転移で誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
精神分析療法において陽性転移は治療関係の基盤となり、治療を進める上で非常に重要ですが、その出現自体が最終的な治療目的ではありません。治療の目的は、転移感情の分析と解釈を通じて、患者が自身の無意識的な葛藤や防衛機制を理解し、解決へと向かうことです。
選択肢ごとの解説
- 1. 転移と逆転移は密接に関連しており、患者の転移感情が治療者の無意識的な反応(逆転移)を誘発することはよくあります。これは治療関係における重要な側面です。正しくは:転移は逆転移を誘発することがあります。選びやすい理由:転移と逆転移の関係性について誤解している場合、これが適切でない記述だと感じるかもしれません。混同注意:転移と逆転移が独立した現象であると誤解している。
- 2. 転移された感情や欲求が言葉で表現されず、無意識的に行動として表出されることを「行動化」と呼びます。これは治療過程で起こりうる現象です。正しくは:転移は行動化の原因となることがあります。選びやすい理由:行動化の概念を転移と結びつけられない場合、不適切と感じるかもしれません。混同注意:行動化を単なる問題行動と捉え、転移との関連性を理解していない。
- 3. 正解。精神分析的心理治療の目的は、単に陽性転移を出現させることではありません。陽性転移は治療関係を築き、患者が治療に臨む上で不可欠な要素ですが、その出現自体が最終目標ではなく、転移感情を分析・解釈し、患者の無意識的な葛藤を理解し解決に導くことが目的です。陽性転移は治療過程の「手段」であり、「目的」ではありません。正しくは:心理治療の目的は、転移感情を分析・解釈し、患者の無意識的な葛藤を解決に導くことであり、陽性転移の出現はそのための重要な要素である。選びやすい理由:陽性転移が良いものであるという認識から、それが治療の目標だと誤解しやすいです。治療関係の構築に陽性転移が不可欠なため、その重要性を混同しやすい。混同注意:陽性転移の『重要性』と『目的』を混同している。
- 4. 精神分析療法では、転移の解釈が患者の無意識的な葛藤を言語化し、洞察を深めることで、葛藤の解消や自己理解の促進に繋がると考えられています。正しくは:転移の解釈は患者の葛藤を解消する手段となります。選びやすい理由:解釈が必ずしも直接的な『解消』に繋がるとは限らないという点で疑わしく感じるかもしれませんが、手段としては適切です。混同注意:解釈の効果を過小評価したり、転移の重要性を理解していない。
- 5. 陽性転移とは、患者が過去の重要な人物(親など)に対して抱いていた肯定的な感情やイメージを、無意識のうちに治療者へ向ける現象を指します。正しくは:患者が好意を治療者に向けるのは陽性転移です。選びやすい理由:陽性転移の定義そのものであり、疑問の余地がないため誤りを選びにくいです。混同注意:陽性転移と、現実に基づいた治療者への健全な信頼感を混同する可能性がありますが、設問の文脈では定義として正しい。
国試ポイント
精神分析における『転移』の概念とその役割について正確な理解が問われています。特に、陽性転移が治療過程における『手段』であるか『目的』であるかという点が見極めのポイントです。
混同注意
陽性転移の『重要性』と『治療目的』を混同しやすい。陽性転移が治療において不可欠であるため、『良いもの』=『目的』と誤解しがちです。また、転移・逆転移・行動化などの関連概念も混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、転移の『目的』と『効果』の違い、および転移の種類(陽性・陰性)とその治療的意味について問われる可能性が高いです。また、治療者による転移の『解釈』の具体的内容やタイミングについても注目しましょう。
関連知識
精神分析の主要概念(無意識、防衛機制、抵抗、自由連想、夢分析)、転移の種類(陽性転移、陰性転移)、逆転移の概念とその対応、行動化の理解。