不安階層表を作成するのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
系統的脱感作法は、不安や恐怖の対象に対する反応を段階的に減少させる行動療法です。この治療法の中核をなすのが、患者が感じる不安の度合いに応じて状況をリスト化した「不安階層表」の作成です。患者はリラクセーション状態を維持しながら、この表の低い段階から順に不安刺激に暴露されることで、不安反応が徐々に消去されていきます。これは古典的条件づけに基づく「拮抗条件づけ(相反抑制)」の原理を応用しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 家族療法は、個人の問題を行動パターンやコミュニケーションなど家族全体の力動として捉え、家族システムに介入する心理療法です。不安階層表の作成は、個人の特定の恐怖や不安に焦点を当てた行動療法の技法であり、家族療法では通常用いられません。正しくは:この選択肢を正しくするなら、『家族間のコミュニケーションパターンを変えることで問題を解決しようとする』のような説明になります。選びやすい理由:心理療法全般に関する知識の曖昧さから、特定の技法と関連付けられない場合に選んでしまう可能性があります。混同注意:他の個人に焦点を当てた心理療法や、集団を対象とする療法(集団療法など)と混同することがあります。
- 2. 正解。系統的脱感作法は、不安反応や恐怖症の治療に用いられる行動療法の一種です。この技法では、まず患者が最も不安を感じる状況から、ほとんど不安を感じない状況までを段階的にリストアップし、『不安階層表』を作成します。その後、リラクセーション状態を保ちながら、不安階層表の低い段階から順に想像や現実での暴露を行い、不安反応を徐々に消去していきます。
- 3. 行動活性化技法は、うつ病の治療に主に用いられ、活動量の減少がうつ症状を悪化させるという考えに基づき、患者が行動を増やし、ポジティブな強化を得ることで気分を改善することを目的とします。具体的な行動計画の作成は行いますが、特定の恐怖に対する不安階層表を作成するわけではありません。正しくは:この選択肢を正しくするなら、『うつ病の治療において、ポジティブな活動を増やすことで気分の改善を図る』のような説明になります。選びやすい理由:「行動」という言葉から行動療法の一種であることはわかるため、不安に関連する行動技法と混同しやすい可能性があります。混同注意:他の行動療法(例えば、認知行動療法や暴露反応妨害法など)と混同されることがあります。
- 4. 内観療法は、日本の伝統的な精神療法で、過去の人間関係(特に親子関係)を対象に、『してもらったこと』、『して返したこと』、『迷惑をかけたこと』の3つの観点から自己の内面を見つめ直し、自己中心性や感謝の気持ちを再認識することを目的とします。不安階層表の作成とは直接関係ありません。正しくは:この選択肢を正しくするなら、『過去の対人関係を3つの観点から振り返り、自己の内面を見つめる』のような説明になります。選びやすい理由:日本の精神療法であり、特定の技法を用いる点では共通していますが、その内容が大きく異なるため、名称のみで判断すると誤りやすいです。混同注意:同じく日本の精神療法である森田療法や、他の自己内省的な心理療法と混同することがあります。
- 5. 森田療法は、日本の神経症治療法で、「あるがまま」を受け入れ、「とらわれ」から解放されることを目指し、行動中心のアプローチを取ります。神経症的な症状や不安を排除しようとするのではなく、それらを『あるがまま』として受け入れ、目的本位の行動に集中することを促します。不安階層表のように、具体的な不安状況をリストアップして段階的に対処するというよりは、不安を抱えながらもやるべきことを行うことを重視します。正しくは:この選択肢を正しくするなら、『不安や症状を「あるがまま」に受け入れ、目的本位の行動を促す』のような説明になります。選びやすい理由:日本の精神療法であり、行動を重視する点では共通しているため、その具体的な技法が混同されやすいです。混同注意:内観療法や、他の不安に対する行動療法と混同することがあります。
国試ポイント
作業療法士国家試験では、主要な心理療法や行動療法の具体的な技法、適用疾患、基本的な概念が問われることが多いです。特に、その療法に特徴的なキーワード(例:不安階層表、あるがまま、3つの観点など)とその関連性を理解しているかが重要となります。
混同注意
系統的脱感作法は、他の暴露療法(例:フラッディング、段階的暴露療法)と混同されやすいですが、リラクセーション技法を併用し、段階的に不安を減少させる点が特徴です。また、日本の精神療法である内観療法や森田療法とは、その目的やアプローチが根本的に異なりますが、心理療法全般の知識として出題される際には区別が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、系統的脱感作法の具体的な実施手順(例:リラクセーション訓練、不安階層表の作成、段階的暴露)や、その基礎となる理論(例:古典的条件づけ、相反抑制)について問われる可能性があります。また、どの疾患(例:特定の恐怖症、パニック症、広場恐怖症)に特に有効か、あるいは他の行動療法(例:認知行動療法、行動活性化)との違いについても問われるかもしれません。
関連知識
古典的条件づけ、拮抗条件づけ(相反抑制)、リラクセーション技法(漸進的筋弛緩法など)、恐怖症の治療、暴露療法。