安静立位姿勢における重心線の通る位置で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回理学療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
静止立位時の重心線は、足関節のわずか前方(外果の前方)を通過することで、足関節に背屈モーメントを生じさせ、下腿三頭筋(ヒラメ筋など)の持続的な活動を促し、身体が前方に倒れるのを防ぎ、姿勢の安定に寄与します。一般的に、重心線は耳垂のやや後方、肩峰のやや後方、股関節(大転子)のやや後方、膝関節軸のやや前方(膝蓋骨のさらに後方)を通過するとされます。
選択肢ごとの解説
- 1. 重心線は通常、耳垂のやや後方を通過します。正しくは:耳たぶ(耳垂)のやや後方。選びやすい理由:頭部の重心が前方に偏っているという直感から、前方を選びやすいかもしれません。しかし、全身のバランスを考慮すると後方になります。混同注意:頭部の解剖学的な重心と、全身の重心線が通過するランドマークを混同しやすいです。
- 2. 重心線は肩峰のやや後方を通過します。これにより、肩甲帯の安定化に寄与します。正しくは:肩峰のやや後方。選びやすい理由:胸郭や上肢の重みにより、重心が前方に引っ張られるように感じるかもしれませんが、身体全体で見ると後方です。混同注意:上肢の重さと体幹の重心線の位置関係を混同する可能性があります。
- 3. 重心線は股関節の中心(大転子のやや後方)を通過します。これにより、股関節が伸展位で安定します。正しくは:大転子のやや後方(股関節の中心)。選びやすい理由:股関節を伸展位に保つために、重心が前にかかると考えるかもしれませんが、それは膝関節での話であり、股関節はわずかに後方です。混同注意:股関節と膝関節の重心線との位置関係による安定化機構を混同しやすいです。
- 4. 重心線は膝関節の中心からわずかに前方(膝蓋骨より後方)を通過します。膝蓋骨そのものより前方ではありません。正しくは:膝関節軸のやや前方(膝蓋骨より後方)。選びやすい理由:膝関節を伸展位に保つために重心が膝関節より前を通る、という点は正しいのですが、『膝蓋骨より前方』は過度に前方であり誤りです。膝蓋骨は膝関節の前面にあるため、その前方では膝関節の安定化にはつながりません。混同注意:膝関節軸と膝蓋骨の解剖学的位置、およびそれらと重心線の関係を混同しやすいです。
- 5. 正解。静止立位時における重心線は、足関節軸のわずか前方(外果の前方)を通過します。これにより、足関節には背屈方向へのモーメントが生じ、下腿三頭筋(特にヒラメ筋)の持続的な活動を促し、身体が前方に倒れるのを防ぎ、姿勢の安定に寄与します。
国試ポイント
重心線が身体の主要な関節やランドマークに対してどの位置を通過するかを問う問題は頻出です。特に、その位置関係が各関節の安定性や姿勢保持筋の活動にどのように影響するかという機能的な理解が重要となります。具体的な解剖学的ランドマークとの位置関係を正確に覚える必要があります。
混同注意
重心の中心(点)と重心線(線) 静的姿勢での重心線と動的動作時の重心移動 各関節の軸と、その関節を通過する重心線の相対的な位置関係
次に同じ論点が出たら
次にこの論点が出題されたら、重心線が各関節に対して『前方』か『後方』かだけでなく、それが『どのようなモーメントを生み出し』『どの筋群の活動を促すことで』『姿勢をどのように安定させているか』という、より深い機能的な側面まで問われる可能性があるため、その点を重点的に確認しましょう。
関連知識
重力とモーメントの関係 姿勢制御に関与する主要な筋群(抗重力筋)とその作用 身体各部位の重心位置 足底圧分布と重心の関係