自動販売機で飲料を買う手順において、陳述記憶が必要なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
お釣りの確認は、支払った金額と購入した商品の価格から計算される「本来もらうべきお釣りの金額」という事実情報(意味記憶)を想起し、実際に受け取ったお釣りの金額と比較・判断する、という明確な認知的プロセスを伴います。これは「~である」という事実に関する記憶であり、陳述記憶の範疇です。他の選択肢は、身体的な一連の動作であり、「~のやり方」を知っているという手続き記憶に分類されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 財布を開くことは、反復によって習得され自動化された運動技能であり、手続き記憶に分類されます。意識的な事実の想起は必要ありません。正しくは:この行動は手続き記憶が主に関与します。選びやすい理由:日常的な行動であるため、特に記憶の種類を意識せずに選んでしまう可能性があります。混同注意:記憶の種類を深く考えず、一連の動作の一部として捉えやすい。
- 2. 硬貨を投入することも、繰り返しによって習得される運動パターンであり、手続き記憶が関与します。特定の事実を思い出す必要はありません。正しくは:この行動は手続き記憶が主に関与します。選びやすい理由:動作の開始と捉えられがちで、記憶の種類を区別しにくいかもしれません。混同注意:「お金を払う」という概念と混同し、お金の金額を思い出す行為と誤解する可能性がある。
- 3. 取り出し口のカバーを開けるのは、身体的な動作であり、その方法を覚えているのは手続き記憶です。正しくは:この行動は手続き記憶が主に関与します。選びやすい理由:飲み物を取る直前の行動であり、重要なステップだと感じやすいかもしれません。混同注意:目的達成のための物理的な操作と、そこに付随する意識的な情報処理の区別が難しい。
- 4. 飲み物を取り出す動作も、手や腕を使った運動技能であり、手続き記憶に依存します。正しくは:この行動は手続き記憶が主に関与します。選びやすい理由:一連の動作の終盤に位置するため、何かを判断するような行動と勘違いしやすいかもしれません。混同注意:最終的な成果を得る行動であり、確認作業と混同しやすい。
- 5. 正解。お釣りの確認は、「支払った金額」「商品の価格」「受け取ったお釣りの金額」という具体的な情報を想起し、それらを比較・計算するという意識的な思考プロセスを伴います。これは事実や出来事に関する記憶、つまり陳述記憶(意味記憶やエピソード記憶)が不可欠です。
国試ポイント
記憶の種類(陳述記憶、手続き記憶、エピソード記憶、意味記憶など)の基本的な定義とその具体的な行動への適用能力が問われています。特に、自動化された日常動作の中に潜む意識的な情報処理を見極める力が重要です。
混同注意
陳述記憶と手続き記憶の区別。特に、日常的なルーチン行動の中では、両者が混在しているように見えるため、どの部分が「事実の想起」で、どの部分が「やり方を知っている」なのかを見極めるのが難しい場合があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、別の日常動作(例:料理を作る、着替えをする、公共交通機関を利用する)を例に出し、その中のどのステップが陳述記憶(事実や知識の想起)を必要とし、どのステップが手続き記憶(身体動作の実行)を必要とするかを問われるでしょう。特に、判断や計算、特定の情報の思い出しが必要な場面に注目すること。
関連知識
陳述記憶(Declarative Memory):エピソード記憶(個人的な経験、時間的・空間的な情報を含む)と意味記憶(一般的な知識、概念、事実)に分けられる。意識的な想起が可能。手続き記憶(Procedural Memory):技能や習慣に関する記憶。運動技能や認知技能が含まれ、無意識的に発揮されることが多い。記憶の多重システム理論。