COPDのADL動作で最も息切れが生じやすいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
COPD患者では、肺の過膨張により横隔膜の効率が低下し、胸郭の可動域も制限されやすいです。洗髪は、腕を頭より高く上げる動作(肩関節の屈曲・外転)や体幹を前屈させる姿勢を伴うことが多く、これらは胸郭を圧迫し、呼吸補助筋に過度な負担をかけ、呼吸運動をさらに困難にします。そのため、他のADLと比較して、洗髪は最も呼吸困難を引き起こしやすい動作の一つとされています。
選択肢ごとの解説
- 1. 食事は一般的に座位で、腕を高く上げる動作や体幹を長時間屈曲させる動作は少ないため、洗髪に比べて息切れは生じにくいとされます。ただし、重症例では咀嚼や嚥下自体が労力を要し、息切れにつながることもあります。正しくは:食事は、洗髪と比較して息切れを起こしにくいADLです。選びやすい理由:COPDが重度の場合、食事の準備から摂取までの一連の動作が身体的負担となり、息切れを感じることがあるため、選びやすいかもしれません。混同注意:重症COPD患者の労作時息切れ全般と混同されることがあります。
- 2. 正解。洗髪は、腕を頭より高く上げる動作(肩関節の屈曲・外転)を比較的長時間維持し、さらに前かがみの姿勢(体幹の屈曲)で行うことが多いため、胸郭の動きが制限され、呼吸筋への負担が増大します。この複合的な要因により、COPD患者にとって最も息切れを生じやすいADLの一つと考えられます。
- 3. 排尿は通常、座位または立位で比較的短時間で行われ、腕を上げるなどの大きな労作を伴わないため、洗髪に比べて息切れは生じにくいです。正しくは:排尿は、洗髪と比較して息切れを起こしにくいADLです。選びやすい理由:重症例ではトイレまでの移動や、排尿時にいきむ動作で息切れが生じることがあるため、選択肢として考慮する人もいるかもしれません。混同注意:労作時息切れ全般や、便秘に伴う排便時のいきみによる息切れと混同されることがあります。
- 4. 歯磨きは、比較的短時間で座位または立位で行われ、腕を大きく上げる動作や体幹を大きく屈曲させる動作は少ないため、洗髪に比べて息切れは生じにくいです。正しくは:歯磨きは、洗髪と比較して息切れを起こしにくいADLです。選びやすい理由:洗面台で前かがみになる姿勢で行うことがあるため、息切れにつながると考える人もいるかもしれませんが、洗髪ほどの持続性や腕の高さは伴いません。混同注意:軽度の前屈姿勢を伴う他のADLと混同されることがあります。
- 5. ズボンの着脱は体幹の屈曲や回転を伴い、片足立ちやバランス保持が必要な場合もありますが、腕を頭より高く上げる動作は通常伴わないため、洗髪に比べて息切れは生じにくいとされます。正しくは:ズボンの着脱は、洗髪と比較して息切れを起こしにくいADLです。選びやすい理由:体幹を屈曲させたり、片足立ちでバランスを取ったりする動作は、腹圧を高めたり呼吸に負担をかけたりする場合があるため、息切れにつながると考える人もいるかもしれません。混同注意:下肢の装具着脱など、より複雑で時間を要する着衣動作と混同されることがあります。
国試ポイント
COPD患者の病態生理を理解し、日常生活動作(ADL)が呼吸機能に与える影響、特に息切れを誘発しやすい動作の種類を具体的に把握しているかを問う問題です。身体活動と呼吸苦の関連性を臨床的に判断する能力が求められます。
混同注意
食事や排泄、更衣などの他のADL動作も、COPDの重症度によっては息切れを引き起こしますが、これらは一般的に洗髪ほど「腕を高く上げる」「体幹を長時間屈曲させる」といった複合的な呼吸困難誘発因子を持たない点で混同されやすいです。入浴全般(身体洗い、湯に浸かる)も息切れを誘発しやすいですが、本問は「洗髪」に限定されています。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、COPD患者の息切れを最も誘発しやすいADL動作を選ぶ際は、「腕を頭より高く上げる動作」や「前かがみで体幹を長時間屈曲させる動作」といった、胸郭の動きを制限し呼吸筋に負担をかける要素を複合的に含むものを優先的に検討します。特に、肩関節の屈曲・外転位での持続的な活動は、呼吸困難を悪化させやすい重要な視点です。
関連知識
COPDの病態生理(気道閉塞、肺の過膨張、呼吸筋疲労)、ADL評価(Borgスケール、mMRC息切れスケール)、呼吸リハビリテーションにおける運動療法とADL指導、呼吸困難に対する呼吸パターンと姿勢の調整、呼吸介助筋の役割など。