不動による廃用症候群で生じやすい病態はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
長期間の臥床や不動は、下肢の静脈血流の停滞(うっ滞)を引き起こします。これに加えて、血液凝固能の亢進や血管内皮の損傷が加わることで、深部静脈血栓症(DVT)のリスクが著しく上昇します。DVTは、不動に伴う廃用症候群の主要な合併症の一つであり、特に肺塞栓症に移行すると生命に関わる危険性があります。
選択肢ごとの解説
- 1. 廃用症候群では、心臓のポンプ機能や心血管系の適応能力が低下するため、安静時の心拍数はむしろ増加傾向を示し、心臓への負担が増大します。運動耐容能が低下し、少しの活動で心拍数が上がりやすくなります。正しくは:安静時心拍数の増加(または心機能低下に伴う運動時心拍数の過度な上昇)選びやすい理由:健康な人では運動によって心機能が向上し安静時心拍数が低下するため、その逆と混同しやすいかもしれません。しかし、廃用症候群は「全身の機能低下」を指し、心血管系機能も低下します。混同注意:運動による心機能改善(スポーツ心臓)と混同しやすい。スポーツ心臓では安静時心拍数は低下しますが、廃用症候群は逆の状態です。
- 2. 間質性肺疾患は、肺の間質組織に炎症や線維化が生じる特定の呼吸器疾患であり、廃用症候群の直接的な合併症ではありません。廃用症候群では、呼吸筋の弱化や無気肺、肺炎などのリスクは増加しますが、間質性肺疾患とは異なります。正しくは:呼吸筋力低下、無気肺、誤嚥性肺炎選びやすい理由:呼吸機能の低下という点では共通するため、呼吸器系の合併症の一つとして誤解される可能性があります。混同注意:廃用症候群による一般的な呼吸機能低下(例:呼吸筋の脆弱化、換気能力の低下、無気肺、肺炎リスク増加)と混同しやすい。
- 3. 自律神経過反射は、脊髄損傷(特にT6より上位)を持つ患者に特有の緊急病態であり、膀胱充満や褥瘡などの刺激によって誘発されます。一般的な廃用症候群とは関連性が低いです。正しくは:起立性低血圧(自律神経系の機能低下によるもの)選びやすい理由:廃用症候群による自律神経機能の変調(例:起立性低血圧)と混同し、自律神経系の問題であるという点で選んでしまう可能性があります。混同注意:廃用症候群でよく見られる起立性低血圧(これは自律神経機能の低下が原因)と混同しやすい。
- 4. 正解。長期間の不動は、下肢の静脈血流の停滞(うっ滞)を引き起こし、血液凝固能の亢進や血管内皮の損傷と相まって、深部静脈血栓症(DVT)を発症するリスクを著しく高めます。これは廃用症候群の主要な合併症の一つです。
- 5. 不動による骨への負荷軽減は、骨吸収を促進し、骨からのカルシウム放出を増加させます。これにより、血液中のカルシウム濃度はむしろ高くなる傾向(高カルシウム血症)にあり、低カルシウム血症は通常生じません。正しくは:高カルシウム血症、骨粗鬆症選びやすい理由:骨代謝に関連する病態であるため、骨が弱くなるという漠然としたイメージから、カルシウム不足を連想してしまうかもしれません。混同注意:骨粗鬆症の進行や、それによって生じる高カルシウム血症と逆の現象であるため混同しやすい。
国試ポイント
この問題は、廃用症候群の代表的な合併症に関する知識を問うものです。心血管系、呼吸器系、筋骨格系、神経系など、全身にわたる廃用症候群の影響を正確に理解しているかが試されます。特に、不動が直接的かつ高頻度に引き起こす病態を見極める能力が重要です。
混同注意
廃用症候群による様々な生理的変化(例:筋萎縮、骨粗鬆症、起立性低血圧、呼吸機能低下)と、直接的な原因とならない他の疾患や、逆の病態(例:安静時心拍数低下ではなく増加、低カルシウム血症ではなく高カルシウム血症)との区別が重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、廃用症候群の他の主要な合併症(例:起立性低血圧、骨粗鬆症、関節拘縮、褥瘡、筋萎縮)が選択肢に含まれる可能性が高いです。また、その病態がなぜ生じるのか、具体的なメカニズムまで問われることも想定されます。
関連知識
廃用症候群の主な症状と合併症:1. 筋骨格系: 筋力低下(筋萎縮)、関節拘縮、骨粗鬆症 2. 心血管系: 起立性低血圧、安静時心拍数増加、深部静脈血栓症 3. 呼吸器系: 呼吸筋力低下、無気肺、肺炎 4. 消化器系: 食欲不振、便秘 5. 泌尿器系: 尿路結石、尿路感染症 6. 精神神経系: 抑うつ、せん妄、睡眠障害 7. 皮膚: 褥瘡。ヴィルヒョウの三徴(深部静脈血栓症の成因):血流うっ滞、血管内皮損傷、血液凝固能亢進。