尺骨神経の支配を受けるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
母指内転筋は、尺骨神経の深枝によって支配される手部の内在筋です。手内在筋の神経支配は正中神経と尺骨神経で複雑に分かれており、特に母指内転筋は尺骨神経の主要な支配筋の一つとして知られています。他の選択肢の筋はすべて正中神経の支配を受けるか、一部が尺骨神経支配であっても問題文の選択肢(浅頭、第1虫様筋など)では正中神経支配の部位を指しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 長母指屈筋は、主に正中神経の前骨間神経枝によって支配される筋です。正しくは:尺骨神経に支配される手部の屈筋群には、深指屈筋の尺側半分や小指球筋群(小指外転筋、短小指屈筋、小指対立筋)などがあります。選びやすい理由:手部の多くの屈筋群は正中神経支配ですが、一部は尺骨神経支配であるため、どの筋がどちらの神経支配であるか混同しやすいです。混同注意:深指屈筋(尺側半分は尺骨神経支配)と混同しやすいです。長母指屈筋は母指の屈曲に特化しており、深指屈筋とは異なる神経支配を持ちます。
- 2. 正解。母指内転筋は、尺骨神経の深枝によって支配される代表的な筋であり、この問題の正答です。母指の内転動作を担います。
- 3. 第1虫様筋および第2虫様筋は、正中神経の支配を受ける筋です。虫様筋は指のMTP関節屈曲とPIP・DIP関節伸展に関与します。正しくは:第3虫様筋や第4虫様筋であれば、尺骨神経の支配を受けます。選びやすい理由:虫様筋は正中神経と尺骨神経の両方に支配されるため、混同しやすい筋群です。特に第1虫様筋は正中神経支配であることを忘れやすいです。混同注意:第3虫様筋や第4虫様筋(これらは尺骨神経支配)と混同しやすいです。
- 4. 短母指外転筋は、正中神経の反回枝によって支配される母指球筋の一つです。母指を掌から離す(外転させる)働きがあります。正しくは:尺骨神経に支配される手部の外転筋には、小指外転筋などがあります。選びやすい理由:母指球筋群には複数の筋が含まれ、それぞれ神経支配が異なるため、どれが尺骨神経支配か迷いやすいです。混同注意:母指内転筋(尺骨神経支配)と混同しやすいです。外転筋と内転筋で神経支配が異なることを意識する必要があります。
- 5. 短母指屈筋の浅頭は、正中神経の反回枝によって支配されます。この筋は母指のMTP関節を屈曲させます。正しくは:短母指屈筋の深頭は、尺骨神経の支配を受けます。選びやすい理由:短母指屈筋には浅頭と深頭があり、深頭は尺骨神経支配であるため、浅頭も尺骨神経支配と誤解しやすい傾向があります。混同注意:短母指屈筋の深頭(尺骨神経支配)と混同しやすいです。一つの筋に複数の頭部があり、それぞれ異なる神経支配を持つケースに注意が必要です。
国試ポイント
この問題は、手部の内在筋における神経支配の正確な知識を問うものです。特に、正中神経と尺骨神経の支配領域が複雑に絡み合う手部では、個々の筋とその神経支配を正確に理解しているかが重要となります。母指球筋群、小指球筋群、虫様筋、骨間筋といった主要な手内在筋について、どの神経が支配するかを覚えている必要があります。
混同注意
正中神経支配の筋と尺骨神経支配の筋が非常に混同しやすいです。特に、短母指屈筋の浅頭と深頭、虫様筋の第1・2指と第3・4指のように、同じ筋の異なる部位や頭部で神経支配が異なる場合や、母指球筋群のように隣接する筋でも支配神経が異なる場合が多く、注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
同様の神経支配に関する問題が出た場合、まずは手部内在筋を正中神経支配と尺骨神経支配に大別できるかを確認します。次に、特定の筋(例:短母指屈筋、虫様筋、深指屈筋)が複数の神経支配を持つ場合、その支配部位や頭部の違いを正確に識別できるかに注目すると良いでしょう。また、各神経の運動機能障害や感覚障害の症状と結びつけて学習すると、より理解が深まります。
関連知識
手部の神経支配に関する知識は、末梢神経損傷(例:手根管症候群、肘部管症候群)の臨床症状を理解する上で不可欠です。各神経の走行、支配筋、感覚支配領域を総合的に把握することが求められます。例えば、尺骨神経麻痺では、母指内転筋の機能低下によりFroment徴候が見られるなど、神経支配と臨床症状が結びつく形で出題されることもあります。