医療安全対策で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
医療安全管理は、患者の安全を最優先に考えた介入が求められます。無断離院リスクのある患者に対しては、作業療法士が常に見守り、行動を管理できる環境を確保することが必須であり、そのためには個別での作業療法が最も適切です。これにより、離院の危険を最小限に抑え、患者の安全を守ることができます。
選択肢ごとの解説
- 1. 精神科作業療法では、患者の安全確保も重要ですが、一律に作業療法室内での自由な移動を制限することは、患者の主体性や生活機能の回復を阻害する可能性があります。個々の患者の転倒リスクや興奮状態などを評価し、必要に応じて移動を制限する場合もありますが、原則として患者の行動を不必要に制限すべきではありません。正しくは:患者の転倒リスクなどを適切に評価し、安全を確保しながら、可能な範囲で患者の自律的な移動を促します。選びやすい理由:転倒などの事故を防止するためには、移動制限が必要だと考えてしまうかもしれません。混同注意:患者の安全確保のためのリスク管理と、患者の行動を過剰に制限すること。
- 2. 自傷行為のリスクがある患者に対し、ハサミなどの刃物を使用する切り絵のような活動を許可することは、安全管理上極めて危険です。患者の希望よりも、まずは患者自身の安全を最優先に考える必要があります。正しくは:自傷行為のリスクがある患者に対しては、刃物を使わない安全な代替活動(例:ちぎり絵、塗り絵、粘土など)を提案するか、密な監視のもとで安全性の高い道具を使用させます。選びやすい理由:患者の意欲や希望を尊重することは治療上重要であると考え、希望を叶えたいと思うかもしれません。混同注意:患者の自主性の尊重と、医療安全上のリスク管理の優先順位。
- 3. 易怒性(怒りやすい性質)のある患者を、いきなり複数の患者がいる集団作業療法に参加させることは、他者とのトラブルや暴力行為に発展するリスクを高める可能性があります。まずは個別の対応や、少人数で感情のコントロールを練習する機会を提供することが望ましいです。正しくは:易怒性のある患者に対しては、まず個別または少人数での活動を通じて感情のコントロールを促し、患者の状態を慎重に見極めながら、段階的に集団活動への参加を検討します。選びやすい理由:集団活動を通じて社会性を養ったり、他者との交流が感情の安定に繋がる可能性もゼロではないと考えてしまうかもしれません。混同注意:集団療法のメリットと、個別性の高いリスク管理の必要性。
- 4. 正解。無断離院のリスクがある患者に対しては、作業療法士が患者の行動を常に監視し、安全を確保できる環境を整えることが最も重要です。個別での作業療法であれば、作業療法士が患者一人につききりで対応できるため、離院を未然に防ぎ、患者の安全を守る上で適切な医療安全対策となります。
- 5. 患者が心身に過度な負担を感じているにもかかわらず、作業療法を無理に継続させることは、治療意欲の低下、病状の悪化、または二次的な心身の不調を引き起こす可能性があります。早期改善を目指す場合でも、患者の状態に応じた適切な負荷設定と休息が不可欠です。正しくは:患者の心身の状態や負担感を丁寧に評価し、活動内容や強度を調整しながら、患者が達成感を味わえるような無理のない範囲で作業療法を進めます。選びやすい理由:早期の機能回復のためには、ある程度の負荷をかけることも必要だと考えてしまうかもしれません。混同注意:治療効果を最大限に引き出すための適度な負荷と、心身に悪影響を及ぼす過度な負荷。
国試ポイント
作業療法における患者の安全管理に関する基本的な知識と、各患者の特性(特に精神科領域でのリスク)に応じた具体的な対応能力が問われます。特に、患者の安全確保と治療目標達成のバランスをどのように取るかが焦点となります。
混同注意
患者の自律性・主体性の尊重と、安全管理上の制限のバランス。治療効果を目的とした適度な負荷と、患者の心身に悪影響を及ぼす過度な負荷の違い。集団療法のメリットと、個別化されたリスク管理の必要性。
次に同じ論点が出たら
今後、他の患者特性(例:認知機能低下、せん妄、興奮状態)や具体的な作業活動(例:調理活動での刃物の使用、屋外での運動活動)の状況下での適切な安全対策について問われる可能性があります。また、身体合併症を持つ精神疾患患者の安全管理も重要な論点となるでしょう。
関連知識
作業療法におけるリスクマネジメントの基本原則、精神科作業療法の治療原則(個別性、段階性、患者中心のケア)、患者の権利擁護と安全確保のバランス、インフォームドコンセント。