胃全摘出術後の巨赤芽球性貧血で欠乏する栄養素はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
胃全摘出術が行われると、胃の壁細胞から分泌される「内因子」が失われます。この内因子は、食事中のビタミンB12と結合して複合体を形成し、小腸でのビタミンB12吸収を可能にするために不可欠です。内因子が欠乏するとビタミンB12の吸収が障害され、体内のビタミンB12貯蔵量が枯渇し、最終的に赤血球のDNA合成異常による巨赤芽球性貧血が発症します。
選択肢ごとの解説
- 1. ニコチン酸(ビタミンB3)の欠乏はペラグラ(皮膚炎、下痢、精神症状)を引き起こしますが、巨赤芽球性貧血とは直接関係ありません。正しくは:ペラグラ(皮膚炎、下痢、精神症状)の原因となります。選びやすい理由:ビタミンB群の一つであるため、他のビタミンB群と関連付けてしまう可能性があります。混同注意:ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血の病態とは異なります。
- 2. ビタミンAの欠乏は夜盲症や眼球乾燥症、皮膚の乾燥などを引き起こしますが、巨赤芽球性貧血の原因ではありません。正しくは:視覚機能の維持や皮膚・粘膜の健康維持に関与します。選びやすい理由:一般的な必須栄養素として知られているため、知識が曖昧な場合に選択肢として考えてしまうかもしれません。混同注意:貧血そのものとは結びつきにくい栄養素です。
- 3. ビタミンB1(チアミン)の欠乏は脚気やウェルニッケ・コルサコフ症候群を引き起こしますが、巨赤芽球性貧血とは関係ありません。正しくは:糖質代謝や神経機能の維持に不可欠です。選びやすい理由:ビタミンB群であるため、ビタミンB12と混同しやすい可能性があります。混同注意:脚気や神経障害といった症状と巨赤芽球性貧血の症状を混同する可能性があります。
- 4. 正解。胃全摘出術後には、ビタミンB12の吸収に必要な内因子が胃から分泌されなくなります。内因子が不足すると、食事から摂取したビタミンB12が小腸で吸収されなくなり、ビタミンB12欠乏が生じます。ビタミンB12は赤血球の成熟に不可欠な栄養素であるため、その欠乏により巨赤芽球性貧血が発症します。
- 5. ビタミンCの欠乏は壊血病(出血傾向、歯肉炎など)を引き起こしますが、巨赤芽球性貧血の原因ではありません。正しくは:コラーゲン生成、抗酸化作用、そして鉄の吸収促進などに関わります。選びやすい理由:貧血(特に鉄欠乏性貧血)と関連付けられることがあるため、混同して選択してしまう可能性があります。混同注意:鉄欠乏性貧血(鉄の吸収を助ける)と巨赤芽球性貧血(赤血球の成熟に関わるビタミンB12や葉酸欠乏)を混同する可能性があります。
国試ポイント
この問題は、消化器系の手術(特に胃切除)が全身の栄養状態に与える影響、中でも巨赤芽球性貧血の原因となるビタミンB12欠乏症のメカニズムを理解しているかを問うものです。胃の内因子とビタミンB12の吸収経路の知識が重要となります。
混同注意
葉酸欠乏による巨赤芽球性貧血(ビタミンB12欠乏と症状が類似する)、鉄欠乏性貧血(最も一般的な貧血)、他のビタミンB群(B1、B3など)の欠乏症による疾患との鑑別がポイントになります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題される場合、胃の部分切除術やその他の消化器疾患(例:クローン病、盲係蹄症候群)が引き起こす栄養欠乏症、または巨赤芽球性貧血の具体的な症状(神経症状など)や診断方法、他の貧血との鑑別点などが問われる可能性があります。
関連知識
胃の機能(内因子分泌を含む)、ビタミンB12の生体内での役割、巨赤芽球性貧血の病態生理、およびその治療(ビタミンB12補充療法など)に関する知識が関連します。