小脳梗塞でみられるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・3番
解説
小脳は、運動の協調性、平衡機能、姿勢制御、眼球運動の微調整などに関与する重要な脳部位です。小脳梗塞によりこれらの機能が障害されると、協調運動の拙劣さ、平衡障害、歩行障害といった運動失調が中核的な症状として現れます。また、眼球運動の制御にも関わるため、眼振も頻繁に認められます。選択肢1の眼振と選択肢3の運動失調は、小脳機能障害の代表的な症状であり、小脳梗塞で高頻度に見られます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。小脳は眼球運動の制御に関与しており、特に前庭小脳の障害では平衡機能の失調に伴い眼振(不随意な眼球運動)が出現しやすいです。これは小脳の前庭系への投射が関係しています。
- 2. 球麻痺は、延髄(球部)から出る脳神経(舌咽神経、迷走神経、副神経、舌下神経など)の障害によって生じる症状で、嚥下障害、構音障害、発声障害などが特徴です。小脳梗塞の直接的な症状ではありません。正しくは:延髄や脳幹の病変、または筋萎縮性側索硬化症などの疾患で見られます。選びやすい理由:小脳梗塞でも構音障害(断綴性言語)が見られるため、声や言葉の症状という点で混同しやすい可能性があります。混同注意:小脳性構音障害(断綴性言語)と球麻痺による構音障害は異なる病態です。
- 3. 正解。小脳は運動の協調性、バランス、姿勢制御に極めて重要な役割を担っています。そのため、小脳の損傷では、随意運動の正確性が損なわれたり、平衡感覚が障害されたりする運動失調が最も特徴的な症状として現れます。
- 4. 同名半盲は、視交叉より後方の視覚路(視索、外側膝状体、視放線、後頭葉の視覚野など)の病変によって、両眼の同名側の視野が欠損する状態です。小脳の機能とは直接関連しません。正しくは:大脳半球の広範な病変(特に後頭葉)、視床、脳幹などの病変で見られます。選びやすい理由:脳血管障害(梗塞)で生じる症状であるため、病態の原因が共通するという点で混同する可能性があります。混同注意:他の脳領域の血管障害でよく見られる視覚症状と混同されることがあります。
- 5. 遂行機能障害は、計画立案、問題解決、意思決定、目標指向性行動の調節といった高次脳機能の障害を指し、主に前頭葉の損傷と関連が深いです。小脳の機能障害の典型的な症状ではありません。正しくは:前頭葉の損傷(前頭葉症候群)や広範な脳損傷で見られます。選びやすい理由:近年、小脳が認知機能、特に高次脳機能の一部にも関与しているという研究もありますが、国家試験においては古典的に前頭葉の機能障害と認識されています。混同注意:小脳機能の最新の研究知見と、国家試験で問われる基本的な知識が混同される可能性があります。
国試ポイント
この問題は、小脳の主要な機能と、その機能が障害された際に発現する代表的な症状について、正確な知識があるかを問うものです。特に、運動失調、眼振、構音障害(断綴性言語)などは小脳症状のキーワードとして重要です。
混同注意
小脳性構音障害と球麻痺による構音障害、または小脳性失調と脊髄性失調など、症状が似ていても病変部位や病態が異なるものとの鑑別が混同しやすいポイントです。また、脳血管障害全般で起こりうる症状(例:同名半盲など)と、小脳特有の症状を区別する能力も問われます。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、小脳の解剖学的位置、機能局在(例:前庭小脳、脊髄小脳、大脳小脳)、そしてそれぞれの部位が障害された際の特異的な症状を問われる可能性があります。また、小脳梗塞と他の脳領域(大脳基底核、脳幹、脊髄など)の病変による運動障害との鑑別点にも着目しましょう。
関連知識
小脳の機能として、運動のタイミング調整、運動学習、筋緊張の調節、姿勢反射などがあります。小脳損傷のその他の症状には、断綴性言語、共同運動不能、測定障害、拮抗運動反復不能、筋緊張低下などがあります。これらも合わせて理解しておくことが重要です。