ライフステージにおける成人期後期(50〜60歳ころ)の特徴で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
成人期後期(50~60歳代)の認知機能は、経験に裏打ちされた判断力や知識(結晶性知能)は維持または向上する一方で、新しい情報の処理速度や短期記憶といった流動性知能は徐々に低下し始めるのが特徴です。選択肢4はこの発達段階における認知機能の変化を的確に記述しています。
選択肢ごとの解説
- 1. これは主に老年期(高齢期)の特徴であり、成人期後期ではまだそこまで普遍的ではありません。成人期後期でも経験することはありますが、より顕著になるのは高齢期です。正しくは:これは主に老年期の特徴であり、成人期後期(50~60歳代)ではまだ一般的ではありません。自分の死を受容する段階はエリクソンの発達段階では老年期(8段階目の統合性vs絶望)に該当します。選びやすい理由:親しい人の死はどの年代でも起こりうるため、一見正しいように見えます。しかし、「自分の死についても受容的になる」という表現が老年期に強く関連しています。混同注意:老年期の発達課題(死の受容、人生の統合)と混同しやすいです。
- 2. モラトリアムは青年期の特徴であり、アイデンティティを確立する時期を指します。成人期後期では、すでに確立されたアイデンティティに基づいて社会生活を送っています。正しくは:モラトリアムは青年期(エリクソンの発達段階における自己同一性の確立vs同一性拡散)の特徴です。選びやすい理由:人生の転機として自己を見つめ直す機会があるため、関連性を感じるかもしれませんが、モラトリアムの厳密な意味とは異なります。混同注意:青年期の発達課題と混同しやすいです。青年期は自己同一性の探求、成人期後期は人生の再評価や次の段階への準備がテーマになります。
- 3. 仕事や家庭を持つ時期は主に青年期後期から成人期前期(20~30歳代)に該当します。成人期後期(50~60歳代)では、すでにそれらの役割を担っていることが一般的です。正しくは:これは成人期前期(壮年期)の特徴です。成人期後期では、仕事や家庭における役割の変化や次の段階への準備がテーマになります。選びやすい理由:「成長」という言葉から、どの年代にも当てはまるように感じるかもしれませんが、文脈が指す「社会人としての成長」は初期段階のものです。混同注意:成人期前期(壮年期)の発達課題(親密性vs孤立)と混同しやすいです。
- 4. 正解。成人期後期には、結晶性知能(経験や学習によって獲得される知識や判断力)は維持・向上する傾向がありますが、流動性知能(新しい問題を解決する能力、処理速度、短期記憶など)は徐々に低下し始めるとされています。これはこの時期の認知機能の典型的な特徴です。正しくは:この記述は成人期後期の認知機能の変化を正確に捉えています。選びやすい理由:「判断力向上」と「記憶力低下」という相反する表現が併記されているため、一見誤りではないかと感じるかもしれませんが、この時期の認知機能の実際をよく表しています。混同注意:知能全体が低下すると誤解しやすいですが、結晶性知能と流動性知能の違いを理解しておく必要があります。
- 5. 社会的役割の減少(退職など)や身体機能の低下、それに伴う喪失体験が顕著になるのは主に老年期(高齢期)です。成人期後期はまだそれらの準備期間であり、多くの人は現役で活動しています。正しくは:これは主に老年期(高齢期)の特徴です。成人期後期は、老年期に向けた準備期間であり、まだ多くの人が現役で社会的役割を担っています。選びやすい理由:定年が近づく時期なので、役割減少が始まるイメージがあるため、正しく感じられますが、「多くの喪失体験がみられる」という表現は老年期に強く当てはまります。混同注意:老年期(高齢期)の発達課題(社会的役割からの解放、死の受容)と混同しやすいです。
国試ポイント
ライフステージにおける発達課題や身体的・心理社会的特徴、特に認知機能の変化について、各年代の具体的な時期と結びつけて正確に理解しているかが問われています。特に、知能の高齢化における結晶性知能と流動性知能の違いは頻出のポイントです。
混同注意
各ライフステージ(青年期、成人期前期、成人期後期、老年期)の特徴や発達課題が混同されやすいです。特に、身体的・社会的変化が顕著になる老年期との区別が重要になります。
次に同じ論点が出たら
今後同じ論点が出た場合は、各ライフステージにおいて、身体的変化、心理社会的発達課題、認知機能(知能)の変化の3つの側面から特徴を正確に把握できているかを確認する。特に、年代の区切りとそこでの主要な変化を把握することが重要。
関連知識
エリクソンの発達段階説(成人期後期は『世代性vs自己の停滞』、老年期は『統合性vs絶望』)、知能の高齢化(結晶性知能と流動性知能)、喪失体験とその乗り越え方(キューブラー・ロスなど)。