自律神経障害の症状はどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番
解説
自律神経は、私たちの意識とは無関係に身体の様々な機能を調節しています。心臓の拍動(不整脈)や血圧の維持(起立性低血圧)は、自律神経系(交感神経と副交感神経)のバランスによって厳密に制御されている重要な機能です。したがって、これらの機能に異常をきたすことは自律神経障害の典型的な症状です。他の選択肢は、運動系や脳神経系、あるいは感覚器の障害と関連が深いです。
選択肢ごとの解説
- 1. 振戦は、主に錐体外路系(パーキンソン病など)や小脳、または薬剤の影響などによって引き起こされる運動系の症状であり、自律神経系の直接的な障害とは異なります。正しくは:振戦は、錐体外路系などの運動制御に関わる神経系の機能異常で生じます。選びやすい理由:神経系の症状であるため、漠然と自律神経障害の一種として誤解してしまう可能性があります。混同注意:錐体外路症状や小脳性運動失調と自律神経症状。
- 2. 複視は、眼球運動を司る脳神経(動眼神経、滑車神経、外転神経)の麻痺や外眼筋の異常、あるいは眼そのものの問題によって生じる視覚症状であり、自律神経系の直接的な障害とは異なります。正しくは:複視は、眼球運動に関わる脳神経や外眼筋、または眼疾患が原因で発生します。選びやすい理由:眼に関する神経症状であるため、自律神経の関与を連想しやすいですが、直接的な関連は薄いです。混同注意:脳神経(特に眼運動神経)の障害症状と自律神経症状。
- 3. 正解。心臓の拍動は交感神経と副交感神経という自律神経系によって緻密に調節されています。これらの神経に障害が起こると、心拍数の変動やリズムの異常(頻脈、徐脈など)が生じ、不整脈として現れます。
- 4. 正解。血圧の調節は、血管の収縮・拡張を制御する自律神経(主に交感神経)の働きに大きく依存しています。自律神経障害があると、特に体位変換時(起立時)に血管が十分に収縮せず、血圧を適切に維持できなくなり、起立性低血圧などの症状を引き起こします。
- 5. 視力低下は、網膜や視神経、水晶体などの眼球構造の異常、あるいは脳の視覚中枢の障害によって生じる主要な症状です。自律神経系は瞳孔の調節には関与しますが、直接的に視力そのものを低下させることは稀です。正しくは:視力低下は、眼球の器質的疾患や視覚経路の障害によって引き起こされます。選びやすい理由:瞳孔の調節は自律神経が行うため、視覚全体に影響すると誤解されやすいですが、視力低下とは直接的な関連がありません。混同注意:瞳孔調節機能と視力そのもの。
国試ポイント
自律神経系の支配臓器とその機能、およびその障害によって具体的にどのような身体症状が現れるかを正確に理解しているかが問われています。特に、循環器系(心臓、血管)への影響は重要な知識です。
混同注意
自律神経症状と、中枢神経症状(特に運動系や脳神経関連の症状)、あるいは感覚器症状とを混同しやすいです。神経系の症状という広い括りの中で、それぞれの特徴と支配領域を区別する能力が求められます。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、選択肢に挙げられている症状が、呼吸、循環、消化、排泄、体温調節、瞳孔径の変化、内分泌などの「意識しない身体機能」に関連するかどうかを判断の基準とします。特に、交感神経と副交感神経のバランス失調によって説明できる症状に注目することが重要です。
関連知識
自律神経系の機能解剖(交感神経と副交感神経のそれぞれの作用)、主要な神経伝達物質とその受容体、起立性低血圧の病態生理、糖尿病性神経障害やパーキンソン病における自律神経症状。