいです。選びやすい理由:この選択肢は正しいです。混同注意:就労継続支援(A型、B型)と混同しやすいですが、就労移行支援は一般就労への「移行」を目的とします。
- 4. 就労定着支援は、就職した障害者が職場に定着できるよう、就職後に継続的なサポートを提供するサービスです。この患者はまだ就職していないため、現時点での利用は適切ではありません。正しくは:就職が決定し、実際に働き始めてから利用を検討するサービスです。選びやすい理由:就労に関するサービスであるため、候補になりやすいですが、利用段階が異なります。混同注意:就労移行支援と混同しやすいですが、利用するタイミングが「就職前」か「就職後」かで明確に異なります。
- 5. 就労継続支援B型は、一般企業での就労が困難な方に対して、非雇用型で生産活動の機会を提供するサービスです。この患者は一般就労を希望しており、精神症状も安定しているため、B型ではなく一般就労を目指す支援が優先されます。正しくは:一般就労が困難な方や、雇用契約を結ぶことが難しい方が利用するサービスです。選びやすい理由:就労に関するサービスであり、統合失調症の患者が利用することも多いため、選びやすいですが、この患者の「一般就労を希望」という条件とは合致しません。混同注意:就労移行支援や就労継続支援A型と混同しやすいですが、対象者の状態や目指す就労形態が異なります。
国試ポイント
障害福祉サービスの種類と、それぞれのサービスが対象とする利用者像や提供される支援内容を正確に理解しているかが問われています。特に就労系のサービス(就労移行支援、就労継続支援A型・B型、就労定着支援)の違いと、利用のタイミングを把握していることが重要です。
混同注意
就労移行支援と、就労継続支援(A型・B型)、就労定着支援のそれぞれの目的と対象者が混同しやすい。特に「就労」というキーワードだけでは判別が難しい。
次に同じ論点が出たら
今後、このような問題が出題された際は、まず患者の『現在の状況(ADL、精神症状の安定度、生活環境)』と『希望(一般就労、自立生活など)』を明確に読み取り、そのニーズに最も適合するサービスは何かを判断することが重要です。
関連知識
自立訓練(機能訓練、生活訓練)、共同生活援助(グループホーム)、施設入所支援、地域移行支援、地域定着支援などの各サービスについても、対象者と内容を理解しておく必要があります。また、精神障害者に対する多職種連携(PSW、OT、医師など)の役割も関連します。