退行性病変はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
退行性病変とは、細胞や組織が機能的、形態的に低下・変性・消失していく変化の総称です。選択肢の中で、萎縮は細胞のサイズ減少または細胞数減少を伴うものであり、機能的な低下を意味するため、退行性病変に該当します。他の選択肢は、適応性変化(化生、肥大、過形成)や腫瘍性変化の前段階(異形成)であり、退行性病変とは区別されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。萎縮は、細胞の容積が減少したり、細胞数が減少したりする状態を指し、退行性病変の典型例です。例えば、廃用性萎縮や老人性萎縮などがあります。
- 2. 化生は、ある成熟した細胞が、別の種類の成熟した細胞に変化する現象であり、適応性変化の一つですが、退行性病変とは異なります。悪性化の前提となる場合もあります。正しくは:化生は、別の種類の成熟細胞への『分化』であり、退行性変化ではありません。慢性刺激などに対する適応です。選びやすい理由:細胞の変化と捉えられがちですが、退行性変化ではなく、細胞の『質的変化』で適応の結果です。混同注意:退行性病変(細胞の機能・構造が低下・消失する変化)と、適応性変化(環境変化に対応して細胞が形態・機能を変える変化)
- 3. 肥大は、細胞の容積が増加することで組織や臓器全体が大きくなる状態を指し、適応性変化の一つです。細胞数が増えるわけではありません。正しくは:肥大は、細胞サイズが大きくなる『適応性変化』であり、退行性変化ではありません。選びやすい理由:心臓肥大など病的な文脈で使われることがあるため、病変と結びつけやすいですが、本質的には適応です。混同注意:退行性病変(細胞の機能・構造が低下・消失する変化)と、適応性変化(環境変化に対応して細胞が形態・機能を変える変化)
- 4. 異形成は、細胞の形態や配列に異常が見られる状態であり、悪性腫瘍の前段階と考えられますが、退行性病変ではありません。正しくは:異形成は、細胞の異常な増殖と分化の異常であり、腫瘍性病変の前段階とされますが、退行性変化ではありません。選びやすい理由:『異』という言葉から異常な状態と推測し、退行性変化の一種と誤解しやすいです。混同注意:退行性病変(細胞の機能・構造が低下・消失する変化)と、腫瘍性病変(細胞の無秩序な増殖)
- 5. 過形成は、細胞数が増加することで組織や臓器全体が大きくなる状態を指し、適応性変化の一つです。肥大と異なり細胞数が増えます。正しくは:過形成は、細胞数が増加する『適応性変化』であり、退行性変化ではありません。選びやすい理由:ホルモンの影響による過形成など病的な状態も存在するため、退行性変化と混同しやすいです。混同注意:退行性病変(細胞の機能・構造が低下・消失する変化)と、適応性変化(環境変化に対応して細胞が形態・機能を変える変化)
国試ポイント
病理学における基本的な細胞・組織の変化の分類(退行性病変、適応性変化、炎症、腫瘍など)を正確に理解しているかが問われています。特に、各用語の定義と例をしっかり区別できることが重要です。
混同注意
退行性病変と適応性変化(肥大、過形成、化生)は混同しやすく、それぞれの概念と具体例を正確に把握しておく必要があります。また、異形成は腫瘍性変化と関連が深いため、その点も明確に区別することが求められます。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、退行性病変の定義を再確認し、各病変が『細胞の量的な変化(増減)』、『質的な変化(変性、化生)』、『細胞死』のいずれに該当し、それぞれが適応、退行、炎症、腫瘍のどのカテゴリーに分類されるかを正確に判断できるようトレーニングしましょう。
関連知識
変性(脂肪変性、硝子滴変性など)、壊死、アポトーシスといった細胞死の概念も退行性病変と関連が深いです。また、適応性変化の具体的な例(心臓肥大、子宮の過形成、気管支粘膜の化生など)も合わせて学習すると理解が深まります。