フレイルの高齢者の特徴で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
フレイルの高齢者は、筋力低下、歩行速度の低下、疲労感、活動量減少、意図しない体重減少といった身体機能の全般的な低下を特徴とします。ファンクショナルバランススケール(FBS)は、特にバランス能力を評価する指標であり、フレイルではバランス能力が低下するため、FBSの得点が低値を示すことが特徴となります。他の選択肢は、フレイルの特徴とは逆の、身体機能が良好な状態を示すか、またはフレイルの主要な指標としては適切ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. フレイルの主要な要素の一つにサルコペニア(筋力の低下および筋量の減少)が含まれるため、筋肉量は増加するのではなく、減少します。正しくは:筋肉の量が減少する。選びやすい理由:健康な高齢者でも適切な運動により筋量を維持・増加できることがあるため、その知識と混同してしまう可能性があります。しかし、フレイルは病的な虚弱状態であり、筋量の減少が特徴です。混同注意:健康な高齢者の身体活動による変化と、フレイルにおける病的な身体変化。
- 2. TUG(Timed Up and Go Test)は、高齢者の身体移動能力とバランスを評価するテストです。所要時間が短いほど身体機能が良いことを示します。フレイルの高齢者では身体機能が低下しているため、TUGの所要時間は長くなります。正しくは:立ち上がり歩行テスト(TUG)の所要時間が延長する。選びやすい理由:「時間が短くなる」という表現から、テストが早く終わる=良いこと、と単純に考えてしまうかもしれませんが、TUGでは時間が短いほど機能が高いことを意味します。混同注意:機能評価尺度において、数値の大小が示す意味(例:痛みのスケールは数値が低い方が良い、TUGは時間が短い方が良いなど)。
- 3. 長座位前屈は身体の柔軟性を評価するもので、到達距離が短いほど柔軟性が低いことを示します。フレイルの高齢者では柔軟性が低下することもありますが、これはフレイルの主要な診断基準や代表的な身体的特徴というよりは、二次的な変化であり、より直接的に機能低下を示す他の選択肢(5番)の方が適切です。正しくは:(フレイルの主要な指標ではないという点で誤り。柔軟性低下は起こりうるが、他の選択肢に比べて代表性が低い。)選びやすい理由:身体機能が低下すれば柔軟性も低下し、その結果、長座位前屈距離が短くなることは起こりうるため、一見正しいように見えます。しかし、フレイルの核心的な特徴を捉えているわけではありません。混同注意:フレイルの主要な診断基準に含まれる項目と、関連するが必ずしも中心的ではない身体機能の変化。
- 4. ボルグ指数(RPE: Rating of Perceived Exertion)は、運動中の主観的な疲労度やきつさを評価する指標で、数値が高いほど「きつい」と感じていることを示します。フレイルの高齢者は運動耐容能が低いため、わずかな運動でも非常にきつく感じやすく、ボルグ指数は高値になる傾向があります。正しくは:運動中に感じるしんどさを示すボルグ指数が高くなる。選びやすい理由:「低値になる」という言葉から、客観的な運動能力の低さと混同したり、安静時の状態などと誤解したりすることがあります。混同注意:主観的な疲労度(ボルグ指数)と、客観的な運動能力や効率。
- 5. 正解。ファンクショナルバランススケール(FBS)は、高齢者のバランス能力を多角的に評価する尺度です。点数が高いほどバランス能力が良好であることを示します。フレイルの高齢者ではバランス能力が低下しているため、FBSの得点は低値になります。これは転倒リスクの増加にもつながる、フレイルの典型的な身体的特徴です。
国試ポイント
フレイルの診断基準や、高齢者の身体機能評価に用いられる様々な指標について、それぞれの尺度が示す数値と身体状態の関係(例えば、高値が良いのか、低値が良いのか)を正確に理解しているかが問われます。
混同注意
身体機能の低下を評価する多数のスケールやテストにおいて、その数値の意味(例:TUG時間は長い方が機能低下、FBS得点は低い方が機能低下、Borg指数は高い方が機能低下)を混同しやすいです。また、フレイルの主要な診断基準に含まれる項目と、関連するが二次的な身体機能低下を区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点で出題された場合、フレイルの具体的な診断基準(意図しない体重減少、握力低下、疲労感、歩行速度低下、身体活動量低下の5項目のうち3つ以上)や、各基準を評価するための具体的な方法(例:握力測定、10m歩行テスト)について問われる可能性が高いです。また、ロコモティブシンドロームやサルコペニアとの鑑別点や重なり合う概念も重要になります。
関連知識
フレイルの診断基準(例:Friedの基準)、サルコペニア、ロコモティブシンドロームとの関連性、高齢者の身体機能評価に用いられる主なテスト(例:握力測定、10m歩行テスト、開眼片足立ち時間、Timed Up and Go Test、簡易身体能力バッテリー:SPPB)、主観的運動強度(Borg指数)。