加齢で低下するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
加齢に伴い、骨の新陳代謝のバランスが崩れ、骨吸収が骨形成を上回るようになるため、骨のミネラル密度(骨塩量)は徐々に減少していきます。特に女性では閉経後のホルモンバランスの変化がこの減少を加速させ、骨粗鬆症のリスクを高めます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。加齢に伴い、骨形成と骨吸収のバランスが崩れ、骨形成が追いつかなくなることで骨塩量は減少します。特に女性では閉経後にエストロゲンの減少がこの傾向を加速させ、骨粗鬆症のリスクが高まります。
- 2. 加齢とともに肺の弾力性が低下し、胸郭の柔軟性が失われるため、肺の残気量は増加します。これにより、肺から完全に空気を吐き出す能力が低下します。正しくは:加齢によって肺の残気量は増加します。選びやすい理由:加齢で肺機能が全般的に低下するという漠然としたイメージから、残気量も低下すると誤解しやすいかもしれません。しかし、具体的に低下するのはVC(肺活量)やFEV1(1秒量)などで、残気量は増加します。混同注意:肺活量(VC)や1秒量(FEV1)が加齢で低下することと混同しやすいです。これらは肺の換気能力の指標ですが、残気量は異なります。
- 3. 加齢に伴い免疫機能が変化し、自己免疫疾患の罹患率が増加する傾向があります。これには自己反応性リンパ球の増加や、制御性T細胞の機能低下などが関与し、自己抗体の産生はむしろ増加することが知られています。正しくは:加齢によって自己抗体の産生は増加する傾向にあります。選びやすい理由:加齢で免疫機能全体が低下する、という一般的な知識から、自己抗体の産生も低下すると考えてしまうかもしれません。しかし、加齢性免疫不全(immunosenescence)は複雑で、特定の機能は低下する一方で、自己免疫能は亢進することがあります。混同注意:全体の免疫応答能力の低下(感染症への抵抗力低下など)と、自己抗体産生という特定の免疫異常の増加を混同しやすいです。
- 4. 加齢により血管の弾力性が失われ、動脈硬化が進行するため、末梢血管抵抗は増加します。これは高血圧の一因にもなります。正しくは:加齢によって末梢血管抵抗は増加します。選びやすい理由:血流の低下と抵抗性の低下を混同したり、末梢循環が悪くなることと抵抗性が下がることが同義だと誤解したりする可能性があります。混同注意:血管の柔軟性や拡張能力の低下と混同しやすいです。血管が硬くなることで抵抗は増大します。
- 5. 加齢に伴い、全身性の軽度慢性炎症状態(インフラメーション)が進行することが知られており、TNF-αやIL-6などの炎症性サイトカインの産生・放出は増加します。これは様々な加齢関連疾患の発症に関与すると考えられています。正しくは:加齢によって炎症性サイトカインの放出は増加します。選びやすい理由:炎症反応が若い頃より活発でないというイメージや、病気に対する反応性が低下するという漠然とした考えから、炎症性サイトカインも低下すると勘違いするかもしれません。混同注意:急性期の強い炎症反応の能力と、慢性的な低レベルの炎症状態(インフラメーション)を混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、加齢に伴う生理機能の変化に関する基礎知識を問うものです。特に身体機能が『低下する』ものと『増加する』ものを正確に区別できるかがポイントとなります。各選択肢の生理学的な変化を理解している必要があります。
混同注意
加齢による生理機能の変化は、低下するもの、増加するもの、変化しないものなど多岐にわたります。特に『肺残気量』や『自己抗体形成』、『炎症性サイトカイン』のように、直感に反して増加する項目があるため注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合、各臓器系の加齢に伴う生理的変化(例:腎機能、消化器機能、神経伝達物質の変化など)を問う問題が考えられます。特に「増加するものはどれか」「変化しないものはどれか」といった逆の視点からの出題にも注意が必要です。
関連知識
骨粗鬆症、加齢に伴う呼吸器系の変化、免疫老化(immunosenescence)、動脈硬化、インフラメーション(inflammaging)。これらの疾患や概念と関連付けて理解することが重要です。