欲求を満たせないときに、正反対の欲求を発展させ心的平衡を保とうとする防衛機制はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
反動形成は、受け入れがたい無意識の欲求や感情が存在する際に、それとは意識的に正反対の態度や行動を示すことで、不安を軽減し、自己の尊厳を保とうとする防衛機制です。例えば、嫌いな相手に対し、過剰に親切に振る舞うなどがこれに該当します。この問題では「正反対の欲求を発展させ心的平衡を保とうとする」という記述が反動形成の定義そのものです。
選択肢ごとの解説
- 1. 抑圧は、不快な記憶や感情を意識の外に押し出し、忘却しようとする防衛機制です。欲求が満たされないこと自体を忘れようとしますが、正反対の欲求を強調するものではありません。正しくは:欲求が満たされないという事実や関連する感情を意識から排除する。選びやすい理由:防衛機制の一つであるため、選択肢として紛らわしい。混同注意:否認や隔離といった、意識から特定のものを排除する防衛機制と混同しやすい。
- 2. 否認は、受け入れがたい現実や感情を認めようとせず、存在しないかのように振る舞う防衛機制です。欲求不満の事実そのものを否定しますが、正反対の欲求を作り出すものではありません。正しくは:欲求が満たされないという現実自体を拒絶し、存在しないものとして扱う。選びやすい理由:抑圧と同様に、不快な現実から逃れる防衛機制として似ているため。混同注意:抑圧や現実からの逃避に関連する防衛機制と混同しやすい。
- 3. 行動化は、抑えきれない欲求や感情を直接行動に移すことで、内的な緊張を解消しようとする防衛機制です。欲求不満を具体的な行動で表現しますが、正反対の欲求を形成するものではありません。正しくは:欲求不満から生じる感情や緊張を、問題のある行動で表現し発散する。選びやすい理由:欲求が満たされないことへの反応として、何らかの行動を連想しやすいため。混同注意:欲求不満に対する直接的な反応や、衝動的な行動と混同しやすい。
- 4. 合理化は、満たされない欲求や失敗に対して、もっともらしい理由や口実をつけて自分を納得させる防衛機制です。欲求不満の事実を自分にとって都合の良いように解釈しますが、正反対の欲求を作り出すわけではありません。正しくは:欲求不満の原因や結果について、もっともらしい理由をつけて正当化する。選びやすい理由:欲求が満たされない状況で、自分を納得させるための心の働きとして選択肢になりうる。混同注意:欲求が満たされないことへの認知的な対処法である知性化などと混同しやすい。
- 5. 正解。反動形成は、受け入れがたい衝動や感情、欲求を抑圧し、意識的にはそれと正反対の感情や行動を表出することで、心のバランスを保とうとする防衛機制です。問題文の「正反対の欲求を発展させ心的平衡を保とうとする」という記述に最も合致します。選びやすい理由:他の防衛機制も心理的な平衡を保つために機能するため、正解肢として迷う可能性がある。混同注意:昇華や代償など、他の防衛機制とは異なり、無意識的な欲求を意識的に正反対の形で表現する点が特徴。
国試ポイント
防衛機制の種類とそれぞれの具体的な定義、そして臨床例を結びつけて理解しているかが問われています。特に、似たような機能を持つ防衛機制との違いを明確に把握しておくことが重要です。
混同注意
投影、昇華、代償など、他の防衛機制と混同しやすいですが、反動形成は「正反対の感情や欲求を表現する」という点で明確に区別されます。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合は、まず防衛機制の種類を正確に特定し、次に問題文の状況がその防衛機制のどの特徴に最も合致するかを照らし合わせるように判断します。特に「~とは正反対の行動/感情」といったキーワードに注目します。
関連知識
防衛機制はフロイトによって提唱された概念で、自我がイドや超自我、外界からの圧力から自分を守るために無意識的に用いる心理的な戦略です。抑圧、否認、合理化、投映、同一視、退行、昇華、代償など多岐にわたります。それぞれの防衛機制がどのような状況で用いられ、どのような機能を持つのかを理解することが、精神医学や臨床心理学の基礎となります。